[898](投稿)小型原子炉開発・生産を勧める読売新聞


 電事連電気事業連合会)の要望で小型の原子炉を求める傾向があり、それを読売新聞などが年度を変えて記事にして、電事連の広告塔の役割をしていると分かりました。

 模範は米国で、2022年5月15日(日)の読売の表題は「小回り利く『SMR』注目」です。
SMRは小型原子炉のことで、「小型モジュール炉」と呼んでいるようです。

今回の見出しでは、

「連結で出力アップ ■ へき地でも利用可」とあります。

以下は序論です。

 米国を中心に海外では、様々な新技術を投入した原子炉を小型化した原子炉を複数連結する「小型モジュール炉(SMR)」は、従来の軽水炉と同じ原理を利用できることから注目が集まる。日本の企業も新たな市場への参入を狙う。

 中身では、ただ一応、原発アレルギー対策のため「安全基準の策定課題」と言っています。実用化を自国でやることを促してもいますが、福島原発チェルノブイリ原発メルトダウン・爆発・放射性物質のまき散らしを意識・想起しているのか、国内生産技術の向上を促しています。これまで米国から輸入して組み立て、メンテナンスなどもしてきた企業に国際競争力を付けるために技術の向上を求め、さらには「次世代炉の規制をどうするかの検討が急務になっている」と規制緩和を求めるような結句で筆を擱(お)く始末です。

 これらのことから、この記事は、国際競争力のある原発の小型化開発を促す記事であることが明らかです。同時に原発のさらなる規制緩和を政府に求めるという、福島第一原発事故の悲惨さを無視した悪辣な記事であることは間違いありません。

 原発の稼働、再稼働に反対しましょう!!原発はただの湯沸かし器ですが、高レベル放射性廃棄物を産生する危険極まりない難物です。
 このような危険を伴う原発の新規の原発開発にも、これまでの原発の再稼働にも反対の声を上げていきましょう!!
                石川木鐸

註:
小出裕章さんたちが使っていた「研究用の小型原子炉」は読売新聞の記事に出ている「小型原子炉」とは「出力」の度合いが全く異なります。

 熊取町の研究所で研究用で使っていた原子炉の出力は5千kW(キロワット)ですが、これでも周囲の住民の反対が生じていました。

 福島第一原発の1号機は発電出力が46万kW、2~5号機は78.4万kWで、6号機 (Mark II型、110万kW)で、全く桁違いです。

 しかし、原子力発電する発電所の出力で研究でも、周囲の周囲に住む住民の方々の反対運動が起きていました。
 また、研究用にしても原発が放射する体外からの放射能に関しては、半年とか、1年の総被曝量を「安全」とされる被曝量を保つ必要があったと小出氏の著作には書かれていました。
 この研究用の原子炉はすでに廃炉が決まっています。米国が引き取る契約が結ばれていましたが、未だ引き取られてはいません。

 この研究所の小出裕章氏を含めた6人を「熊取六人衆」と呼んでいました。その著作もあります。
『熊取六人衆の脱原発』今中 哲二/海老澤 徹/川野 眞治/小出 裕章/小林 圭二/瀬尾 健【著】 七つ森書館(2014/06発売)