[1269](寄稿)医療あれこれ(その85)ー1

ペンギンドクターより
その1
皆様
 台風2号の影響もあり、梅雨前線が刺戟されたとのことで、雨が降っています。
 本日、私は7:20~8:00までの間、小学校に登校する生徒たちのための交通安全の立哨を務めました。傘は信号のある交差点までは持参しましたが、「通行中」の旗を扱うので、現場では傘はたたんで、100円ショップの透明なカッパだけで安全第一の交通整理をしました。30年近く前、娘二人が小学生の頃手伝った時に比べると子供の数が極端に減ったと思っていたら、本降りの雨だったので、近所の子供をまとめてお母さんが車で学校に送っていたせいでした。
 5月1日から一週間、腰痛と右足首の痛みで仕事以外は家から出ずにゴロゴロしていましたが、連休明けから活動を開始しました。ただし、令和元年5月1日から歩数のノルマを8000歩としたのを、一気に4000歩に落としました。おかげで腰痛も足首の痛みも軽減しました。4年間続けた8000歩のノルマも落とさざるを得ないほど、徐々にしかし確実に衰えは来ていると自覚しています。ここで無理をすると寝込むことになります。そういう人を見てきていますから。
 
 さらに、4月半ばに施行した人間ドックでの腹部エコーで「すい臓がガスのために不明」とのことで、先日精密検査の腹部CTを受けました。女房に「是非受けなさい」と叱咤されたせいもありますが、糖尿病の指標である「HbA1c」が6.7%と今までの6.2-3%から上昇したので、左背部痛や左胸部痛もあり、胸部から腹部まで単純および造影CTをお願いしました。放射線科専門医が常勤なので、その日のうちに結果がわかりました。異常はありませんでした。「脊柱管狭窄症」はあるとのコメントもついていました。
 糖尿病がすい臓から分泌されるインシュリンの絶対的・相対的不足から起こるのはご存知でしょう。糖尿病の治療をしている患者さんが今までの治療薬で良好な血糖コントロールをされていたのに、急にコントロール不良になった場合、すい臓がんがあったというケースがままあります。私が現役の外科医の頃、内科の開業医がそのケースに気づき、腹部エコーですい臓がんを発見、私の外科に紹介してきたことがありました。膵体部・尾部のがんで、一応根治的手術が出来ましたが、2年後に再発死亡されました。一方、膵頭部がんは黄疸で見つけられる場合も多く、こちらも手術してもせいぜい2年の寿命です。
 アメリカ在住の従姉がひと言「すい臓がん、ああ半年の寿命だね」と言っていましたから、世界中ですい臓がんの予後は不良ということになっています。
 私はすい臓がんを除外したかっただけでなく、左胸痛もあり、胸膜炎などもチェックしたかったからです。
 女房も上記のHbA1cが上昇したので、野菜を増やしライスの量を減らして体重減少に夫婦して務めています。おかげで私は1キロ、女房は2キロひと月近くで体重減少となり、数カ月後のHbA1cの再検査が楽しみです。女房は意外に早く減少したのでかえって不安になっています。いろいろ病気持ちですし。
 
 いずれにしろ、75歳ともなると、一気に様々な疾患がわが身に降りかかってきます。男性の平均寿命が81歳強ということは、元気な90歳前後の男性を見ると、その分私自身の寿命が減っているわけで、当然とも言えます。せめて平均寿命を全うしたいという希望はあります。寝たきりになれば、「もうそろそろいいな」と思うでしょうが、出来るだけ動ける状態で80歳代を迎えたいというのが、後期高齢者の偽らざる気持ちではないでしょうか。
つづく