[889]戦争体制はヨーロッパ全体に


 ウクライナ戦争は東部に戦場が移され停戦の動きはありません。アメリカはウクライナに大量の兵器をパッケージで送りました。対戦車砲ジャベリンは7000発を送り出し在庫が払底して追加生産しています。また、NATOに加盟する東欧諸国の旧ソ連製武器がゼレンスキー政権の軍に供与され、ウクライナ軍とロシア軍との戦闘は続いています。
 15日にはフィンランドが16日にはスウェーデンNATO加盟申請を決めました。これにたいしてロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」は16日、モスクワで首脳会議を開催しました。出席したプーチン大統領は、北大西洋条約機構NATO)へのフィンランドスウェーデンの加盟申請について「直接的な脅威にはならない」と述べましたが、両国に軍事施設が設置されれば対抗措置を取る可能性を示唆しました。

 註:CSTOは1992年にロシアなど旧ソ連構成国の一部が条約に調印、2002年に機構が発足しました。現在はロシア、アルメニアベラルーシカザフスタンキルギスタジキスタンの6カ国が加盟しています。

 フィンランドスウェーデンともにNATOには加盟していませんが、すでに過去、共同の軍事演習を行ってきました。しかし、加盟することによって集団的安全保障の枠に入ります。
 ウクライナを侵略したプーチンのロシアとウクライナを衝立とした米欧国家の争いという性格をもつ戦争はエスカレートするばかりです。
 
 17日の昼NHKニュースを見ました。ウクライナマリウポリの軍の「任務終了」を宣言し、負傷者はロシア側支配地域に救出・搬送されたという報道です。要するにマリウポリの戦闘でアゾフ連隊が降伏して捕虜となり、負傷者はロシア側が治療するということなのでしょう。降伏を任務終了と言い換えるウクライナの発表をただ繰り返すわかりにくい報道の仕方はやめるべきです。客観的には「任務終了」と「降伏」とは意味がちがうのですから。
 NHKニュースは自国の戦時報道をおこなっているがごときです。太平洋戦争では日本軍の敗退を大本営は「転進」と発表しました。日本の国家権力はウクライナ戦争をウクライナの側に立って担っているつもりでいるのです。そしてその意を受けた公式放送は戦時報道のような言い換えのことばづかいをしているのです。
 私たちは理性を働かせ戦争に加担しはじめた日本政府の動きを警戒しなければなりません。
 ロシアとウクライナは即時停戦すべきです。ロシアとウクライナの労働者民衆の戦争反対の声にこたえて、私たちも日本の戦争加担反対の声をあげなければなりません。