[1132](寄稿)医療いろいろ その73−3

ペンギンドクターより
その3
 本の話をします。年末年始で読んだ本です。相変らず目をショボショボさせながら本を読んでいます。ただし、パソコンの文字を見るよりも本の方が楽です。むしろ寝転がって時々ウトウトしながら本を読むのは悪くありません。
 最もお奨めは三浦有史『脱「中国依存」は可能か——中国経済の虚実』(中公選書、2023年1月10日発行)
 著者は、日本総合研究所調査部上席主任研究員。1964年島根県に生まれる。早稲田大学社会科学部卒業。日本貿易振興会(JETRO)入会。初代ハノイ事務所所長などを経て、現職。著書に『ODA(政府開発援助)——日本に何ができるか』(中公新書渡辺利夫氏との共著)、『不安定化する中国——成長の持続を揺るがす格差の構造』(東洋経済新報社、第6回樫山純三賞受賞)などがある。表紙裏のコピーを記します。
 
 中国は経済成長率が目標を下回るなど減速が著しいが、世界における重みは着実に増し、日本の最大の貿易相手国でもある。だが、深まる一方の「中国依存」に対する不安も急速に高まっている。脱「中国依存」は可能なのか。本書は各種の統計データに基づき、中国経済の正しい見方を提示する。あわせて「共同富裕」や不動産バブルなど習近平政権下の経済政策・経済問題を検討し、今後を展望するとともに、日本の取るべき指針を示す。
 
 コピーにあるように、この本には各種の統計があふれています。様々な角度からの情報統計であり、こういう人がいるというのは日本もまだまだ大丈夫だという感じさえしました。島根県出身とありますが、どこかはわかりません。
 駅ビルの書店には嫌中、嫌露など著者を見るだけで内容がわかる「迎合本」が溢れています。嫌韓本は目立たなくなりましたが、きちんとした統計データ、イデオロギー抜きのデータに基づく指針が必要な時代です。今中国のGDPは日本の3倍です。貿易量ではアメリカを抜いています。早晩GDPでもアメリカを凌駕します。国家資本主義、独裁資本主義であることは確かですが、ロシアと異なり、14億人という人口はきわめて魅力的な市場なので、世界中が中国抜きで経済発展を意図することは不可能です。私は中国に3回行きました。もちろん観光ですが……。
 ただし、中国国民の経済格差は極めて大きく、この本で詳細がわかります。
 この本は選書であり、値段も税込み1980円と新書や文庫よりも高額でしたが、読みがいのある本でした。年末にはアベノミクスを批判する本、反対に高評価する本も読みました。今の時代を私なりに理解しようと努めています。
つづく