[601](投稿)中等症の一部自宅療養へ

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中等症の一部、自宅療養に 窮余の策、政府に批判
08/04 05:00
 政府の新型コロナウイルス対策は、入院を巡る方針でも抜本的な転換を迫られた。国内の感染状況の悪化が懸念される中、医療崩壊を避けるための「窮余の策」で、菅義偉首相への風当たりはさらに強まった。▼ 「誰もが症状に応じて必要な医療を行うことができるように方針転換した」。首相は3日、日本医師会中川俊男会長らに「前向きな方針転換」を強調した。▼ 実態は違う。つい最近まで「ワクチンで高齢者の感染は減っている」(首相)と楽観論が漂っていた官邸内は、感染力が強いデルタ株のまん延で空気が一変。「このままでは医療が対応できない」(政府高官)との不安に覆われた。▼ 東京都などを通じ、調整する保健所の悲鳴の声も届いた。首相周辺は「最近はホテルも通常の客が増え、宿泊療養の空きがない」と、自宅療養を増やさざるを得ない実情を打ち明ける。▼ 政府の説明も混乱を招いている。首相は2日の関係閣僚会合で「重症患者や重症化リスクの特に高い人以外は自宅療養が基本」とし、中等症の扱いを明言しなかった。田村憲久厚生労働相は3日の記者会見で酸素投与が必要な患者は「在宅でも対応できるようにしている」と説明したが、首相は中川氏らに「確実に入院してもらう」と明言。中川氏らが聞き返す場面もあった。▼ 全国知事会飯泉嘉門会長は同日、田村氏に中等症のうち、入院対象から外れる患者の基準を国がしっかり明示するよう求めた。▼ 自民党幹部は「しっかり説明しないと」と憤った。公明党山口那津男代表は首相と官邸で会食し「中等症も医療的ケアを受けられるよう丁寧に対応してほしい」と注文した。立憲民主党枝野幸男代表は党会合で「安全安心と繰り返してきた中で突然、中等症が病院で治療を受けるという最低限のことすらできないと言い出す」と批判した。▼ 首相は3日、記者団の「新たな入院基準に不安の声もあるが」との問いかけに答えず官邸を去った。(荒谷健一郎)(北海道新聞デジタルより引用)

※※※ 森論外のコメント:

 ◆現下の「新型コロナ感染」の状況はまさしく「緊急事態・有事」そのものです。東京都では、感染者の増加と救急搬送しても入院するまでに8時間を要し、しかも受け入れ病院は遠方にあり、受け入れられたのは奇跡的だったというしかないと思われる報道もありました。◆少し前は首相は「2種類の抗体カクテル」に飛びついて、いかにも自信ありげに?治療に光が見えたかに語っていましたが、その薬剤の適応は、軽症から中等度の初期段階までであり、投与方法は病院でなければできない点滴だと各報道で言われています。また、現状では救える命も救えないという厳しいという批判にさらされています。与党内からも首相に対して批判の声が上がっている始末です。◆オリンピックの舞台は急ピッチで作り上げたのに、軽症・中等度の新型コロナ患者さんたちが医師や看護師等の医療従事者の管理下になければ、急変に対応できずに呼吸困難等で急死する場合も少なくない状況にもかかわらず、放置されています。今必要なのは「新型コロナ対応専門病院」の新設を行い、即応すべきではないかと考えます。

 ◆「自宅療養」というのは、「命のトリアージ、すなわち命の選別」を菅首相は行うことになると報道では「批判」していました。このままでは、まさに「命の選別」を行うことになります。◆若くしても急速に肺炎が悪化し、呼吸困難になり「人生で一番苦しい」という自宅待機させられた中等度の感染者の発言も報道されています。海で溺(おぼ)れかけて、息ができない状況のことを想像してみてください。こんな時に、パルスオキシメーター(注1)というものを自分一人で扱い、救急車を呼んだり、病院に電話ができると思いますか?新型コロナの怖いところはこの病状の「急変」にあります。自宅療養をしていた方の「急変」は結構な数があると報道されていました。

 ◆オリンピックを開催した下策とそのさなかにすでに感染症や統計の専門家によって予想されていた、オリンピックのお祭り騒ぎの人出による「感染の急ピッチでの幾何級数的増加」が現実のものとなっています。これを治める方策を持たないままで時は過ぎていきます。「死屍累々」とならないとありあえずの対策は?長期的にはワクチン等の自国での開発に多額の資金を政府は投入すべきです。◆BSの報道番組「1930」で三重大学医学部教授は、英国に倣(なら)って、鼻腔からのワクチン接種を考えているそうです。しかも新しいワクチンの開発もしているそうです。しかし、大学の研究には国家はほとんど資金を出さないそうです。大手の製薬メーカーには多くを出すそうですが、大学や大学と提携しているベンチャー企業には微々たる投資しかしません。諸外国では大手製薬会社だけでなく、寄付金だけで素早く研究が進む「制度・習慣」があり、研究の土台と文化の違い・底力が異なるわけです。これでは研究も遅れ、人材を失い、経済も回って行かないことになります。資金があればもっと早く新しいワクチンを開発できると断言されていました。  

 ◆直面している「新型コロナ」対策に、その感染増加の歯止めとなるワクチンや治療薬の研究に、同時に、軽症・中等度の人も医療の監視下における「病院」を作るべきだと思います。少子高齢化で困っているにもかかわらず、人材をコロナ禍で失ってよいものでしょうか?他の病を治す治療を後回しにしかならない政策で良いのでしょうか?

 ◆読者の皆様はどのようにお考えになられますでしょうか!!

(注1)パルスオキシメーターの使い方等について:パルスオキシメーターの使い方|ご自宅で療養される方へ/千葉県 (chiba.lg.jp)

[600]「新型コロナ危機のなかで」が終われない

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みなさんお元気ですか。

 今日で600回になりました。投稿・寄稿していただいたみなさん、読者のみなさん、ありがとうございました。

 2020年5月21日にブログを開いて1年2ヶ月になります。「新型コロナ危機のなかで」というタイトルは1年くらいで変えなければならないかもしれないと思ってはじめましたが、とんでもない、新型コロナウイルは変異しながらなお現代人に寄生し増殖しつづけ感染症はおさまりそうにありません。
 
 新型コロナのパンデミックは現代世界の暗部を明るみにだしました。機を見るに敏な資本はこういう状況の中で自らを増殖させるためにあらゆることを試み肥え太っています。他方で、いまなお医療をうけることができず亡くなっていく人々も多くいます。
 世界の労働者階級は失業と感染の恐怖のなかにいます。
 私はなおつづく危機のなかで、現代社会は人の命よりも資本の延命のために動いているということを強く感じます。社会が危機になればなるだけ資本主義社会は非人間的本質をあらわにします。
 日本でも感染爆発の犠牲は資本家階級ではなく労働者民衆におしつけられています。それは単に首相の個人的資質の問題だけではなく、社会の仕組みの問題として考える必要があると私は思っています。端的にいえばウイルス感染症の検査治療をいつでもできる大きな医療施設をつくることが問われているのですが、それは儲けを度外視しなければできません。「儲けを度外視」することは資本主義の本質に抵触します。昨今マルクス資本論の意義が様々な観点から語られていますがそれは資本主義の限界が現実に露になっているからなのです。
 社会の仕組みを変えるべきだと私は思っています。
 けれども仕組みを変えるだけでは人間的な社会をつくることは出来ないということを、私は歴史に学ばなければならないとも思うのです。
ソ連邦は自己崩壊し、現代中国は国家が統制する資本主義になってしまいました。失敗したのはなぜだろうと考えなければなりません。
 ともかく一人ひとりが自分たちの力で社会を変革しようという意志自覚をもたなければはじまりません。変革的立場は日常の出来事を批判的にみること、改良改善するために実践するなかでしか生まれてこないように私は思います。

 これからも「新型コロナ危機のなかで」感じたり考えたりすることをメモしていきたいと思います。
 形式、長短は問いません、みなさんの投稿、寄稿をお待ちしています。よろしくお願いいたします。
 今日も夏らしい一日になりそうです。アサガオの元気がいい。
                 
松本隆
stonkororin30th@docomo.ne.jp

[599](投稿)「国民に届く」尾身氏の意見、「届かない」菅首相の意見、などなど

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投稿です。
 ペンギンドクターの文章と尾身氏の意見を読ませていただきました。
 尾身氏の意見はもっともだと思いました。これまでの対策では全く新型コロナに打ち勝てないにもかかわらず、クルーズ船の対策の敗北も教訓化されていないまま、今日の居酒屋・酒=悪者扱いに終始していること。水際対策もバブルも機能していないこと。バブルの中から多数の感染者を出して、手直ししているとは見えないこと。
 菅の言葉は、国民に全く届いていないこと。報道で、菅の陳述は「二重拘束=ダブルバインド=アクセルとブレーキを同時に踏むような発言を繰り返している」と言われていることについても菅には響かないほど「脳の硬化・頑固さ・自分の欠点を認めない」等を自覚しないで来ていることなどを想起しました。

 小生もほぼ皆様と同年齢です。昨年のクルーズ船あたりから1年ほど「自粛」していると、腰や膝の人体の痛み、消化機能の衰えなどを発症し、ペンギン氏とM氏の「運動療法」を取り入れるべく、散歩を開始しました。約3週間ほどで改善に向かい、今では「散歩フリーク」となりました。散歩して少し改善したところで、軽く「走ってみた」ところ、脳と筋肉の情報伝達が途切れたかのような感じとなり、若いころに「走っていた」感じが全く感じられないことに「驚き」ました。
 これが小生の明確な「老い」だと思います。散歩を続けているうちに、足が地面をける感覚、膝があがる感覚が戻ってきました。これとて「若いころとは違います」が。そのまえから、60を過ぎるころから、キャッチボールを全くしていないので、たまたま息子とキャッチボールをすると20メートルも投げられないことに愕然としたのも覚えています。しかもスローボールしか投げられなくなっていました。自他ともに言われなくても老いを自覚する一つの機会かなと思います。

 当地では、今年、高気圧が勢力をまして、水不足を嘆く農家が多いと思います。今朝はお湿り程度の霧雨が降り、農家さんはがっかりで、トラクターで水を運び散水を継続したということです。

 ここまで書いて、しばらく中断しておりました。

 昨夜、やっと雨が少し振り、田畑も少し潤ったことでしょう。しかし、まだ「渇水状態」に近いと思います。高齢になると身体の水分は60%くらいに減少すると言われていますが、現在の田畑もそのくらいでしょうか?今年の作柄と値の高騰が気になります。

 熱暑はまだ継続すると思います。皆様、ご自愛のほどを。
読者より

[598](寄稿)「行動制限だけに頼る時代は終わりつつある」

ペンギンドクターより
その2

井上弁護士の意見を送ります。

なお、尾身さんだけでなく、MRICに投稿されている医師の文章にも、居酒屋ばかりイジメるのはやめて、ワクチン接種をすませ、十分感染対策をしている夜の街は深夜まで営業させてもいいのではないかという意見も出ています。
 今日はこのへんで。

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「人々の行動制限だけに頼るという時代は終わりつつある」という尾身理事長の発言に依拠して

井上法律事務所長 弁護士
井上清

2021年7月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp

1 内閣委員会での尾身参考人の発言

2021年7月15日、参議院内閣委員会の閉会中審査において、独立行政法人地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は、参考人として、「もうそろそろ、人々の行動制限だけに頼るという時代は終わりつつある、と思います。」と発言した。同日付けの朝日新聞デジタルにおいても、その発言は「『行動制限だけに頼る時代、もう終わり』尾身会長が認識」という記事となって掲載されている(ただし、当該記事は、尾身理事長の発言の内容・ニュアンスとは少し異なっているので、要注意)。

「人々の行動制限に代わって何ができるのかというと、サイエンス・テクノロジー」があり、「ワクチン、検査、QRコード二酸化炭素モニター、下水の調査。」「そういうものに対して政府も随分とやっているが、そうした動きを今まで以上に加速してもらった上でならば、国民もそこまで政府がやるんだというならば、今、コロナ疲れ、緊急事態慣れと言っても、もうちょっとだけ、国民・一般市民も頑張ってみようという気が起こるのではないか。」さらに、飲食店の認証制度の話についても、「一所懸命頑張ったお店が報われるというシステムにしないと公平感がない」などと述べていた。

つまり、(朝日新聞デジタルの記事とはニュアンスが異なり、)尾身理事長は、今までは国民の行動制限だけに頼って来たが、今後は、国民に行動制限を続けてもらうためにも、政府はワクチン・検査等のやるべきことを実施し、公平感のない酒類提供禁止や時短要請も認証制度などによって改善していくべきだと(政府分科会会長としてではなく、)一有識者として主張しようとしたのだと思う。そうだとすると、1年以上も経過して今さら当り前のことを言っているという内容・ニュアンスの発言ではない。今この時だからこそ、正当に評価しうる内容・ニュアンスの発言だと感じるところである。


2 デルタ株対策として特に重視すべきこと

(1)診療の一環としての民間のPCR検査

尾身理事長は検査の充実も指向していたが、デルタ株対策として重視すべきは、抗原検査よりも特にPCR検査であろう。そして、PCR検査だとしても感染力の格段に強いデルタ株に対抗するには、行政検査だけでは数的に明らかに不足である。

一類感染症に比肩する新型インフルエンザ等感染症に位置付けられている新型コロナウイルス感染症(それもデルタ株)に対抗するためには、民間の医療機関と医師達が自ら診療の一環として自在かつ機動的にPCR検査ができなければならない。もちろん、自由診療にも制約がなく、かつ、保険診療でもPCR「検査は、診療上必要があると認められる場合に行う」ことが何時でもできなければならないのである(保険医療機関及び保険医療養担当規則第20条一号ホ)。

診療の一環としての民間のPCR検査が、自由診療としてのみならず保険診療としても認められてこそ、国民・一般市民も「そこまで政府がやるんだ」と評価することであろう。

(2)飲食店認証制度による協力要請の個別解除

飲食店に対する度々の酒類提供禁止要請や時短要請によって、飲食店は疲弊するだけでなく、特に誠実な飲食店においては不公平感が高まって来ている。本来、感染防止対策を適切に講じている飲食店に対しては、個別に酒類提供禁止要請や時短要請を解除してしかるべきところであった。

特にデルタ株対策としては、「三つの密」の防止と共に、「施設の換気」を重視すべきところである(新型インフル特措法第31条の6第1項、同法施行令第5条の5第8号、令和2年厚労省告示第176号)。そして、これらが遵守されている以上、個別に当該飲食店を認証して、諸要請を解除してしかるべきであろう。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長発出の2021年2月12日付け事務連絡(前出告示第176号と同じ内容を扱う。5頁)では、諸要請は「『業態』に属する事業者全体に対して行うこと」という法解釈を採用している。しかし、そのうちの「業態」を弾力的に解釈・運用し、「認証店」は当該「業態」から除外して例外を認め、そうやって飲食店の間での不公平感を取り除くべきであろう。


〈今までの新型コロナ関連の論稿〉

Vol.128「今後はクラスター対策に頼り過ぎないように」
(2021年7月7日)

Vol.109「医師助手ら中心のワクチン接種の合法化」
(2021年6月9日)

Vol.100「変異株「医療のひっ迫」対策には大胆な物量作戦を展開すべき」
(2021年5月27日)

Vol.083「PCR検査・重症病床・医療補助者の異次元緩和」
(2021年5月5日)

Vol.068「マスク会食義務化の持つ法的意味と感染防止対策向上のインセンティブ

(2021年4月9日)

Vol.064「ダイヤモンド・プリンセス号の経験と教訓を踏まえ東京オリ・パラでは新しい検疫の運用をすべき」
(2021年4月5日)

Vol.047「既感染者へのワクチン接種で重篤な副反応が生じた時は禁忌者と推定されかねない」
(2021年3月8日)

Vol.031「自宅療養等も含めた行政の医療提供体制確保措置義務」
(2021年2月10日)

Vol.012「感染症法の適用対象である無症状病原体保有者の存在を数多くのPCR検査によって把握すべき」
(2021年1月19日)

Vol.006「自費PCR検査の自律的な活用と高齢者の宿泊保養システムの導入」
(2021年1月12日)

Vol.244「すべての医療機関に前年対比の収入減少額を補填して医療崩壊を防ぐべき」
(2020年12月7日)

Vol.235「一般市民法的センスを込めてPCR検査の議論を」
(2020年11月19日)

Vol.201「新型コロナワクチンには手厚い健康被害救済と医療免責を」
(2020年10月13日)

Vol.187「新型コロナ対策特措法を新型コロナ専用に新たに制定すべき」
(2020年9月23日)

Vol.186「感染症法による新型コロナ過剰規制を政令改正して緩和すべき」
(2020年9月16日)

Vol.165「PCR検査は感染症法ではなく新型インフル特措法の活用によって拡充すべき」
(2020年8月12日)

Vol.147「新型インフル対策特措法を新型コロナに適するように法律改正すべき」

(2020年7月16日)

Vol.131「新型コロナで院内感染しても必ずしも休診・公表しなくてもよいのではないか?」
(2020年6月23日)

Vol.127「新型コロナ流行の再襲来に備えて~新型コロナ患者は「状況に応じて入院」になった」
(2020年6月17日)

Vol.095「新型コロナ感染判別用にショートステイ型の「使い捨てベッド」を各地に仮設してはどうか」
(2020年5月8日)

Vol.080「善きサマリア人の法~医師達の応招義務なき救命救急行為」
(2020年4月23日)

Vol.070「医療崩壊防止対策として法律を超えた支援金を拠出すべき」
(2020年4月9日)

Vol.054「歴史的緊急事態の下での規制を正当化するものは助成措置である」
(2020年3月18日)

Vol.031「新型コロナウイルス感染症が不安の患者に対して応招義務はない」
(2020年2月18日)

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ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。
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MRICの英語版として、MRIC Globalを立ち上げました。
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[597](寄稿)「老い」について

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ペンギンドクターより
その1

皆様
 猛烈な暑さが続いています。
 
 添付ファイルは、私が57歳になる直前に書いた文章です。「恩寵の時間‐その24」というのは、2003年5月にS病院の院長を辞めて、2004年4月から入職予定だったN病院の院長職まで、10カ月の間、医師になって初めてのゆったりした時間を得たということで、名付けました。その24というのは、その恩寵の時間を利用して週2回、A4版1枚のエッセイを書くことをノルマにしたので、その24番目という意味です。最終的には80数回、故郷のことや、中学・高校・大学の出来事などの文章を書きました。
 その24は「老い」について書いていますが、一昨日、3ヶ月前に読んだボーヴォワールの『老い』という有名な本の読書記録を綴っていたら、「病い」は本人にとっては自覚されているが、他者にはわからない、「老い」は本人は自覚していないものの他者にはよくわかるという彼女の文章があったので、私が昔書いた文章を思い出した次第です。
 彼女の『老い』は1970年に出版されています。もう50年も前です。この50年で平均寿命もずい分伸びました。今は、見たところお元気そうな老人が増えています。つまり、ボーヴォワールと私の意見はまるで反対と言える時代になってきていると思います。私の文章は、心ある人なら、見かけはともかく、自分の老いを自覚しているはずだ、それを誤魔化すことなく、権力のある人は若い人に地位をゆずるべきではないか、と言いたいわけです。そして、自分の「老い」を誤魔化すうちに完全に自分の老いを忘れてしまうので、例の「上級国民」のように、池袋で暴走による殺人を犯しているのに、自分は間違っていないと言い張ることになってしまう。また、某政治家のように状況を逸脱した「本音」が出てしまう。つまり、「老い」は時と場所を弁えることができなくなって、子どもの時の時代そのままとなってしまうわけです。時代の変化を忘れてしまう。情ない時代です。

 しかし、アメリカの大統領もどうみても老人ですし、独裁国家の権力者もどんどん老いてきています。17年ほど前に書いた私の文章も、今の時代とはそぐわなくなっていると思います。日本だけでなく世界中が若さを評価できなくなって、人類が老いてきているのかもしれません。
 救いは、オリンピックでの若い選手の活躍ぐらいでしょうか。
 

〈添付ファイル〉

「老い」について

恩寵の時間―その24

 人は老いる。
 私も、老いた。あと20日で57歳になる。昨日、2000メートルをノンストップ52分で泳いだ。5年前には考えられなかったほど進歩した。それでも私は老いた。
「老い」というのは、自分にしかわからない。他人と比較するものではない。比較の対象は、過去の自分である。

 人間には能力というものがある。もって生まれた得意不得意というものがある。たとえば、ここに二人の人間がいる。一人は、会社の社長、一人は農家の人、ともに65歳、社長は毎日人と接して営業活動に飛び回っている。農家の人は、あまり多くをしゃべらず、いつも腰の痛みを訴えている。二人のうち、どちらが老人だろうか?実は、二人とも65歳という意味で老人である。
 しかし、世の中では、70歳を過ぎても活発に発言し、ばりばりと働いている人がいる。あの人は、別格だと周りの人は言い、本人もそう信じている。多くの公的な役職をこなし、権力もある。彼の発言は重みを持って迎えられ、政治的な影響力もある。彼は、100歳まで生きるのだと秘かに思い、公的活動は80歳まではやれますよと周りに言われて悦に入っている。かつて意識した「老い」を忘れている。これこそ「老い」である。

 私が「老いた」と感じるのは、小さなひとつひとつの事実からである。
 歯が悪くなった。時々痛む、歯医者では異常ないという。私も歯医者で治療できるものではないと考えている。なぜなら「老い」が原因だから。
 目が悪くなった。老眼である。メガネを購入した。よく見える。これで外科医の寿命は10年延びた。そう思う一方、見えても目が疲れやすくなった。やはり「老い」である。
 膝が時に痛むようになった。数日休んだ後の水泳の時には、肩も痛む。「老いた」。
 これらの、小さな肉体の不調は、時に思考に影響する。
 記憶力が落ちた。新しい知識を身につけるのに、何度も同じ文献をひっくり返さなくてはならなくなった。医師を辞めて弁護士になるのは、無理のようだ。

 日本の衰退は、「老人」が幅を利かせているからである。彼らは、かつて「老い」を意識したことはあったが、「自分は他人より能力があるから」という理由をつけて、権力を譲らない。そのような権力者の下には、「媚びる」ことに長けた「若手」が集まり、権力の階段を登っていく。「追い落とされるかもしれない」ということを意識している「老人」は、そのような「若手」を自分の周りに集める。当然、日本は世界を相手に戦えない。
 日本医師会しかり。日本病院会しかり。厚生労働省OBの団体しかり。何とか、このような「老いた」人々の支配する官僚機構を突き崩すことは出来ないものだろうか?

(ブログ管理人より。ペンギンドクターから紹介されているMRICの井上弁護士の意見は次回掲載します。)

[596](投稿)「相馬モデル」を読んで

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読者より
ペンギンドクターの相馬モデルを読ませていただきました。

研究対象として、顔ぶれがあまり変わらず、
しかも、隣同士の付き合い=確かな連絡網があるということが大事ですね。
長年にわたる地域の安定さが研究の成果の可否を左右するので。

これが、東京都ならびにその周辺県では、異動が激しくてできませんね。
SNSの情報しかない、学校もリモートだと信頼できる友人ができないからなおのこと、正しい情報が伝わらないのだと思います。

TVに出る医師の話も、スマホの時代には伝わらないかと思います。
一定の公衆衛生的知識や免疫の知識なども基本的なことを優しく、分かりやすく繰り返し教える「講座」が必要でしょうね。基本的な教科書も作れば良いと思います。出席もリモートで取れて、単位も取れる、時には意見交換ができればよいですね。
ガセネタも取り上げこまめにつぶしていく・拾い上げるには、…それらを連携する「チーム=町村」の多くの「構成員」も必要ですね。家庭教師のような人たちが。
これには国も補助金も出さないとダメでしょうね。

昔読んだ九州の血圧の管理・治療・研究をしていた町村の話を思い出しました。

[595](寄稿)ワクチン接種「相馬モデル」

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ペンギンドクターより([594]のつづき)
その2

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「相馬モデル」はワクチン接種の世界的リーダーとしても期待大

この原稿は幻冬舎ゴールドオンライン(2021年6月30日配信)からの転載です。
https://gentosha-go.com/articles/-/35361

星槎グループ医療・教育未来創生研究所 ボストン支部 研究員
大西睦子

2021年7月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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●接種会場で目にした「相馬モデル」の成功

先日私は、福島県相馬市の「新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター」で、ワクチン接種に参加しました。噂には聞いていましたが、まさに百聞は一見に如かず。「相馬モデル」の成功を目にして感銘を受けました。

2021年5月24日、「新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター」が相馬市に設置されました。相馬モデルでは、行政が市内を10の地区に分け、希望する住民に日時を指定して接種券を送る「割当制」を採用しています。つまり、接種希望者は、ネットや電話の予約なしで、指定された日に接種会場に行くだけでよいのです。

地元テレビ局の情報によると、相馬市では、ワクチン接種対象の79%に当たるおよそ1万3500人が接種を希望し、7月17日までに終了する予定です。

接種会場でお会いした副市長さんや、市の職員や看護師さんたちとの会話したことで、(1)地域コミュニティ、(2)行政のリーダーシップ、(3)医師会や医療関係有識者との連携、これらの3つが「相馬モデル」の成功のカギだとわかりました。


●「スピーディなワクチン接種」を実現させた3つのカギ

(1)震災を乗り越えたコミュニティの絆

マスメディアやインターネットでは日々、ワクチンの副作用について情報が流れています。そのような状況で、多くの人が、ワクチン接種に対して過度な不安を抱えているように思います。

ところが、相馬市の人々にはそのような不安は見受けられませんでした。副市長さんによると、「相馬市のコミュニティでは、ワクチン接種を終えた人が、近所の仲間に『予想していたより何ともなかったよ』などと、経験談を共有しています。そのため、多くの市民は安心してワクチン接種を終えています」とのこと。やはり仲間のアドバイスは信頼できます。

私は、職員の方々といっしょに昼食をいただきました。皆さんが気さくだったので、すぐに会話が弾みました。食後は、地域の方から手作りの美味しい甘酒(ノンアルコールです)の差し入れまであり、あたたかい雰囲気に包まれました。

(2)行政の先見性

新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター顧問を務める立谷市長は、すでに新型コロナウイルスのワクチンが、インフルエンザワクチンのように来年も必要になることを想定し、ワクチン接種の準備を進めてきました(※2)。

当日、非常にスムーズに接種が進んでいたので、看護師さんに理由を尋ねたところ、「リーダーが作った会場のデザインが優れているからよ。すでに高校生も1回目の接種を終えているの」と教えてくれました。

さらに副市長さんは、「『割当制』の採用や、アクセスしやすいワクチン接種会場のデザインなど、地域性を生かした取り組みをしている」と説明してくださいました。

(3)プロの医療従事者による支援

医療ガバナンス研究所の上昌広先生のチームは、地元の医師会と連携し、震災以降、医療支援を続けてきました。

さらに、世界トップレベルの公衆衛生の専門家であり、キングス・カレッジ・ロンドン元教授の渋谷健司センター長は、科学的な視点に基づき、ワクチン接種や今後の長期的な感染症対策を検証しています。

それだけではなく、上先生のチームや渋谷先生は現場でワクチン接種に携わり、会場のスタッフと深い信頼関係を築いています。


●相馬市と「全米から心臓病を減少させた街」の共通点

私は、相馬市のワクチン接種に参加したとき、ふとフラミングハムを思い出しました。


フラミングハムは、ボストンにある私の自宅から車で20分ほどの距離にある、白人の中流階級が住んでいる米国によくあるタイプの街です。街の人口は6万8000人、面積は68.5平方kmほど。特にメジャーな産業はなく、ショッピングセンターや小売業が街の主なビジネスです。多くの住民は、ボストンやその周辺で働いているため、ボストンのベッドタウンとして知られています。

そのフラミングハムでは、1948年から「フラミングハム心臓研究」と呼ばれる世界的に有名な疫学研究が続いています。米国では、1940~50年代に心血管疾患が激増し、1950年までに全米の男性3人に1人が、60歳に達する前に心血管疾患を発症しました。そんなとき、米国政府、マサチューセッツ州ハーバード大学の共同で、予防的なアプローチで、大規模な心臓病の疫学研究がフラミングハムで開始されたのです。

フラミングハムは、長期疫学調査に適した街でした。その理由としては、主に以下のとおりです。

1)街のサイズや住民の生活が安定していること

2)街の医師や医療専門家が非常に協力的であること

3)住民リストがあり、保健局が死亡診断書の情報やその他の重要な統計を提供できること

4)30年近く前に、結核について住民参加によるコミュニティ研究を行い、成功した実績があること

5)住民に研究に対する協力精神があること

相馬市には、フラミングハムに似た状況があり、長期疫学調査に適していると思います。


フラミングハム心臓研究のおかげで、心血管疾患のリスク因子が明らかになり、米国では60年代半ばから心臓病が減り始めました。今後、相馬モデルが、ワクチン接種における世界的なリーダーになることを期待します。

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