[905]アメリカのウクライナ軍事援助はさらに

 

米、高機動ロケット砲システム(HIMARS)供与
停戦交渉をウクライナ有利にするために

 バイデン米大統領は30日、新聞に寄稿し、最終的に戦争は外交で解決するしかないと示唆しました。
 まるでウクライナ戦争の参謀のようです。
 そしてウクライナに高機動ロケット砲システム(HIMARS 最大射程300キロ)を支援すると発表し「ロシア(領)を攻撃できるロケット(砲)システムは送らない」と述べました。米メディアは、バイデン氏はロケット砲支援について弾を射程80キロのものに制限し「防衛用」だと予防線を張っているとしていますが、私はゼレンスキーが長距離用に改良転用してもアメリカはあずかり知らないというプーチンにたいする警告という意味をも持っていると思います。
  
 すでに5月21日、バイデンは400億ドル(約5兆1000億円)の軍事援助を含むウクライナ支援の追加予算案に署名しました。これでアメリカのウクライナ支援は500億ドルを越えました。
 そして5月23日、ウクライナのメディアがゼレンスキー大統領の現時点の考えを伝えました。(日経新聞
 それによるとゼレンスキー大統領はロシア軍を2月24日の侵攻以前の地点に押し戻せば勝利だと述べ、クリミヤ半島の戦闘を通じた奪回は行わないと言っています。「ウクライナの兵士の命をより多く救うことが最も重要だ」「戦争は外交を通じて終結することになる」と述べました。
 これに続く30日のバイデンの新聞発表はゼレンスキーの背後にそびえるアメリカの影を浮き彫りにしました。
 ゼレンスキー政権の徹底抗戦はアメリカの支援なしには不可能でした。「戦争終結」に向けた動きもアメリカの意志が大きく関わっています。ウクライナプーチンが侵略したことへのウクライナ労働者農民の怒りを越えたところで、権力者は資本家階級的思惑を実現するために動いているのです。
  
 私はプーチンの侵略に怒りを感じると同時にゼレンスキーがマリウポリの戦闘終結後に、いまさらのようにウクライナの兵士の命をより多く救うことが最も重要だということに疑問を感じます。犠牲者を出さないためには、もっと早く、できることならロシア軍侵攻の前に言うべきことだったのではないでしょうか。しかし、もはや遅いのです。ウクライナ政府の対応は、アメリカの対中・ロ封じこめ戦略に規定された戦争政策とみなすべきだと思います。
 両軍が激突し多くの兵士、労働者民衆が犠牲になることは承知のうえでプーチンは侵略を断行し、ロシア軍に反撃するウクライナ軍ーNATOは戦争に入っていったのです。
 私はなぜウクライナ戦争が起きたのか労働者として考えなければならないと思います。
 突発的に起きたことではなかったのです。  
 2021年暮れ以降、ウクライナ東部の内戦とウクライナNATO加盟問題で追いつめられたプーチンがロシア軍を越境侵攻させるであろうことを、ゼレンスキーにはわかっていました。そしてバイデンは見てきたかのようにプーチンの侵略を予告していました。歴史的には2014年以降のウクライナ東部の内戦で1万6000人の犠牲者が出ているのです。アメリカは2014年のウクライナのマイダン革命以降ウクライナへのかかわりを強めています。

 バイデン来日
 
 5月22日バイデンが来日し日米軍事同盟の強化の合意がなされ中ロとの対立がさらに高まっています。日本政府は敵基地攻撃能力を備えた自衛隊をつくり米軍と共同作戦が出来るような日本国軍をつくる方向に走っています。憲法改悪は戦争のできる国・日本の誕生を意味すると思います。
 私たち労働者は戦争の危機で緊迫する世界の中で反戦の団結を固めなければなりません。