[772](寄稿)「専門家」の「提言」

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ペンギンドクターより
その1

皆様
 典型的な西高東低の冬型が続いています。今日の午後は風速9メートルとウェザーニュースが言うので、先ほど7時半より公園散歩に行ってきました。蝋梅(ロウバイ)が真っ盛りですが、他はサザンカぐらいで雑木林も寒々としています。しかし日差しは強く、東へ向かって歩くと軽い追い風になり、ポカポカしてきます。お日様の威力は大したものです。今日は太陽光発電が10キロワットを超えるのではないかと期待しています。

 オミクロン株感染の激増が続いています。
 今朝(1月21日朝刊)の朝日新聞によれば、「専門家会議」が
●「感染者が急増した場合、若年層の多くは軽症で自宅療養で軽快するため、検査せず臨床症状のみでの診断も検討を」
と提言したとあります。一方政府高官は
●「政府としてはできない。検査を控えるようにいって、重症化するなどしたときに責任はとれるのか」
と語った。

 凄いですね。「政府」と「専門家」が入れ替わっているとしか言えない発言です。この国の「専門家」というのはどういう人種なのか耳を疑います。まず「診断」というのは普通は医者がするものです。しかし、上記の発言は若者は感染したかもと思ったら医者にはいかず「自己診断して自宅にいなさい」ということになります。しかも「症状だけでどう診断するかは明記されていない」とのこと、これが「専門家」の「提言」ですから、呆れてしまいます。
 オミクロン株の場合、無症状か軽症が多いうえに、症状も風邪と区別がつきにくい。つまり発熱よりも咳や痰、だるさなどまさに一般的な風邪症状が主体です。それがウイルスをばらまくわけですし、オミクロン株はいわゆる「空気感染」に近い状況になっている極めて感染力の強いウイルスです。
 何だか、2020年4月日本感染症学会(厚労省等と結託した?)が、PCR検査をしないように「発熱が4日・・・」とか提言していた悪夢の再現です。あれから2年近く経っているのに・・・・・・と言葉を失います。

 さて開業医での具体的な実例です。
 一昨日1月19日(水)私はクリニックの外来で二人の女性に新型コロナウイルスの「抗原検査」をしました。
 一人は77歳女性です。80歳代の旦那さんが風邪症状(発熱なし)で念のため、抗原検査をしたら陽性、保健所に連絡し、別の施設でPCR検査で陽性、一日自宅待機後に、市立病院に入院となりました。昨日からこの77歳女性も「風邪症状」があり、来院、別室の発熱外来でナースが「抗原検査」をして陰性でした。院長が顔馴染みでしたので診察し、元気だからPCR検査まではしなくていいだろう、自宅待機続行という結論となりました。
 もう一人は、85歳女性、デイサービスに行っていたのですが、自分の前にいた人が「陽性疑い」とのことで心配して来院、車の中で待機してもらい、ナースが検査、こちらも陰性でした。私は外の車の患者さんのところに行って、「陰性でした。熱の出ないことも多いから、心配になったらいらっしゃい」と伝えました。風邪の症状もなく、認知症の薬も飲んでいる人ですが、反応もまずまずで元気に娘さんと帰っていきました。

 2020年4月時の日本感染症学会理事長の舘田東邦大教授が先日インタビューに答えて、2年前はPCR検査が出来なかったので医療逼迫・大混乱を防ぐためにやむを得ず学会として「発熱が4日・・・・・」という提言をしたが、今はPCR検査も1日30万件可能だから大丈夫というような主張をしていました。しかし、実態はどうか。
 MRIC主宰の上昌広医師の意見にもあるように、欧米その他の国のオミクロン株の感染者数を見れば、検査は一日100万の単位で必要だといえるわけです。そして日本におけるデルタ株の沈静化の時期にも諸外国での猛烈な感染者数があったわけですから、今の日本の状況は予測されていたわけです。そんなことは馬鹿でもわかります。
 また、現実には日本の検査能力はPCR検査も抗原検査も公称よりもはるかに多いのではないかと私は考えています。
 というのは、上記のクリニックでもPCR検査の機器は購入して持っています。在宅医療中心ですが、老健施設やクリニックを数多く運営していますし、職員も多いので、職員対象にPCR検査がいつでも出来るようにしているわけです。患者さんのPCR検査を引き受けると、そのための要員などで日常業務が不可能になるのでやっていません。患者さん向けにはインフルエンザ検査と同じように手軽に可能となったコロナ抗原検査をしている状況です。
 このように、厚労省および「専門家会議」は日本における現場の状況に対し「無知」としか言えないのではないか、いや日本の状況を把握しようとしていない厚労省の現状、さらに「医師免許証保有者」「医系技官」「現場で患者さんを診ていない医師」のみの「専門家会議」の現状が表面化した「提言」ではないかと思います。高齢者の検査はもちろん必要ですが、若者の検査をしなくていいのではなく、若者の検査をどうすれば可能かそれを考えるのが専門家会議で、私の予想では専門家会議の事務局をしている厚労省の役人の言い分をそのまま伝えているのではないかと邪推してしまいます。
つづく

[771](投稿)海底火山爆発による津波、避難に思うこと

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一労働者の投稿:

 過日、NHKの教育テレビで(ETV)、福島原発事故の生々しい爆発の映像とともに、避難してさらなる爆発を食い止める人々の姿が出ていました。政府も東電も何もできない姿が改めて浮き彫りになっていました。
 今回の海底火山爆発による「空振」による被害は「東日本大震災に比べると比較的少なかった」?けれど、実際の今回の津波警報で避難する人々の映像では、車で逃げると込み合うばかりで、うまく避難できないことが分かりました。
 これでは、東日本大震災、それに伴う原発事故の影響から逃れることができないと改めて強く思いました。NHKのナレーションにはそのようなことに全く触れていませんでしたが。
 かつて、北海道の「泊原発の冬季期間の事故」を想定した「模擬避難訓練」も行われ、その映像が放送されたのも思い出しましたが、この「冬季間の訓練」は、やはりスムーズには行っていませんでした。しかし、繰り返して訓練はなされていません。
 福島の原発事故以降、原発事故を想定した模擬訓練は、各地では行われていません。原発の稼働のために、原発稼働反対を封じ込めておく意図が背後にあるのだと思います。政府や各電力会社が連携して(電事連という団体を作っています)、原発の再稼動で電気料金を釣り上げたままでいたいという思惑が透けて見えます。これからもさらに脆(もろ)い原発の再稼動を狙って蠢(うごめ)いています。
 今回の海底の火山爆発も含めた大きな諸災害に対して、福島原発事故チェルノブイリ原発事故などを頭に浮かべて、現在稼働している原発の稼働反対、原発の再稼働反対の運動を広めていきましょう。また、核のごみの廃棄やトリチウムを含んだ汚染水の海洋投棄にも反対していきましょう!!

[770](投稿)2022年のはじめに思うこと

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 2022年1月6日シドニー・ポアチェが亡くなりました。北海道新聞のコラム<卓上四季>で追悼のエッセイが書かれています。

尊厳の先駆者01/12 05:00
「彼は自分が信じていることが正しいことを知っているの。目指す場所もその理由もね」。1967年の米映画「招かれざる客」で黒人の医師ジョンと婚約した白人の娘ジョーイが母に告げるセリフだ▼米ロサンゼルス・タイムズ紙のコラムニスト、マクナマラさんはシドニー・ポワチエさんの訃報に接し、真っ先にその場面を思い出した。ジョンを演じたポワチエさんの生きざまそのものだったからであろう▼カリブ海バハマのトマト農場で育ち、16歳の時ニューヨークで給仕として働き始めた。そんな少年が黒人初の米アカデミー賞主演男優賞に輝くと誰が想像できただろうか▼職を転々としながら懸命に言葉と演技を学び、ハリウッドの人種差別の壁に挑んだ。「私は警察官だ」と侮辱を許さなかった「夜の大捜査線」。拒絶する白人社会に対する怒りを懸命に抑えた「レーズン・イン・ザ・サン」。その姿は50年代以降の公民権運動の闘争と軌を一にする▼2009年には米国最高の名誉、自由勲章を贈られた。当時大統領として授与したオバマ氏は「次世代への扉を開いた彼は尊厳と品位の象徴だった」とたたえた▼黒人は医師のような地位にある者でなければ、白人とは結婚できない。「招かれざる客」が暴露した現実は果たして過去のものとなったのだろうか。気高き先駆者は94歳で亡くなったが、その闘いは没してなお続いている。2022・1・12

一労働者より
 「その闘いは没してなお続いている。」と言われています。爛熟した資本主義は弱い立場の民衆に犠牲を強いています。人種差別問題とその底に流れる現代資本主義社会の本質的矛盾は全世界に通底しています。
 今日のロシアや中国などの「大国」が、利益と自己保身のために他国に兵を送り、暴力的に自国に引き入れ支配下に置くさまを連想しました。
  わが国も、「廃棄する核燃料」を使ってのできもしない「核燃料サイクルという技術協力」という「夢想的な」合意を米国と結びました。これは、「核燃料サイクルの実現」で自国の存続と米国との経済的・軍事的共存ができるのではないかという幻想!!です。

2022年の初めに言いたいこと

  原発の稼働を即時停止し核のごみを増やさないこと、トリチウムの入っている放射能汚染水を海水で希釈しないことを現政権に突き付けましょう!! (原発を稼働しなくても電力は十分足りていると原子力研究者の小出裕章氏の諸著作には書かれています)。
 これ以上、他国・自国の安価な労働力を長時間使って、自国・他国の労働者からの搾取を止めること。
 コロナ禍で失業した無数の労働者を救済すること!!  

[769]幸福度を測るとは

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心の資本?

 日経新聞は「成長の未来図2」で「心の資本」は十分ですか?と問いかけています。日立製作所の子会社ハピネスプラネットが「人の幸福度」を測る独自技術を開発し商品化したのだそうです。これには驚きました。

 人が幸せを感じているかどうかは呼吸や心拍数、筋肉の微妙な伸縮など無意識の変化に表れ、その変化をスマホのセンサーが読み取り幸福度を測るのだそうです。約15年間で集めた1千万日分の実証データを活用してAIが個人の幸福度をはじきだし、その改善に役立つメッセージを自動的につくり送信するのだといいます。朝スマートフォンやスマートウオッチに「他人のいいところを探しましょう」「15分だけ昼寝をしてみたら」といったメッセージが届くようになります。

 そのお陰で実証実験では「心の資本」と呼ばれる指標が平均33%向上しそれが営業利益10%押し上げに相当するといいます。心の資本というのは「自信をもつ」「楽観的に考える」など複数の要素を数値化したものだと言いますが、要するにAIが労働者の「やる気」を励起するアドバイスをして労働者がその気になった度合いの指数的表現のことをいうようです。


熱意を持って仕事をする社員、日本は5%


 米ギャラップ社の調査によると熱意を持って仕事をする社員はアメリカで30%超、北欧で20%前後で日本は最低水準だとされています。パーソル研究所と慶應大学研究室の調査では幸せの実感が低い人が多い企業は減収しているところが多かったそうです。そうならないように三菱東京UFJ銀行など日本の有力企業が相次いで社内の幸福度を調べる仕組みを導入しはじめているといいます。

 毎日幸福度センサー(=ウソ発見器のようなもの)を繋がれ監視され、仕事をすることが幸せに思えるようにつぶやかれる。それはAIを操る資本家・経営者による究極の労務管理強化です。日経新聞の記事執筆者も次のように書いています。「従業員の『気持ち』の領域にまで踏み込むことに賛否はあるかもしれないが、『心の資本』の再構築なしには成長の未来図が描けないという危機感がある。」

 20世紀はじめにアメリカでテイラーが生産性向上を目的とした生産過程の主体(労働者)客体(生産手段)両面の技術化と労務管理システムを提唱しました。生産過程に「科学的管理法」と呼ばれているシステムを導入し労働者の動作の効率化と工具などの労働手段と手順の標準化によって生産性向上に成功しました。今モノづくりだけでなく情報通信サービスなどを生産する労働者の生産性向上方式が模索されています。「心の資本」づくりはその最たるものです。労働者の生産活動中の幸福度の向上による「心の資本」の指標を上げることが追求されているのです。

 労働の生産性とは、過程的には目的に合致した生産的実践の作用度を意味し、結果的には最小の労働をもってする最大の生産物に示されます。労働の生産性向上は本質的には労働過程の主客両面の技術上の改善によって実現されます。「心の資本」というのは労働過程の主体面の技術化にかかわります。一昔前に「乾いた雑巾をさらにしぼるように」と形容されました。労働者は労働過程で肉体的精神的にへとへとになるわけです。しかしそこで資本家・経営者は労働者の頭の中まで支配することはできませんでした。たとえば流れ作業のなかで働く労働者は熟練してくると、意識のなかではいろんなことを考えながら労働ができました。いやいや仕事をしても外からはわかりにくい。「心の資本」づくりではセンサーをとおして労働している労働者の「幸福度」が測られるというのですから究極の労務管理です。

 私たち労働者は食べるために働いています。私は経営者から与えられた仕事を一緒に働く労働者に迷惑をかけない程度にこなすために真面目に働きます。働いていて仕事が面白いと感じたり、充実感をもつこともあります。ですがセンサーを体につけられ「幸福度」測ってアアせよコウせよと言われたらおかしくなりそうです。

 しかしそれが現実に行われているのです。資本家階級はそこまでして労働の生産性向上を実現しないと生き残れなくなっているのでしょう。労働者にとって益々大変な時代になりました。いま、この社会で働くとは何かを根源的に考えないわけにはいきません。


資本主義のなかの労働


 資本の直接的生産過程で労働者の労働力は資本家のために消費されます。労働者の人格は物化され物が人格化するという転倒現象が起きます。このことは忙しいときにフッと感じることがありますね。労働者は生産すればするほど生産物は自分とは疎遠なものとなります。労働生産物は資本家のもの、労働の目的は資本家の目的であり、労働者はそれを自分の目的だと思って労働力とともに労働対象に注ぎこみます。労働は疎外されます。労働力が商品化された社会では労働者は疎外された労働から自由になることはできません。

マルクスは『経済学・哲学草稿』「(四)[疎外された労働]」のなかで次のようにいいます。

 「労働者は、彼が富をより多く生産すればするほど、彼の生産の力と範囲がより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる。労働者は商品をより多くつくればつくるほど、それだけますます彼はより安価な商品となる。------労働者が骨身を削って働けば働くほど、彼が自分に対立して創造する疎遠な対象的世界がますます強大となり、彼自身が、つまり彼の内的世界がいよいよ貧しくなり、彼に帰属するものがますます少なくなる」「国民経済学は、労働者(労働)と生産のあいだの直接的関係を考察しないことによって、労働の本質における疎外を隠蔽している。------労働の対象の疎外においては、ただ労働の活動そのものにおける疎外、外化が要約されているにすぎないのである。では、労働の外化は、実質的にどこにあるのか。第一に、労働が労働者にとって外的であること、すなわち、労働が労働者の本質に属していないこと、そのため彼は自分の労働において肯定されないでかえって否定され、幸福と感ぜずにかえって不幸と感じ、自由な肉体的および精神的なエネルギーがまったく発展させられずに、かえって彼の肉体は消耗し、彼の精神は頽廃化するということにある。-----」

 
 行きづまった現代資本主義において労働の疎外は深まっていきます。労働を経済学=哲学的に考えることがどうしても必要だと思います。

[768]資本主義の危機

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資本主義の危機

 新型コロナウイルスオミクロン株による感染の拡大に岸田政権の対応は事実上成りゆきまかせにしか見えません。感染力の強いオミクロン株の感染拡大はPCR検査体制をはじめ医療関係労働者の不足をうきぼりにしています。だれでもがいつでもどこでも検査診察治療が受けられるようにしなければならないのです。
 しかし政府は対応不能となっており感染症が広がっています。新型コロナ危機は労働者民衆の生活苦を促迫しつづけるでしょう。政府の新型コロナ対応で明るみに出されたのはこの資本主義社会の限界です。モノにせよサービスにせよ商品は雇用された労働者が働いて生産するのです。感染症に罹れば職場を休むしかないのです。政府は感染症に対応できる態勢をつくらなければ社会の維持はできないということはわかってはいるでしょう。最優先すべきなのは医療体制の確立です。しかし政府は経済合理性を度外視しては医療体制を確立することができないのです。それが絶対的な限界なのです。労働者を犠牲にしてひたすら我慢を強いるというのが資本家階級とその政府です。

 日経新聞が1月1日の一面に「資本主義 創り直す」と見出しをつけて「成長の未来図」を示しています。

 リードで「成長の鈍化が格差を広げ、人々の不満の高まりが民主主義の土台まで揺さぶりはじめた」と言います。
 私はこの一文を読んで「成長の鈍化が格差を広げ」というフレーズでひっかかってしまいました。トリクルダウン論のようです。賃金=「パイの分け前」論のようでもあります。経済の現状の見方が変だと思うので考えてみます。
 成長の鈍化というのはGDPの成長が緩慢になってきているということです。いわゆる付加価値が減ってきたのです。付加価値というのは「生産過程で新たに付け加えられた価値」という意味の言葉です。どこでどのように付け加えられるのかということはどの経済学者も言いません。自明の前提にされているのです。
 新たな価値は生産過程で労働者の労働力の使用価値を生産諸手段の使用価値とともに消費することによって生みだされます。付加価値が減ったのは資本家が得る剰余価値が少なくなったということに規定されているといっていいでしょう。

 格差の拡大は自然現象ではありません。

 格差とは簡単にいえば資本家が商品を生産し価値どおりに売って取得する儲けと労働者の賃金との差のこと指しているといっていいと思います。儲けは商品を売ってはじめて資本家の懐に入るのですが、その大きさは生産過程で生産される剰余価値の大いさに規定されます。経済成長の鈍化というのは本質的には搾取された剰余価値の総量の増えかたが緩やかになったということに起因するのです。

 しかし「成長の鈍化」と「格差の拡大」とは原因と結果の関係をなすわけではないのです。資本家の行為に媒介されているのです。資本主義を総体として見れば儲けが減った資本家は商品=労働市場において、いわゆるヒト・モノのコスト削減によって商品の価値構成の剰余価値部分を相対的に高める追求をします。つまり剰余価値の増加が相対的に減ってきている分を賃金抑制によって取り戻してきました。日本では30年間も実質賃金が増えていません。そして他方で資本家は労働時間を延長し剰余価値の絶対量を増やしたり、労働生産性の向上によって剰余価値を相対的に増加させた結果、商品を売って懐に入れる利潤は拡大し、労働者の賃金との格差が拡大しているのです。

生産された商品の価値構成は次の式で表されます。
W=c+v+m
cは商品市場で買い入れた生産諸手段が生産過程をとおして商品に移転した価値部分、ⅴは労働市場で買い入れた労働力の価値に該当する部分、mは剰余価値をあらわします。

 商品=労働市場で労働力と生産諸手段を購入した資本家が生産過程で労働力の使用価値を生産諸手段のそれとともに消費して商品をつくります。労働によってうみだされた剰余価値を含む新たな価値(v+m)は資本家が取得するのです。生産過程で労働は搾取されます。労働者は「疎外された労働」で生産した価値の分け前を受けとっているわけではありません。労働市場で労働力の価値のどおりに賃金を受けとっているのです。賃金は本質的に前払いですが、現実的には労働したことを見届けたあとで支払われるために労働の対価であるかのような仮象をとります。
 格差とは、資本家が買った労働力を消費して新たな価値を含む商品を生産し売って得た利益と、前もって労働市場で労働者が売り渡した労働力の価値の貨幣的表現である賃金の差のことです。

「不満の高まり」は資本主義社会の危機のシグナル

 経済成長しているというのは根本的には資本家が労働者の労働をより多く搾取しているということなのです。資本主義社会でうみだされた富=商品は労働者階級の労働の産物なのです。支配者階級である資本家によって労働者は搾取され、収奪されています。
 いま、コロナ危機のなかで貧窮と病に苦しむ労働者階級の姿がうきぼりになっています。
「成長の鈍化が格差を広げ、人々の不満の高まりが民主主義の土台まで揺さぶりはじめた」のではなく、成長が鈍化しているなかで資本家が搾取を強化し、賃金を抑制することによって格差が拡大し、犠牲を転嫁され生活苦に落とし込められた労働者民衆の怒りがポピュリストにとりこまれているということなのです。

 アメリカでは所得別人口の上位1%が稼いだ額の合計が全体の所得に占める比率は過去30年で14%から19%にまで上昇しました。それに対し下位50%は16%から13%に下がりました。(日経新聞による)

 この傾向は広がるでしょう。

 アメリカの労働者民衆のあの議事堂占拠行動は生活に困って高まった不満の直接的表出であり、トランプに期待をよせざるをえないのは悲劇的です。

 袋小路に入った資本主義の生き残りの模索の過程は、労働者階級への犠牲の転嫁の仕方を考案し実施する過程となるのです。

 労働者的団結を強化することが私たちの課題です。

ーーたたかう労働組合

[767](寄稿)コロナ感染者の急増に伴って、社会の動きを止めないためのコロナ対策の抜本的な見直しが今求められている

ペンギンドクターより
その3
「濃厚接触者 待機短縮へ」14日間→7日または10日 社会機能を維持
という報道がありますが、妥当なことだと思います。
 転送するお馴染みの和田眞紀夫医師の意見が、そのへんのアメリカの状況を丁寧に述べています。相変らず具体性があり、卓越した意見だと思います。

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コロナ感染者の急増に伴って、社会の動きを止めないためのコロナ対策の抜本的な見直しが今求められている

わだ内科クリニック
和田眞紀夫

2022年1月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.j
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1.アメリアはコロナ感染者の隔離期間を短縮した

現在アメリカではあまりにも急激にコロナ感染者が増大してしまって、病気の治療ばかりでなく感染者と濃厚接触者の隔離義務のために働き手が不足するという事態に直面している。特に医療現場や航空関連、その他企業への影響は甚大で、社会を動かしていくことが難しくなってきた。そのためCDC(疾病対策センター)はコロナ罹患後の隔離期間を10日から5日間に短縮する決定を行った(12月27日)。ほかの人に最も感染させやすいのは症状が出る2日前から発症後2-3日というデータがあり、発症後5日間隔離すれば感染の90%を防ぐことができるという科学的な根拠に基づいている。付帯条件としては、始めから無症状か、症状があっても5日目の時点で症状がなくなっていること(熱が出ていたら解熱して24時間以上経過、嗅覚味覚異常などの症状は除外)と、隔離解除後も5日間はマスクを装着することなどが求められている。
https://www.cdc.gov/media/releases/2021/s1227-isolation-quarantine-guidance.html

ただしこの決定に対しては異を唱える専門家もいて、この基準変更が感染拡大を助長しないという保証はなく、5日目に迅速コロナ抗原検査で陰性であることを条件に加えるべきだと主張しているが、抗原検査キットの不足の問題が起きているために条件から除外された経緯がある。それでも特に医療関係者などで重篤な合併症のある患者さんと接する機会がある場合などは抗原検査での陰性を確認することが望ましいとされている。
https://jp.reuters.com/article/analysis-covid-us-idJPKBN2J9056?rpc=122

さらに濃厚接触者の隔離期間も原則的には10日から5日間に短縮されている。この場合の付帯条件はコロナワクチンの2回目の接種から6か月以内であるか、ブースター接種を受けていることとしている。この条件に当てはまらなかったり、まったくワクチン接種を受けていない場合はこれまで通り10日間の隔離が必要である。

2.働き手の不足が早くも日本で起き始めている

年が明けてから日本中にコロナ感染が急拡大する様相を呈している。特に沖縄県での感染拡大は爆発的であり早くも医療従事者の不足が問題になり始めた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/77ef7a0a5869d4a155ba690b0d7e086881e0b2cf
https://news.yahoo.co.jp/articles/300a091f4b262610da575ada94cf517312535b99

1月7日の時点では1日の感染者数は1400人を超えているが、沖縄県では1万人以上の医療関係者がすでにブースターワクチン接種を終えているにも関わらず、重点医療機関など21の医療機関でのブレイクスルー感染などにより313人の医療従事者が欠勤している。スタッフ不足のために病棟を封鎖したり、一般外来の制限や手術の延期、救急部門の一部停止などの医療逼迫が起こり始めているとの報道があった。沖縄での感染主体はオミクロン株に置き換わっていて、医療従事者のブレイクスルー感染例が多いということはいかにこのオミクロン株の感染力が強いかということを物語っている。

3.オミクロン株の感染性について感染研が速報で報告した(1月5日)

オミクロン株の感染者は1月4日の時点で全例入院措置が取られ、退院基準も厳格に規定されていて、PCRもしくは抗原検査で連続2回陰性とならなければ退院できない規定となっていた(1月5日に基準を緩和)。このため国立感染研は12月22日までに確認されたオミクロン株感染例21例におけるウイルス排出期間を明らかにする目的で、経時的にリアルタイムRT-PCR(原文)およびウイルス分離試験で追跡して解析をおこなった。21例の内訳では驚くことにワクチン未接種の未成年者2例を除けばそれ以外のすべてが2回のワクチン接種を受けているブレイクスルー感染であることだ(さらにこのうちの2人はブースター接種も受けていた)。無症状は4例と少なく、残りの17例は軽症ながら症状がある症例だった(ただし、2回目のワクチン接種から6か月以上経過しているかどうかの記載はない)。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/10880-covid19-66.html

解析結果では診断日および発症日のどちらから起算日しても10日以降はウイルスが分離されず感染性がないという結果だったが、PCR検査では14日以降でもRNAが検出された。この結果はオミクロン株以前のコロナ感染の特徴と大きな変わりはない。注目すべきは診断後7日以上経過した時点(「7-9日目」のグループ)でウイルスが分離されたのは2例(11%)のみであったことだ。つまり89%の症例ではウイルスが分離されるのは6日目までということになる(「3-6日目」を同一グループとして解析しているので、5日目を境にした統計は不明)。この結果は「感染の成立は5日目までで90%」というCDCのデータとほぼ一致している。

4.社会の動きを止めないためのコロナ対策の抜本的な見直しが必要

日本ではオミクロン株が出現してもなお2年前と何ら変わらない、思考停止のコロナ対策が漫然と繰り返されている。市中感染が明らかになったらその時点で厳しい検疫は意味がなくなり、検査で確定された感染者は氷山の一角でしかなく、そのような感染者の一部に対してだけ入院隔離政策を徹底しても焼け石に水だ。しかも早くも入院隔離のキャパシティーがなくなる見通しで、それを理由に宿泊施設や自宅隔離にシフトせざるを得なくなっているのが現状だ。感染者が爆発的に増えてしまった段階では、罹患者には必要最低限の期間だけ自宅待機をしてもらえばいいし、症状ない濃厚接触者まで長い期間拘束して社会活動を抑制しなければいけない理由はどこにもない。日本でも感染者および濃厚接触者の隔離期間を短縮することを考慮すべき段階に来ているのではなかろうか。可能であるならば迅速抗原キットの増産や市販キットの認証を急いで、検査が陰性であったものから隔離を解除したらいい。

これからのコロナ対策で大事なことは検査を受けたい人がスムーズに検査を受けられ、診察や入院が必要な人が速やかに医療の恩恵を得られるようにすることで、医療体制の整備の必要性が叫ばれているのに一向に改革する気配がない。また、国民の行動規制を強化してもそれで得られるものは少ないことを認識すべきだ。感染経路の主体は家族、友人、職場の同僚であって、飲食店での感染の割合はむしろ少ないことがわかってきているにも関わらず、家族や友人との接触や職場の同僚との接触を断つような指示は出せないから、行政として規制できる唯一の対象として飲食店が規制の集中攻撃を浴びているのが今の状況だ。

また、コロナが流行し始めた当初、多くの高齢者が命を落としたが、その半数以上が高齢者施設や医療施設等に入所・入院している人達だった。現在これらの施設でクラスターが発生していないことが重症・死亡者が少ない理由の一つであって、何もウイルス毒性の変化だけで議論するのは片手落ちだ。若年層ではほとんどが無症状か軽症で、重症化するのは高齢者(および疾病を抱えてるひと)であるということは今に始まったことではない。

若年層は普通の経済活動に戻って、インフルエンザに対する対応(発症後5日間の自宅待機)と同様にひとたび感染した場合は検査で確認して最低限の自粛をするという構図にしたらいいし、そのためにも検査体制のさらなる拡充を図ることが絶対条件となる。長く検査ができない状態が続いたために検査をしないことに慣らされてしまっていたり、強い隔離政策が検査を受けるモチベーションを低下させていることも大きな問題で、このことに対する改善策が必要だ。大切なことは肝となるポイント(高齢施設への感染を防ぐ対策~ブースター接種、入所者・スタッフのルーチン検査)だけは怠りなく励行することだ。

社会の動きを止めないためのコロナ対策の抜本的な見直しが今求められている。
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ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。
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MRIC by 医療ガバナンス学会

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[766](寄稿)オミクロン株激増

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ペンギンドクターより
その1

皆様
 オミクロン株が激増しています。私の住んでいる市でも連日5人前後の感染者が見られており、今後も増えていくと思われます。無症状や軽症者が多いのは事実で、その分、誰が感染者か区別がつかない恐さがあるので、検診の仕事でも神経を使います。会社検診の場合、若い人も多く、ワクチン接種完了者も多くはないと考えられます。老医としては、ビクビクです。
 世間では、オミクロン株は「風邪」みたいなものだと軽視する風潮があります。しかし今朝のMSN(マイクロソフト・ネットワーク)ニュースでは、インフルエンザウイルスなどと異なり、新型コロナウイルスは肺細胞・心筋細胞・神経細胞などの再生の効かない細胞を殺す(壊死させる)という点で、普通の「風邪」とは本質的に異なると述べています。つまり風邪で「後遺症」は出ないが、新型コロナでは「後遺症」が出ると警鐘を鳴らしています。
 大阪の維新の某市長(今名前を忘れたのです。記憶力減退です)が新型コロナを「5類感染症」に「格下げするように」と提言していますが、政治家として激増のこの時点で言うべき言葉ではありません。岸田首相の「現時点での5類格下げ否定」は当然のことでしょう。
 一方、今朝の朝日新聞の一面にもありますが、
 「濃厚接触者 待機短縮へ」14日間→7日または10日 社会機能を維持
という報道がありますが、妥当なことだと思います。
 転送するお馴染みの和田眞紀夫医師の意見が、そのへんのアメリカの状況を丁寧に述べています。相変らず具体性があり、卓越した意見だと思います。

 それとは別に、M3だったか、アメリ最高裁で100人以上の民間企業にワクチン接種を義務化する法案を6:3の評決で否定したという報道がありました。トランプ政権が任命した保守派判事6人が反対したようです。しかし、医療従事者については「ワクチン接種の義務化」を5:4で議決したそうです。保守派のロバーツ最高裁長官ともう一人の判事が賛成にまわった結果とのことです。妥当なところだと思いますが、ワクチン接種で肯定・否定が二分されているアメリカの現状が法的にもうかがわれます。一日100万人の新規感染者の出ているアメリカは、のんびりしているわけにはいかないという事情が見て取れます。
 
 デルタ株などの潜伏期間は平均5日、オミクロン株のそれは平均3日というデータもあるようです。
 私たち夫婦は相も変わらず、私の仕事を除けば、巣ごもり生活続行です。
 今朝は朝7時に公園散歩をしました。心なしか、冬至から3週間、日が長くなった気がします。樹木や雑草の新芽が待ち遠しい老人の妄想かもしれません。前回言い忘れましたが、毎週録画のテレビ番組で山田五郎「ぶらぶら美術・博物館」や三宅裕司の「ふるさと探訪」も観ています。旅番組など新規のロケが激減していて、焼き直しが多く、面白くありません。どうせ再放送するのなら、ずっと以前の番組を取り上げてくれるといいのにとブツブツ言っています。では。

編集者註:和田医師の意見は次回紹介します。