[1265]欧州で広がる「強欲インフレ」ギアフレーション

 

 ヨーロッパではインフレが収まりません。

 ドイツ、イギリスでは賃上げを要求したストライキがくりかえされ、フランスでは年金の支給年齢引き上げに反対するストライキが執拗にたたかわれています。いずれの国もインフレが続き物価高で労働者階級は貧窮しています。ロシアのウクライナ侵略にたいする米欧日の経済制裁の影響で高騰した資源の価格は落ち着きはじめましたが、食品やサービス商品の値上げが大きくなりました。

 ユーロ圏の消費者物価指数上昇率は前年同月比7·0%で米国の4·9%、日本の3·5%を大きく上回っています。特に厳しいのが食品で4月の上昇率は13·5%です。9ヶ月連続で2桁の値上げが続いており、庶民の生活はきつくなっています。

 なぜ値上げは沈静化しないのか。

 日本でいう「便乗値上げ」が横行しているようです。これをヨーロッパでは「強欲インフレ」と呼びます。ドイツ語でGierは貪欲という意味です。そこで今のインフレをGierflation(ギアフレーション)と呼んでいます。小麦や大豆などの価格高騰が一服しても食品価格の上昇は止まらず、その説明がつかない状況です。

 ECB(欧州中央銀行)はインフレを抑ええるために金融引き締めに向かっていますが、金利の上昇は域内の財政難の国が行き詰まるため金融当局は悩んでいます。

 ドイツハンブルクでは賃上げを要求してストライキが広がっています。卸売業では13%の賃上げが焦点化しています。

 ヨーロッパNATO各国政府はこれからのウクライナへの支援を国内インフレ対策との関係で収める方向で考えるでしょう。

 日本も2023年春闘で大企業中心に控えめなベアを実現しものの、企業の日本版「強欲インフレ」に警戒が必要です。賃上げのない労働者も年金生活の高齢庶民は物価値上げは生活貧窮に直結します。