[1260]「小さな豊洲市場」

 

 日本政府は中国を意識した東南海進出をジワリと進めています。今日の朝日新聞一面に「南シナ海に『小さな豊洲市場』 中国に対抗 日本が漁業支援」という記事が載っています。

 インドネシア大ナトゥナ島のスラットランパという漁港に日本が支援する冷凍施設や加工場などの設備が建設されています。日本政府関係者はこれを「小さな豊洲市場」と呼び約40億円の無償援助を行います。

 この漁港がある大ナトゥナ島カリマンタン島マレー半島に挟まれた南シナ海の南端にあり、中国が管轄を主張する「9段線」と重なるところだそうです。カリマンタン島は、30年前に私が新木場の合板製造工場で働いていた頃、そこで伐採される広葉樹の原木の生産地として身近に感じていた島です。あの島の近くが中国と日本(米国)の勢力圏の前線になっているとは、「新しい戦前」がここにも顔を出しているというわけです。

 このブログの〈[1205]自衛隊が太平洋島嶼国に軍事能力構築支援、今日版「共栄圈」づくり〉〈[1211]ODA予算拡充、「インド太平洋」初めて明記、OSA新設〉で書きましたが、日本政府は米国の東アジア戦略の一端を担う形で着々と東南アジアに経済的軍事的に進出しています。

 新東西冷戦は、西方ではウクライナNATO圏化に危機感を高じさせたロシアの侵攻とNATOに支えられたウクライナの防衛戦争として火を噴き、東方では台湾海峡の米中相互の軍事的体制の強化という形で緊張を高めています。そればかりではなく、東西帝国主義国家は世界のあらゆるところでせめぎあっています。「小さな豊洲市場」建設はその南シナ海版という観点から注視しなければないと思います。