[927]アップルに労働組合


 アップルに労働組合が結成されました。アップルでははじめてのことです。メリーランド州タウソンにあるアップルの直営店で15日~18日にかけて従業員投票が行われ、約110人の有資格者のうち約9割が投票し、賛成65、反対33で労組結成が決められました。規模は大きくありませんが、組合がなく労働者が分断されていたハイテク企業に労働者の団結が組合という形で示されたというのは大きな意味があります。この組合は、30万人を超える機械・航空宇宙分野の産業別労働組合に参加する予定だそうです。
 ニューヨークのアップル店舗でも組合づくりが進んでおり、最低時給30ドルへの引き上げなどが掲げられています。
 4月にはアマゾンの倉庫で働く労働者が労働組合をつくっており、他のハイテク関連大手にも組合づくりが活発化しています。
 米国でいま進行している歴史的なインフレによって生活苦がハイテク企業の労働者にも広がっているからなのです。 
 米国では自動車をはじめとする製造業で労働組合が結成され、1980年代には組織化率は20%をこえていました。しかし、製造業の海外逃避のなかで、労働運動の弱さのゆえに労働者は解雇されつづけました。そして今日では米国の労働組合組織率は10%前後まで低下しています。労働組合の協力のもとで資本家階級は労働者に生産性向上を促し搾取を強化して巨大な利益を手にしました。
 新型コロナパンデミックはなお終息してはいません。資本家は労働者に犠牲が出ても企業活動を活性化させ資本を増殖する方向に進みつづけます。
 今や世界的なインフレーションの進行で労働者階級の貧窮は深まっています。
 ウクライナに軍事侵略したロシアにたいする西側資本主義国家の経済制裁の影響はブーメラン的に各国資本家階級に戻りつつあります。その犠牲を労働者階級に転嫁する動きははじまっています。
 
 労働運動の強化が問われます。アップルの労働者の闘いをその狼煙火たらしめなければならないと思います。