[903](寄稿)本の紹介


ペンギンドクター
その2

 小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(2021年5月10日第1刷発行、ちくま新書)、グレンコ・アンドリー『NATOの教訓 世界最高の軍事同盟と日本が手を結んだら』(PHP新書2021年5月27日第1版第1刷)が大増刷されて、駅ビルの書店に平積みになっていたので、購入し読んでみました。ともに興味深い本でした。
 小泉は本人も言うように、「軍事オタク」なので、あまりイデオロギーが表に出ず、公平な感じを受けました。今、あちこちでマスコミに登場しています。失言しないように自重すべきでしょう。
 アンドリーは大阪維新の会創業者の橋下氏と論争になったウクライナ人の国際政治学者です。橋下氏は最近MSN(マイクロソフトネットワーク)にも、ほとんど登場しません。「プーチンもいずれ死ぬからロシアに降伏しろ」と言ったのは、いわば暴言で不覚だったと思っているのではないでしょうか。しかし橋下氏はしぶといので、いずれマスコミに「復活」するでしょう。
 ウクライナ人で当事者であるアンドリー氏は当然ですが、「タカ派」であり、日本の新聞では産経新聞を評価し、日本の軍事費は対GDP比2%にすべきだ・・・・・。日本は独裁国家であるロシア・中国・北朝鮮・イランに対抗するために、NATOに加わるべきだと言っています。主張はともかく、私はこの本でハンガリー動乱プラハの春などの経緯を改めて知ることができました。ただ、この本の書かれた時点、2021年5月において、彼は「大統領のゼレンスキーは無能でウクライナのオリガルヒの操り人形で何も期待できない」と述べています。彼にとってもゼレンスキー大統領の「奮戦」はまったくの想定外だったようです。
 本日はこのへんで。