[1028]今のウクライナ戦争

 ロシアのプーチン大統領は30日ウクライナのルガンスク、ドネツク、ヘルソン、ザポロージア4州の併合を宣言しました。ロシア派住民によるといわれる住民投票の結果、各州が高率でロシアへの編入に賛同しその要請を受けて併合を宣言しました。

 これは明らかにプーチンが、米欧の支援を受けたウクライナ軍によって軍事的劣勢を強いられたことに対する反撃にほかならないと思います。

 私はプーチンによるウクライナの侵略的併合に反対します。そしてさらなる戦争継続を煽り立てるゼレンスキーの戦争拡大に反対します。ウクライナの労動組合はゼレンスキー政権による労働法改悪反対闘争を進める中で、ロシア軍の越境侵攻にたいしてレジスタンスを展開しています。

 私は日本の労働組合のなかでウクライナの労動者と連帯してロシアの侵略に反対するとともに、日本政府の戦争加担に反対してたたかっていますが、日本のメディアのゼレンスキー賛美、戦争礼賛は目に余るものがあります。

 「ウクライナ○○を奪還」とか「△△に進撃」とかという、ウクライナゼレンスキー政権の戦時公報をそのまま流しています。そして同時に台湾海峡危機北朝鮮ミサイル実験のたびに臨時ニュース流し戦争危機を煽っています。ウクライナ戦争をきっかけとして高まる新東西危機を日本の軍事力の強化を実現するために利用する岸田政権。その政権が流す情報を無批判的に流しているのが今日の日本のメディアです。

 私はメディアの流す情報を鵜呑みにしてはいけないと思います。

 週刊ポストがメデイアの論調を批判する対談を配信したので紹介します。傾聴に値します。。

【対談】佐藤優×片山杜秀ウクライナは西側諸国と同じ価値観」というメディア主張は無理筋 1 

9/30(金) 7:15配信 慶應大学法学部教授の片山杜秀氏がウクライナについて分析

ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが連日、紙面を賑わせているが、欧米発のストーリーに日本人が相乗りすることに危険がある。新書『危機の読書』を上梓した作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、慶應大学法学部教授の片山杜秀氏とともにウクライナ問題の本質を語りあう。【全4回の第2回。第1回から読む】 

片山:ウクライナ危機では、すべてのメディアが、ウクライナは西側諸国と価値観が一緒だから、日本も足並みを揃えよう、支援しようと主張した。しかし価値観が一緒というのは無理筋でしょう?

佐藤:おっしゃる通りです。ウクライナ歴史観ひとつ取ってもそう。いま広まっているウクライナの歴史は、実証的な歴史学には耐えられない、ガリツィア地方の民族主義者の主張をもとにしたウクライナ版の皇国史観とも呼べる代物です。

片山:ソ連崩壊後の30年間、ウクライナ政党政治もままならず、大統領の独裁体制のような形で国を動かしてきた。そして2014年に親ロシア派の大統領を追放したマイダン革命が起きた。以降、ロシア帝国時代から存在したウクライナ神話(皇国史観)を利用して、民族主義ナショナリズムを煽ってきた背景があります。でも解説者は、そこには触れませんね。

佐藤:たぶん知らないのだと思います。ウクライナについての研究書や専門書もほとんどありませんから。専門家やコメンテーターは、ウクライナ皇国史観をもとに話をするから、妙な方向に向かってしまう。ウクライナが抱える問題を理解するには『国民の僕』を見た方がずっといい。

片山:ゼレンスキー大統領がコメディアン時代に主演したドラマですね。見なければ、と思っていたのですが……。

佐藤:劇中で、2049年ウクライナは、ヨーロッパの最先進国に変貌しています。大学で、30年前の自国を振り返る授業をするシーンからドラマがスタートします。なかでも重要なのはシーズン3。ウクライナが28か国に分裂してしまう。そこに、大統領に扮したゼレンスキーが登場して、ウクライナが救われる。

片山:現実を予見したようなストーリーですね。

佐藤:『国民の僕』では最後の最後までドンバス地方とガリツィア地方だけは一緒にならずに対立を続ける。いまのウクライナも、国が分解してしまうという、この恐怖感に支配されている。

片山:ゼレンスキー大統領の「最後の一兵まで戦う」という発言はまさにドラマのセリフだったんですね。

佐藤:ゼレンスキー大統領自身は、主観的には、戦争を避けてウクライナの統一を維持したいと思っていたと思います。ところがシステムを動かした経験がない。そもそも彼の芸風は、志村けんさんの「バカ殿」なんですよ。彼の“笑い”は、まともな周囲の存在があって成立する。政治だってそうなんです。閣僚や側近の力を借りなければならない。実は、大統領のブレーンのほとんどは、このドラマの仲間や番組関係者たちなんですよ。

片山:ドラマに現実政治が飲み込まれてしまったわけですね。この30年間、ウクライナが目指した民主政治の帰結がそれだと思うと、皮肉ですね。 (第3回につづく)

 

私の感想∶

この対談はメディア批判でもあります。話されていることを参考にして、ウクライナの内部に立ち入って自分の頭でよく考えなければならないと思います。

 今ウクライナで起きていることは、私たちが戦争反対の意志を持って、「米欧日資本主義・ウクライナ資本主義ーロシア・中国資本主義」の対立で揺れ動く現代世界の場に意識的に立って考えなければならないと思います。