[957]ゼレンスキー、側近を解任


 ゼレンスキー政権が内部対立を顕在化しはじめました。ウクライナは米欧帝国主義国家に武器支援を受け西側資本主義の前面にたってロシア軍と戦っています。軍事的には東部マリウポリのアゾフ連隊の降伏=敗北を結節点として東部から後退しています。 
 そのような状況下で17日ゼレンスキー大統領は情報機関・保安局(SBU)のトップ、バカノウ局長とベネディクトワ検事総長を解任したと発表しました。SBUの多数の職員らがロシア軍の占領地域でロシアに協力している疑いがあるとしてその責任を負わせたと報じられています。17日夜の大統領ビデオ演説で警察検察の職員にたいして651件の捜査を行っていることが明らかにされました。解任された二人は2019年の大統領選以来のゼレンスキーの盟友です。
 バカノウSBU局長はゼレンスキーと幼なじみでありコメディー俳優時代までの盟友で、大統領選では陣営の中心的役割を果たしました。ベネディクトワ検事総長法律学者で大統領選で汚職対策を掲げたゼレンスキー陣営の顧問であり、ロシアの侵攻後はロシア軍の戦争犯罪の捜査にあたっていました。
 ゼレンスキー政権中枢にロシアのスパイが潜んでいるこということが今暴露され、政府・軍の引き締めがはかられているのは政権の危機を意味しているです。
 私はウクライナ軍の戦いが西側メディアや反対運動によって美化されていることに疑問をもっています。プーチンの暴虐は許されるものではありません。しかしプーチンの侵略に反対することがゼレンスキーの戦争を支持するものであってはいけないと思います。
 大統領の側近の解任は、これまでのそしてこれからのウクライナ軍の動向に異を唱えたものを排除したということを意味しています。具体的に何が対立したのかわかりませんがそういえるでしょう。
 ゼレンスキー政権の動きには米欧の帝国主義諸国家のどす黒い思惑やウクライナオリガルヒの利害が絡んでいます。テレビや新聞はゼレンスキー政権の内部対立と野党、反対運動の動きを明らかにすることを避けているように思われますが、ゼレンスキー自身が軍内部のロシアへの通敵行為を暴露しはじめたのは戦争が行き詰まっているということです。
 ウクライナ労働者階級は戦争が嫌になりはじめているのではないでしょうか。キエフでは警報が鳴っても避難しない人が多いと伝えられています。戦争反対の闘いを生活のなかからつくっていくときだと思います。
 私は露・中――米・欧・日の角逐の狭間でゼレンスキー政権に犠牲を強いられているウクライナ労働者民衆と、プーチンの弾圧に抗したロシアの反戦平和の闘いを日本の地で支援したい。