[1127]日米で原発次世代革新炉の開発

  政府は12月22日のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で原発稼働上限60年を延長するとともに、「次世代革新炉」という文言で新増設をも基本方針に入れました。

 まだ国会が始まっていないこの時期、早くも西村経済産業大臣が訪米し9日にはグランホルム米エネルギー省長官と次世代革新炉の共同開発・建設にかんして合意しました。

10日の日経新聞ウェブは次のように伝えています。

日米、次世代原発の輸出で協力 閣僚が合意

2023年1月10日 7:31 (2023年1月10日 7:36更新)

【ワシントン=飛田臨太郎】西村康稔経済産業相と米エネルギー省のグランホルム長官は9日、ワシントンで会談した。小型モジュール炉(SMR)などの次世代型の原子力発電を巡り、第三国への輸出などで協力すると合意した。東欧やアジアを念頭に置く。

会談後に発表した共同文書には「SMRを含む次世代革新炉の開発・建設などを、それぞれの国内や第三国で開拓する」と記した。

岸田文雄政権は2022年末に原発再生可能エネルギーの「最大限の活用」をうたった新しいエネルギー政策を打ち出した。西村氏は会談後の記者会見で「米側から日本政府が発表した原子力政策は『重要である』と言及があった」と明らかにした。米政府が公式の場で評価する方針を示した形だ。

ロシアのウクライナ侵略を背景に、エネルギー市場は不安定になった。日米両政府は特定の国・地域に過度に依存しないエネルギー政策を推進する。共同文書に「同志国で、ウラン燃料を含む原子力燃料及び原子力部品の強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)構築に向けて取り組む」と明示した。

両閣僚は米国産の液化天然ガスLNG)をめぐり日本への輸出促進についても協議した。文書には米国の天然ガスの輸出能力が倍以上になる見通しに触れた。

西村氏は「グランホルム氏とはエネルギー政策の方向性で完全に一致した」と強調した。日本が23年に議長国を務めるG7(主要7カ国)の議論で、日米がエネルギー分野を主導すると確認した。

以上引用

 政府の動きは速いです。国会での議論は完全に置いてきぼりです。13日の岸田-バイデン会談で共同声明を発表し日米軍事同盟の強化とともに次世代型原発共同開発への踏みきりを既成事実とするでしょう。福島第一原発の融けた核燃料の運び出しも始まってないだけでなく、専門家がそう遠くない時期に南海トラフ地震が来る可能性が大きいと警告しているこの時期に、岸田政権は後は野となれ山となれ、とばかりにバイデンのアメリカとの関係を密にして原発開発に邁進しています。

連合指導部ははさらに政労使一体化へ

 連合芳野会長は12月のGX実行会議に委員として参加し発言していますが、原発問題にはふれませんでした。労働組合の代表がGX会議に参加することそのものが問題ですが、参加して黙認してしまえば政府は政労使の合意を取り付けたとしてプランをフリーハンドで進めるのはいわば当たり前です。

 今、労働組合はまさに「ターニングポイント」に立っています。