[959](寄稿)第7波拡大


ペンギンドクターより
その1

皆様
 本日の気温は35℃が予想されているので、私は朝のうちに公園散歩をすませました。8000歩以上をノルマとしているウオーキングも連続250日を超えました。ウェザーニュースのおかげです。
 新型コロナウイルスCOVID‐19の感染拡大が続いています。官房長官も感染などあらゆる階層で感染者が増加しています。昨日は穂高連峰涸沢の診療所長から次のようなメールが飛び込んできました。

 「本日(24日)朝、涸沢ヒュッテの従業員1名(29歳男性)が39℃の発熱を主訴に来院。抗原検査を行いましたところ陽性との結果がでました。呼吸器症状などはなかったのですが、本人の倦怠感が強く、自力での下山は困難とのことで、常駐隊(注:涸沢ヒュッテのそばに診療所と長野県警の常駐隊宿舎があります)と相談の結果、相澤病院(注:松本市の基幹病院)までヘリ搬送の上、受診の運びとなりました。またヒュッテに濃厚接触者の有無について伺ったところ、複数人の濃厚接触者がいるとのことで、本日より少なくとも5日間は涸沢ヒュッテは宿泊者の受け入れは停止するとのことでした。幸いにも、当診療所には濃厚接触者に該当する方はおりませんでした。・・・・・・」

 私の推測ですが、スタッフはかなり前から入山しているはずですから、涸沢を訪れた入山者から感染したと思われます。無症状ないし軽い風邪症状の感染者も多いので、感染源の人物はケロッとして下山したのかもしれません。誰から感染したかということは不明のままでしょう。
 私が涸沢診療所長をしていた頃、もう30年以上前ですが、捻挫で歩けない入山者に下山のためヘリを呼ぶと、40万円前後かかったと記憶しています。今は保険もありますが、涸沢ヒュッテの従業員ですから、保険に入っているかもしれません。
 いよいよ海抜2500メートルの高地にもCOVID‐19が猛威をふるいだしたということでしょうか。

 私のまわりを見ますと、7月19日(火)に検診の仕事をしていた時のことです。小児科クリニックの職員が検診に来ていて、私は型の如く検査着の上から、聴診器を当てて心肺聴診をし、頚部の触診、眼瞼結膜などのチェックに被験者の顔を軽く触れた後のことです。ナースが来て、その被験者の仕事場の小児科クリニックの院長が「コロナ陽性だったと今連絡がありました。先生、手の指の消毒など丁寧にしてください」ということでした。
 診察室の私の手元には、アルコールがあり、適時私も手指消毒をしています。ただ一人一人の診察毎に消毒しているわけではありません。受診者はすべて体温チェックをしています。もちろん我々医療従事者も朝仕事の前に体温を測定しています。「接触感染」(受診者が感染していてその衣服や皮膚などに触れて感染する)は可能性がありますが、現実に多いものとは思いません。しかし、小児科クリニックの院長が感染したのであれば、そのクリニックの職員は当然濃厚接触者でしょう。その人に触れたのですから、ちょっと気にはなります。しかし、その後本日で6日経ちましたから、私の感染はなかったということになります。
 ここまで感染者が増えると、そこら中に感染機会はあると言えるでしょう。7月30日(土)の歯科受診は8月27日(土)に延期させてもらいました。歯の具合は良くはないのですが、違和感というか軽い痛みは右奥歯に食後のみにあるので、1カ月延期でもいいと判断しました。

 転送する主張は、現状からみて的を射た主張です。(編集者註:次回掲載)
 先日、山際内閣府特命担当大臣(経済再生担当、新しい資本主義担当、新型コロナ対策・健康危機管理担当、全世代型社会保障改革担当)から新型コロナ(COVID‐19)を2類から5類にするという検討を開始するという発言がありました。彼は山口大学農学部を卒業して東京大学で博士号を取得した「獣医師」の資格をもっている神奈川選挙区選出の衆議院議員のようです。一気に拡大して時間の余裕はないけれども、現場の意見をくみ上げつつ早急に結論を出してほしいと思います。しがらみというか、利害の錯綜する厚労省より、特命担当大臣の方がいいのかもしれません。
 今読んでいるレスター・C・サロー『日本は必ず復活する』(原題はJapan'S
ECONOMIC RECOVERYで「必ず復活する」という標題ではありませんが)(TBSブリタニカ、1998年11月26日初版、原文も1998年)にも日本の復活を促す警告がありますが、結局日本はまだ復活できていません。この本は20年余り前に購入したもので途中までは読みましたが読了はしていませんでした。サローは1938年生れの有名なアメリカの経済学者です。当時マサチューセッツ工科大学経済・経営学教授でした。
 この本の第4章は”瀕死”のロシア経済に未来はあるか、です。共産主義から資本主義への移行がいかに困難を伴うものかということが、よくわかります。もちろん第1章日本経済の崩落、も示唆的です。古い本を読むと世界がより見えてきます。頑張ってこれからも読書を続けます。

 ああそうそう、7月27日(水)は検診担当のパートの医師が「コロナ陽性」になり、代わりに私に仕事の依頼がありました。それがなくても、女房の言うには「次兄の告別式には感染が怖いからあなたは不参加の方がいい」とのことでした。いよいよ新型コロナウイルスがまわりに迫っています。皆様もお気を付けください。では。

つづく