[1199]ウクライナ戦争をめぐる駆引きの激化

 習近平プーチンが会っているのと同時期に、岸田首相がキエフ(キーウ)入りしゼレンスキー大統領と会いました。

 メディアはこぞって「電撃訪問」と言っていますが、報道の仕方もふくめて、予定計画的なパフォーマンスだと思います。ロシアにも事前通告していました。

 岸田首相はゼレンスキー大統領との共同記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ」と言いました。確かにプーチンは米国中心の国際秩序を壊しました。記者会見の発言は西側世界の力の翳りを意味するというこを本人は気づいていません。影響力を弱めた米国にたいする忠誠の証といえましょう。

 もはやウクライナ戦争は中国、ロシアと米欧、ゼレンスキーの思惑によって収拾のフェーズに向かっているように私は感じます。これから起きる国際会議やウクライナの戦闘は、自国に有利なかたちで戦争をおさめるための駆け引きの色合いが強くなると思います。こう言っているときにもロシア軍はウクライナ東部に非人間的な攻撃を続けています。

 習近平の動きは注視しなければなりません。イランーサウジの関係回復の仲介をした中国はウクライナ戦争の収拾にのり出しはじめました。習近平は戦争の現状と戦争に群がった西側諸国支配階級の疲れを感じとっているのでしょう。和平案の現実性ではなくその動きをすること自体が戦争をめぐる情勢が支配階級的な収拾に向かいはじめたということを物語っていると思います。

 戦争はウクライナとロシアの兵士、民衆の犠牲を背後に残して、核戦争の危機を孕みつつ、東西権力者の新しい支配の枠組みが形成される過渡に向かっています。

 本質的には祖国を持たない労働者階級の自覚と力はゆっくりとではあれ積み重ねられていかなければならない。しかし、その梃子となるべき労働者の党の世界的混迷はなお霧の中です。