[977](寄稿)東京大学の教育機関としての品位を問う

ペンギンドクターより
その3
 
 本日転送しますのは、東京大学の理Ⅲの学生で「単位不足?」のため留年となった学生の話題です。東京新聞が最初にとり上げたようですが、他のマスコミも報道しているのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。遠因はCOVID‐19関連ですので、転送します。

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 東京大学教育機関としての品位を問う ~東京大学教養学部長森山工氏の発表した抗議文を読んで~

 北海道大学医学部
 金田侑大

 2022年8月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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 北海道大学医学部4年の金田侑大です。本日は、東京大学教養学部理科3類2年杉浦さんの、文部科学省での記者会見(https://news.yahoo.co.jp/articles/c9a0fde40031b97cc0774ad14f3c88b422ffcfbf )
を受けて、東大側(教養学部長森山工氏)が提示した抗議文( https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/20220805_soubun-announcement.pdf )に対して、一医学生である私の意見を述べさせていただきます。

 はじめに結論を述べますが、東大側の、学生を後回しにする姿勢に驚いた、と言うのが正直なところです。以下に気になったポイントを整理して述べます。

 1.他の学生との点数の入れ違いがあったとのことですが、その件に関してはこれまで一度も説明されていませんでした。杉浦さんは過去に数回にわたり、東京大学教養学部に対して、自身の成績処理に関する説明を求めています。しかしながら、初回の不可問い合わせには、まともな回答もなく杉浦さんは17点の下方修正を受けているのですが、その件に関してこの書面では全く触れていません。もし仮にほかの学生との点数の取り違いがあったのであれば、該当学生への連絡、および、他の学生の点数に関してもすべて確認するということが、杉浦さんが一か月半もの間、大学からのまともな回答を得られず、メディアに訴えなければいけない状況を作る前に、大学が行わなければならない措置だったのではないでしょうか。

 2.杉浦さんが欠席した5/17(火)夕刻にアクセスがあった、とのことですが、多少でも症状が軽くなったら出席フォームを開いてみて、連絡や提出など、一応できないか確認をするのが、学生の感覚としては普通だと思います。これを読んでいる皆様はどう思われますでしょうか。その夕方時点でのアクセスを根拠に、11時までの所定の手続きが踏めなかったとは考えられない、と主張をすることは、あまりにも学生の状況に対する想像力が欠けているのではないでしょうか。そればかりか、医師の診断書を認めず、杉浦さんを不審者扱いしている点は、大学側の品位を問いたいところです。

 3.なぜか大学側が、杉浦さんとの直接の面会と説明を拒否している点も不可解です。もし何も隠すようなことがなければ、杉浦さんが表に出て状況を説明している以上、東大側も弁護士などと相談して抗議するのではなく、教養学部長や担当された教員が表に出て、一言説明をすべきではないのかと思います。

 4.今回の問題の本質は、杉浦さんがコロナに罹患し、授業を欠席したことで際に提出した診断書が、担当助教に認められず、代行措置を受けられなかったということだと思います。しかしながら、今回の一連の東大側の対応は終始、11時までに所定の連絡を行わなかった、診断書の提出が1週間遅れていたという手続き論に終始していることに、違和感を覚えます。そのような対応をしている限り、学生と教員との間で信頼関係を築くことは難しく、対応としていかがなものかと感じます。目の前の学生ではなく、既存の制度を重視する現在の体制では、コロナ下で、杉浦さん以外に限らず、多くの学生が不利益を被ることになってしまうと思います。

 実は、私も以前、北大で似たような経験をしたことがあります。2年生の1月頃、鬱病を罹ってしまい、テストがまともに受けられない時期がありました。北大では普通の科目であれば再試験をやってくださるのですが、ある科目の教授は、今回の杉浦さんのケースと同様、"独自のルール"を盾に、なぜか再試験をやってくださらない方でした。その際、診断書も提出しに行ったのですが、教務からは”成績を付けるのは各教授なので、直接相談しに行ってください”と伝えられ、直接相談しに行ったときに教授からかけられた言葉は、”個別に配慮することはできません”という一言のみでした。北大では2科目まで落としても進級できるので、仮進級という形で私はなんとか進級ができ、友達のサポートもあってなんとか回復できましたが、もし留年していたら、より深刻な後遺症を引きずることになっていたかもしれません。

 加えてですが、私が今年の7月まで留学させていただいていた英エディンバラ大学(QS世界大学ランキング16位)では、授業の欠席や、課題提出の延長申請に関して、診断書の提出を求められたことはありません。そればかりか、「彼女が浮気していたことが発覚して辛い。カウンセラーに相談したい。」と、課題の提出期限ぎりぎりに1週間の課題提出期限の延長を申請した際も、“それはSpecial Circumstancesが認められるよ”(詳しくはこちらの記事をご参照ください→
> http://medg.jp/mt/?p=11033 )、と、課題の無期限、提出期限延長という、私が申請した以上の対応を行ってくださいました。大学側が学生を信頼し、学生ファーストの運営をしているからこそ、このような対応が可能なのだと思います。
 おそらく、日本の大学であれば、問答無用で、“何を言っているんだ”、と、私の申請は却下されていたと思います。東京大学は、現在のところ、QS世界大学ランキングこそ23位ですが、このように学生を後回しに扱っているようでは、いくらグローバル化を謳ったところで、世界のエリートが集まる大学になるわけがないでしょう。

 おかしいけど仕方ないよね、と、我慢して受け入れることが、本当に正しいことなのでしょうか?

 世の中には理不尽なことが溢れていると言います。本当にそうだと思います。しかし、今回のケースのように、勇気を振り絞って声を上げた杉浦さんに、圧力をかけるようにも見えるこの抗議文を提示したことは、やはりおかしいのではないかと、私も声を上げずにはいられませんでした。そもそもの問題は、学生が主体的に学ぶことができる大学の体制づくりを怠った大学側にあるはずです。現に、文部科学省は各大学で、実習などのコロナ代替措置として、オンラインで実施できる体制を整えるように以前から通達を出していたはずです。そのため、これらの問題は分けて考えることはできないと思います。このような問題を他人事にすることなく、杉浦さんの声を枯らさず、より遠くに広げていくことが今の私たちには必要だと私は思うのです。

【金田侑大 略歴】
 フラウエンフェルト(スイス)出身。母は日本人、父はドイツ人。私立滝中学校、私立東海高等学校を経て、北海道大学医学部医学科4年に在学中(2年目)。2021年9月から2022年6月まで、イギリスのエディンバラ大学に留学していたが、その“コウイショウ”で最近漢字が全く書けません。皆さんも、コロナニュースでよく見かけるこの“コウイショウ”、受験生に戻ったつもりで、ぜひ手元で一度書いてみてください。答えは本文の中にあるので、是非この文章や引用した記事は、何度も読み返してくださいますと嬉しいです。
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 ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。
 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp

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 MRICの英語版として、MRIC Globalを立ち上げました。
 MRICと同様に、医療を超えて、世界の様々な問題を取り上げて参りたいと思います。
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http://expres.umin.jp/mric/mric_hennsyuu_20211101.pdf
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 今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp

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 MRIC by 医療ガバナンス学会

[976](寄稿)本の紹介 山下真一『資源カオスと脱炭素危機』

ペンギンドクターより
その2

ここで一冊の本を紹介します。
 山下真一『資源カオスと脱炭素危機』(日経プレミアシリーズ477、2022年7月8日第1刷)
 山下真一氏は、日本経済新聞社 編集 金融・市場ユニットシニアライター。1964年生まれ。1987年日本経済新聞社入社。証券部記者、シカゴ支局長、証券部次長などを経て、東京編集局法務報道部長。その後、デジタルメディア局次長、副ユニット長。2020年から現職。著書に『オイル・ジレンマ』(日本経済新聞出版)がある。裏表紙のコピーを記します。

 「時代遅れ」と切り捨てたはずの化石燃料が、ロシアのウクライナ侵攻で改めて脚光を浴びている。時代は逆流し、グローバルな脱炭素への取り組みは後退するのか。本書は、エネルギーを中心に混迷する資源の動きを追い、いま世界で何が起きているのかをわかりやすく解説する。
   本書の主な内容
プロローグ 脱炭素でも化石燃料に脚光の皮肉
 第1章 原油のカオスが始まった
 第2章 石炭、天然ガス不都合な真実
 第3章 金属もカオス時代に入った
 第4章 食料高騰のカオス
 第5章 環境重視か資源確保か

 ロシアがウクライナ侵攻したというニュースを聞いた時、皆様にも言いましたが、これで「SDGsなど吹っ飛ぶ」と思いました。しかし戦争以前にすでに「脱炭素」の試みは相当無理があったということをこの本で知りました。例えば、シェール革命のおかげで、アメリカが世界一の産油国になったのですが、アメリカではガソリン価格の高騰でバイデン政権が窮地に追い込まれているという現実があります。それはガソリン価格が高騰したら、需要供給の原理から、原油増産につながるのに、長期的に化石燃料は減産ということが明確になっているので、増産のための投資を誰もしない・・・・・・。だからアメリカでは物価が高騰していてもそれに対応できない。FRB金利をあげるけれども、それは景気後退につながるだけで物価は下がらない・・・・・。いよいよトランプ再登場の恐れも出てくる。・・・・・・。
 資源についていえば、ニッケルとかリチウムとか、脱炭素に必須の金属は、ロシア・中国が資源の多くを握っている。日本の立場は難しいようです。

 204-205ページには、著者のこんな文章があります。
 資源はカオスの時代に入った。不要とされた化石燃料に依存せざるを得ない矛盾。脱炭素時代に簡単に増産できない現実。鉱山に逆風が吹く一方で、EVを中心に金属需要が爆発的に拡大するジレンマ。食料の増産を阻む肥料高騰の影。期待の高まる再生可能エネルギーに吹く逆風。
 環境重視か、資源確保かの問いはゼロエミッションの2050年まで続くかもしれない。


 この本では原子力発電のことは触れられていません。資源を輸入に頼る日本はどうすればいいか。一つの方法としてはリサイクルでしょうが、私は暗澹たる気持ちになりました。
 ではまた。

編集者より
次回、次々回で東大生留年問題について、金田北大医学生と尾崎医師の意見を紹介します。

[975](寄稿)揺れ動く政府、日本の医療行政は大丈夫でしょうか。


ペンギンドクターより
その1

皆様
 暑いですね。8月7日の立秋を過ぎて猛暑が続いています。いかがお暮しでしょうか。私はウェザーニュースを見て午後猛暑とあると仕事の日でも朝のうちに公園散歩をしています。明日土曜日は台風ないしそれに近い低気圧がやってくるので、臨時の仕事日でもあり、ちょっと悩んでいます。いざとなれば、最近の女房の試みのように、家の一階の部屋を廻って一時間競歩?するかなと考えています。アムロジピンをニューロタンに変更したおかげで、下腿足背のむくみはなくなりました。ニューロタンの25ミリは維持量の半分ですが、効果十分で朝夕の血圧も収縮期圧110前後・拡張期圧60台となりました。高齢になると一般的に血管は弾力性がなくなるため、拡張期圧が低下します。未治療の老人など極端な場合、上が180下が50と差が大きくなり、この状態が最も危険です。というわけで私のニューロタンへの変更は正解でした。今月末にはクリニックを再診し、90日分処方してもらうつもりです。
 コロナワクチンは4回目がすみましたし、先日は5年ぶりの肺炎球菌ワクチン接種もすませました。肺炎球菌ワクチンは2回目ですから補助は出ないので8000円の自費でした。衰えはあるので今出来ることはやっておきます。

 本日転送しますのは、東京大学の理Ⅲの学生で「単位不足?」のため留年となった学生の話題です。東京新聞が最初にとり上げたようですが、他のマスコミも報道しているのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。遠因はCOVID‐19関連ですので、転送します。金田北大医学生の主張はイギリスエジンバラ大学留学のメールでお馴染みです。この主張に続いて、本日この後、こちらもお馴染みの東大学生杉浦氏の17年先輩にあたる尾崎医師の意見も転送します。(編集者註∶次々回に紹介します)医学生杉原氏が怠惰な人間ではなく、社会的な視点を有する有望な学生であることは確かなようです。
 1968-69年の東大全学の闘争(紛争)につながった東大医学部処分問題でもそうでしたが、東大というところは、往々にして柔軟性を欠いた「官僚的な対応」に終始するところがあります。つまり「東京大学」というのは松本清張立花隆などに取り上げられたように「官僚養成」の大学として出発した経緯もあり、また他大学に比べて東大教授ともなればより安定した職場でしょうから時代の変化についていけない面もあるかもしれません。いろいろな意味で、この問題の今後の推移が注目されるでしょう。
 そもそも、コロナ第7波、ロシアのウクライナ侵攻、安部元首相主導の「旧統一教会」との癒着に端を発した政局など、日本の現状は極めて危機的ではないかと思われます。一人の医学生の留年どころではないと言う人も多いでしょうが、日本の教育の大きな問題の一端がここにあらわれているような気もします。
 ちょっと話題が飛びますが、岸田改造内閣で新たに文部科学大臣となった「永岡佳子氏」は今まで少しでも教育現場とか教育行政に意見をもっていたという話は聞きません。岸田政権が教育というものを軽視しているのかと疑いたくなる閣僚選出でした。とりあえず「女性」を起用するために選出したのかと女房と話していました。当面は経済・コロナが最も大切なのはわかりますが、若い人の教育は日本の沈滞を打破するために絶対的に必要です。IT時代の若者の再教育は経済復興につながります・・・・・・。
 
 コロナですが、私の勤務している病院のコロナ感染者情報をホームページから引用します。
7月11日(月)、16日(土)・・・当職員2名
7月20日(水)、21日(木)、22日(金)、23日(土)・・・当職員10名
7月25日(月)、28日(木)、29日(金)、31日(日)・・・当職員4名
8月1日(月)、2日(火)、3日(水)・・・当職員3名
新型コロナウイルス感染症への感染が判明しました。現時点で本件による診療の制限はありません。
 
 全国の病院でも似たような状態でしょう。日大板橋病院では47名の医師の感染が判明し、入院体制を縮小するとのニュースがありました。重症化する患者さんは少ないとはいえ、医療従事者の感染が急増しているので、外来・入院を通常通り動かすことは不可能です。それなのに、医療従事者の4回目ワクチンは施行せず、としていた政府、あわてて4回目を接種することになって、またまた不信感が広がっています。オミクロン株に有効なワクチン接種も始まるようですが、揺れ動く政府すなわち日本の医療行政は大丈夫でしょうか。
つづく

[974]「ウクライナ解放」をいいはじめたラブロフ


 ラブロフが「ウクライナ解放」を語りはじめました。
共同通信から引用します。

ロシア外相「政権転覆目指す」 
ウクライナ国民の解放を支援
2022年7月25日 16時40分 (共同通信
 ロシアのラブロフ外相は24日、ウクライナ侵攻について「国民を敵視する政権からウクライナ国民が解放されるよう、必ず支援する」と述べ、ゼレンスキー政権の転覆を目指す考えを示した。ドイツのメディアが、訪問先のエジプト首都カイロでの発言として伝えた。
 ラブロフ氏は、今年4月のインドのメディアのインタビューでは「ウクライナでの政権交代は目指していない」と説明していたが、前言を覆した形。
 ラブロフ氏は20日にも、欧米の兵器供与を理由に、ロシア側が一部を実効支配するウクライナ東部ドンバス地域を守るにはウクライナ軍をさらに押し戻す必要があると強調していた。(共同通信

 ラブロフのこの発言はプーチン政権がウクライナ側の内部にゼレンスキー反対派の動きがあることを見て取っているということを示しています。バカノワ保安局長とベネディクトワ検事総長を解任せざるをえないほどにウクライナの政権内部には戦争遂行をめぐって亀裂が大きくなっているのです。ラブロフ発言はその動きに反応したものです。共同通信はラブロフが前言を覆したと論評していますが、当初のラブロフ発言は侵略の言い訳をしたものです。今回はウクライナ戦争の中でゼレンスキー政権が危機的になっているということにロシア支配階級が色めき立っているということです。
 私はプーチンのロシアがウクライナ政権交代に介入するのは反対です。それは米欧帝国主義に国家資本主義ロシアが対抗するものでしかないからです。
 戦争の只中でゼレンスキー政権の労働法の改悪にウクライナ労働組合は反対闘争に取り組んでいます。
 私はウクライナの労働者階級の反戦•労働法改悪反対の闘いを日本の労働組合員として支援します。

[973]米がウクライナ戦争に「直接関与」?

 
 日経新聞の国際面に「米は紛争に直接関与」という見出しがあった。3段見出しでそれほど大きくない。ウクライナ戦争への米軍関与をロシア国防省が非難しています。ウクライナ戦争は米軍がウクライナをおし立てた対ロ代理戦争とはいわれていますが、直接関与をしているとなれば 米露戦争です。 
 しかし私はウクライナ戦争を米露戦争といったり米露代理戦争と規定するのはアメリカが戦争で果す機能を本質と見なす誤りだと思います。
 あくまも米欧日の支援を受けたゼレンスキー政権がプーチンの侵略にたいして主導する戦争と捉えないとこの戦争の本質を見誤ると思います。
 ウクライナアメリカから高機動ロケット砲ハイマースの供与を受け、ミサイル発射に際してロシア軍の動向情報を得ているといわれていましたが、2日付の英紙デイリーテレグラフのインタビューでウクライナ軍の高官が「非常に優れた衛星画像を得ている」と明言しました。
 また、ロシア国防省ウクライナ軍は米英から情報から装備までほぼすべての提供を受けていると指摘しており、「バイデン政権に直接の責任がある」と強調しました。
 今ウクライナ戦争は台湾問題にも波及し事実上ロシア·中国対米欧日帝国主義の対立・抗争の白熱点となっているといわざるをえませんが、直接には東の資本主義と西の資本主義の利害に規定されたプーチンのロシアとゼレンスキーのウクライナの対内外の諸政策と動向をとらえなければならないと思います。。
 ウクライナの労働者階級は資本家階級の代表であるゼレンスキー政府による労働法改悪=解雇の自由化と闘うと同時にロシアの侵略に反対する戦いを生命がけで戦っています。私たちはロシア・ウクライナの労働者階級とともに民族をこえて戦争の停止を訴えるときです。

[972]ウクライナの労働法改悪、解雇規制撤廃か


 ウクライナ戦争の報道はありますが、ウクライナの国内の政治的経済的諸問題や労働運動についての記事は日本の公式メディアでほとんど見ることができません。ウクライナ戦争はなお続いています。5日、6日、7日と連続してザポリージャ原発にミサイル攻撃またはクラスター弾攻撃があり、これをロシア、ウクライナ双方が相手方の仕業だと発表しています。ザポリージャ原発は現在ロシア軍の支配下にあり、私は現段階でロシア軍が自軍に攻撃を仕掛けることはありえないと思います。
 ところで、戦争下でウクライナの企業活動は続けられており、労働者は働いています。私はウクライナの労働者が働く職場が心配になってインターネットを調べてみました。
 労働法改悪のいくつかの記事を見ました。7月ウクライナ議会は二本の労働法改悪法案を可決し、ゼレンスキー大統領がサインすれば法が成立します。一つは解雇の法的規制の撤廃です。もう一つは雇用主が労働者の最低労働時間を保証せず仕事があるときに提供することが認められるものです。
 イギリスのsocialEuropeという出版社にウクライナのジャーナリストからのレポートが紹介されています。少し長い引用になりますが、ウクライナ戦争の中でゼレンスキー政権の労働政策と労働組合の闘いの現状がわかります。翻訳がわかりにくいところもありますが、読み通していただければ現在のウクライナの重要な問題がわかると思います。
 ゼレンスキーの所属する与党は法改悪に賛成しました。労働組合は反対の闘いを呼びかけています。戦争も労働政策も根っこでつながっています。ウクライナのオリガルヒをはじめとする資本家階級の利害の実現のために戦争を続けるのは反対です。ウクライナの労働者民衆の生命と生活を守るためにプーチンの侵略に反対し、ゼレンスキーに戦争をやめさせなければならないと思います。

 

ウクライナ、労働者の権利を破壊する法律を可決

トーマス・ローリーとセルヒイ・ガズ 2022年7月22日

ゼロ時間契約が合法化され、労働力の70%が職場の保護から免除される予定である。

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非常に多くの国内避難民と非常に多くの企業が閉鎖されたため、多くのウクライナ人はあらゆる条件での仕事に必死になっている(Serhii Ivashchuk / shutterstock.com)

ウクライナ議会は、労働自由化に関する二つの新しい急進的措置を可決し、ロシアの戦争がウクライナ経済に大きな圧力をかける中、ウクライナ人が永久に労働権を失うという懸念を促した。月曜日と火曜日に可決された2つの法律で、議員はゼロ時間契約を合法化することに投票し、国の労働法によって保証された保護から国の労働力の最大70%を取り除く動きをしました。

後者の措置は、国家労働法が中小企業の従業員にもはや適用されないことを意味する。代わりに、各労働者が雇用主と個別の労働協約を締結することが提案されています。また、職場の解雇に拒否権を行使する労働組合の法的権限も取り除かれる。法案5371は以前、国際労働機関(ILO)やウクライナと欧州の労働組合から、「国際労働基準を侵害する」可能性があるとして批判されていた。

ウクライナの与党「人民のしもべ党」は、「雇用の極端な過剰規制は、市場自主規制(および)現代の人事管理の原則と矛盾する」と主張した。ウクライナの人的資源法における官僚主義的な手続きは、「従業員の自己実現と雇用者の競争力向上の両方にとって官僚的な障壁を作り出す」と示唆している。

ウクライナ労働組合連盟は、今、大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーに、署名のために彼に渡ったら、法案5371を拒否するよう求める。しかし、ゼロ時間契約に関する法案について、同じ要求はしないだろう、とウクライナのヴァディム・イフチェンコ議員はopenDemocracyに語った。

ウクライナシンクタンク、セドスのアナリスト、ナタリア・ロモノソワは、二つの法律は、ロシアの軍事作戦に苦しむウクライナ人にとって、既に困難な社会経済的状況がさらに悪化する可能性があると警告した。国連難民高等弁務官事務所の最新の数字によると、ロシアの侵略により、少なくとも700万人がウクライナ国内で避難を余儀なくされ、家族や個人に深刻な打撃を与えている深刻な経済危機によってさらに悪化している。同時に、世界銀行は、ウクライナ経済が今年45%縮小すると予測している。

ロモノソワは、ウクライナ人は雇用主に関してほとんど選択権も交渉力も持っていないと主張した。利用可能な欠員の数は、現在ウクライナで仕事を探している人々の数にはるかに不釣り合いである。「今の人々は交渉力がなく、労働組合は彼らを守ることができない」と彼女は語った。彼女は、強制退去の結果、「多くの人々がウクライナの移住労働者の状況に陥る」ことを恐れ、貧しい状況を受け入れ、雇用主にますます依存する以外に選択肢がほとんどない。

「チャンスの窓」

ゼレンスキーの党の指導的メンバーは、今月初め、ウクライナの労働法のさらなる自由化を約束した。「これらは、企業が待っている法案であり、すべての起業家の利益を保護する法案です。ところで、労働者も」とダニーロ・ヘトマンツェフ議員は書いている。

「労働者は、雇用主との関係を自分自身で規制できるべきです。国家がなければ」と、ウクライナ議会の財務委員会の委員長であるヘトマンツェフは語った。「これは、自由で、ヨーロッパ的で、市場指向の州であれば、州で起こることです。さもなければ、国はEU行きの急行列車で片足で旅行し、ソビエト時代の列車の中でもう片方の足で反対方向に行くでしょう。

ウクライナの労働弁護士ジョージ・サンドゥルは以前、openDemocracyに、国会議員たちは、ロシアによるウクライナ侵略を、労働法の抜本的な変更を押し通そうとする'機会の窓'として利用したと語った。ロモノソワもこれに同意し、規制緩和と社会的保証の剥奪は戦前からウクライナ政府の長期的政策であり、外国人投資家を惹きつける努力の一環である可能性が高いと主張した。

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今週可決された両法案は、ゼレンスキー政権と与党が2020-21年に労働法の規制緩和を試みたものである。その試みは、ウクライナ労働組合による抗議キャンペーンの結果として打ち負かされた - 戦争と戒厳令のために、今では想像しにくい見通しだ、とロモンソワは言った。ウクライナ政府と与党も、戦争のために国家が「福祉、雇用給付、労働者の権利の保護を買う余裕がない」とますます示唆している。

規制緩和の傾向とは対照的に、ロモンソワはウクライナ国民の間で社会民主主義に対する明確な支持を特定した。「年々、世論調査は、ウクライナ人が福祉に賛成するなど、強い社会民主主義的態度を持っていることを示している」と彼女は語った。「彼らは政府が彼らの労働者の権利を保護し、完全な社会的パッケージを提供することを期待しています。戦争でさえ、これを変えることはできません。

ゼロ時間契約

ウクライナの新しいゼロ時間法の下では、契約オプションを選択した雇用主は自由に労働者を呼び出すことができますが、契約は従業員に仕事を知らせるための方法と最小時間枠、および労働者が受け入れるか拒否するかの応答時間を定義する必要があります。法律はまた、これらの新しい契約で雇用されている人々は、月に最低32時間の労働を保証されなければならず、会社のゼロ時間契約の従業員の割合は10%を超えてはいけないと述べています。

ウクライナ政府は、法律の説明の中で、非正規労働に関与した個人は現在、「社会的または労働的保証なしに」雇用されていると述べた。政府が使用したゼロ時間契約は、「主に短期プロジェクトで働き、単一のクライアントのために働くことに限定されないフリーランサーの仕事を合法化する」のに役立ちます。

労働弁護士で活動家のヴィタリー・ドゥディンはopenDemocracyに、戦争によって引き起こされた経済危機の結果として、ウクライナ人はかつてないほど大きな「経済的リスク」と貧困に直面しており、これはウクライナの雇用主が「人件費を根本的に削減できる」ことを意味すると語った。ゼロ時間法の下で提案された新しい契約はまた、雇用主が忠実なまたは組合化されていないスタッフに安全な仕事を提供し、他の雇用主が製造した理由で不安定な雇用または即時解雇に直面した2層の職場につながる可能性があります。

これは、病院、鉄道駅、郵便局、インフラメンテナンスなど、緊縮政策の危険にさらされている公共部門の仕事を含む、何百人もの労働者がいる職場に影響を与える可能性があります。「これは不安定化への悲惨な一歩です」とDudinは言いました。それは「戦争によって影響を受けたウクライナ人が生活手段を得る権利そのもの」に疑問を投げかけた。

戦後?

欧州の労働組合は、ゼレンスキーと彼の党が2019年に権力を握って以来、ウクライナにおける労働自由化への傾向の高まりを長い間批判してきた。7月14日、法案5371に対する新たな投票の噂が広まる中、3つの労働組合連合は、ウクライナ政府と与党が労働自由化プログラムで「社会的対話と社会的権利というEUの価値を拒否し続けている」という懸念を表明した。「我々は、戦争の緊急事態が終わった後も退行的な労働改革が続くことを強く懸念している」と組合の書簡は述べ、改革は「EUの原則と価値観とは反対の方向に進む」と主張した。

ウクライナの国会議員は以前、法案5371をウクライナ欧州連合への統合に対する潜在的な危険として批判してきた。ウクライナは6月下旬にEUの候補者としての地位を与えられた。ウクライナEUとの2014年の連合協定には、労働者の公正な処遇を確保する条項が含まれている。

2010年から2014年にかけて雇用・社会問題・包摂担当欧州委員会委員を務めたラースロー・アンドール氏は、この新しい法律はウクライナがディーセント・ワークに関するEUの規範とは「全く異なる方向」に向かっていることを示唆しているとopenDemocracyに語った。この事件は日和見主義の大きな線量です」と、現在ヨーロッパ進歩研究財団の事務総長であるアンドールは語った。

ウクライナの議員は、ヨーロッパ大陸モデルと、非常に不安定な労働市場に向けたこれらの動きとの違いをよりよく理解する必要があります。ウクライナ労働組合は十分に耳を傾けられていない。これは欧州連合では初歩的なことです。

ウクライナには莫大な量の国家的結束があり、世界の他の国々はそれを賞賛している。しかし、私の意見では、これらの動きは、外国の侵略に抵抗するために非常に必要な国家の統一を損なう可能性もあります」と彼は言いました。

この法律の支持者は、労働自由化を打ち負かすウクライナ労働組合の努力を「彼らの影響力を維持する」試みとみなし、職場保護に関するILO条約は現代の労働市場と中小企業のニーズと「歩調を合わせていない」と主張している。

与党の議員は、法案5371が一時的な戦時中の措置として可決されることを示唆しているが、イヴチェンコと同じバトキフシチナ党員であるミハイロ・ヴォリネツ議員は、投稿で「誰も後でこの状況を元に戻すことができないことは明らかである」と主張した。 労働協約は廃止され、今日実施されている従業員保護のメカニズムでさえ機能しなくなります。これは労働分野における国際規範と基準の恥知らずな違反である」と彼は述べた。

これはopenDemocracyに初めて登場しました

トーマス・ローリー

Thomas Rowleyは、openDemocracyのセクションであるoDRの主任編集者です。

セルヒイ・グス

セルヒイ・グズはウクライナのジャーナリストで、ウクライナのジャーナリズム労働組合運動の創設者の一人である。彼は2004年から2008年までウクライナの独立系メディア連合を率いており、ウクライナのメディアの自主規制機関であるウクライナのジャーナリズム倫理委員会のメンバーである。

引用以上

[971](投稿)統一教会の政界汚染


■ 投稿:yahoo ニュースに掲載されていた中央と地方の政界の選挙の闇の深さは計り知れません。以下そのまま転載させていただきます。安倍元総理の「国葬」は全くふさわしいものではないと思える「デイリー新潮」の記事が書かれていますので参考までにお読みください。

統一教会の政界汚染、支援対象は「安倍さんの一存だった」 恩恵を受けた子飼い議員の名
7/27(水) 11:32配信
デイリー新潮
安倍元総理が応援している候補なら「ほぼ確実」

週刊新潮」7月28日号では、岸信介元総理が当時の米レーガン大統領に宛てた「統一教会の開祖・文鮮民の釈放を求める親書」について報じた。安倍家と教団のこうした関係性は、安倍晋三元総理の代になっても続いていた。選挙時の統一教会の支援対象は、安倍氏の一存で決まっていたというのだ。

「選挙で誰が統一教会の支援を受けるかは、安倍さんの一存で決まるといわれていました」  と明かすのは、自民党のベテラン秘書。 「教会の組織票は約8万票といわれています。ただ、衆院選では1選挙区当たりの統一教会の票数はそれほどでもないので、参院の全国比例でその組織力が発揮されます。どの候補を応援するかは、安倍さんの意向がかなり反映される。落選しそうな意中の候補がいれば、安倍さんから“彼を頼む”といった具合です」  
 実際、過去に統一教会系の団体から推薦を受けた元議員はこう語る。「推薦を受けるにあたって団体のトップと面談をします。そこでは、不倫スキャンダルや金銭トラブルがないことが条件で、さらに安倍元総理が応援している候補であれば、ほぼ確実に支援してもらうことができます。選挙の直前になると、統一教会系の施設で泊まりがけの研修を行います。自分の場合は妻同伴で2泊3日でした」

内部文書に「首相からじきじき」
 そうした安倍元総理肝いりの候補の一人だったのが、元産経新聞記者で、2013年の参院選全国比例で初当選した安倍派の北村経夫参院議員だ。カルト宗教に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏によれば、「初当選時、当時首相だった安倍氏が北村氏の選挙応援を教団に依頼しているのです」  
 教団の内部文書にはこう書かれていた。 「〈首相からじきじきこの方(北村氏)を後援してほしいとの依頼〉〈まだCランクで当選には遠い状況です〉〈今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です〉と。19年の参院選でも統一教会内部で北村氏を応援するビラが出回っていました」  
 北村事務所は取材に、「旧統一教会から支援を受けたことも、見返りを求められたこともありません」 と回答するも、自民党山口県連の関係者によれば、「北村さんはいずれの選挙も盤石な地盤を築いていたとは言い難く、安倍さんが選挙直前になって慌てて、統一教会に支援を依頼したといわれています」
  7月28日発売の「週刊新潮」では、かつて教団と警察のパイプ役を担ったと語った平沢勝栄前復興相にも直撃し、教団の政界汚染について詳しく報じる。 「週刊新潮」2022年8月4日号 掲載