[954](寄稿)私の読書

ペンギンドクターより
その2

私の読書についてひと言。
 私の現在の読書の方針には二つの方向があります。一つは現在すなわち今問題になっている政治・経済・医療福祉などについての「新書その他」を読むこと。女房はこれ以上、私が本を買うことに批判的ですので、目立たないように散歩の時に遠回りして駅ビルの書店に買いに行きます。なるべく無駄な本は買わないようにと思うのですが、週に一度はチェックしています。新書類は読みやすく数日で読めます。読み終わるとすぐ読書記録をつけます。既報のようにとりあえずの感想をつけておきます。本式の感想は遅れてしまい約3ヶ月後になりますが、ほとんど内容を忘れているので、記憶をよみがえらせるのにむしろいいことだと言えます。もう一つは、昔買った本で、読んでいない本、あるいは一度読んだかもしれないが記憶になく読書記録をつけてない本を読みなおします。大体硬派の本ですので、これは時間がかかりますが、50年以前から少しずつ購入した本ですので、その時代の雰囲気やなぜ私が購入したのか、思い出しながら読みます。こちらは、読み終えるには1~3ヶ月近くかかることもあります。理解できようとできまいと字面を追って、とにかく読み通すように努めています。読み終えたときは嬉しいですね。
 今年の最大の収穫はハナ・アーレント全体主義の起源』全3巻です。この本のおかげで、マルセル・プルースト失われた時を求めて』全7巻(これは女房が購入したものです)のうち、第1巻『スワンの恋』を読みました。他の6巻は読む気はありません。どういうことかというと、プルーストの父親はドイツ人の医師ですが、母親は裕福なユダヤ人家庭の出身です。『全体主義の起源』のなかでアーレントプルーストの『失われた時を求めて』に触れています。
 さらにソルジェニーツィンの本もアーレントの本をきっかけに読むことになりました。まだまだ昔購入していて、読むべき本があり、毎日忙しい思いをしていますが、昔から本好きなので楽しい時間でもあります。硬い本ばかりではなく、松本清張藤沢周平池波正太郎も沢山ありますが、これは読み返すつもりはありません。何しろ読書が可能なのもせいぜいあと4-5年でしょうから。

つづく