[515]国民投票法は憲法改悪の一里塚 その2

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ヒットラーはワイマール憲法の国家緊急権を使った

 自民党改憲案のなかには戦争放棄をうたった憲法9条の改悪とならんで緊急事態条項の創設が盛りこまれています。条文の一部を〔513〕で紹介しましたが、戦争や内乱、災害などの国家緊急時に内閣に法律と同等の政令を決定し施行するという強権を与えるという条項です。

 ヒットラーはワイマール憲法の国家緊急権を使って、共産党の議員を逮捕拘禁し、国会で全権委任法を成立させてあの独裁体制をつくっていったのです。緊急事態権を日本の憲法に明文化するのは行政権力の独裁に道を開くことに法的根拠を与えることになるのです。

 ワイマール憲法第一次大戦後にドイツ革命を阻止した社会民主党が中心になって1919年につくられたドイツ共和国の憲法です。主権在民普通選挙がうたわれており、資本主義国家の民主主義的憲法ですが、第48条に国家緊急権(大統領緊急措置令)が入れられていました。

 1930年代のドイツは戦後賠償の重圧と世界大恐慌の影響で経済危機におちいり解雇され失業した労働者は600万人になったといわれています。インフレが進行し労働者の生活は貧窮し社会不安が広がっていました。賃上げのストライキが頻発し共産党の影響も強くなり困り果てていた資本家階級は、ドイツ共産党の破壊と再軍備をめざしたのです。ドイツ資本家階級はヒトラーのナチ党をして、資本主義国家の統治形態を民主主義的議会制からファシズム的統治形態に転換せしめていったのです。1933年2月ヒトラーは国家緊急権の発動を切り口にして一ヶ月のうちにナチ党独裁体制をつくったのです。「ワイマール民主主義」の中から第48条国家緊急権の発動を通路としてファシズム独裁政権は生まれたのです。国家緊急権の発動は憲法に則ってなされたのです。

コロナ危機を奇貨として憲法改悪に進む政府

 政府の愚策によって感染症は広がっています。緊急事態宣言、まん延防止措置によって休業した中小経営者は給付金すら遅配となり、先行きが見えなくなっています。解雇された労働者は生活苦に追いやられ、「特例貸し付け」の申し込みが急増しています。朝日新聞によれば、貸付額は8429.5億円、申請件数は209.4万件(4月17日)になるといわれ、コロナによって貧困が広がっていることが浮き彫りになっています。それも9カ月で打ち切られます。

 菅首相憲法記念日の3日、改憲派の集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、大災害などの時に内閣が国民の権利を一時的に制限する「緊急事態条項」は、「極めて重く大切な課題」と語りました。その上で、同条項や、憲法9条改憲を含む自民党改憲4項目」の実現をめざす考えを示しました。菅政権は戦争の反省の上につくられた憲法9条をはじめとした現憲法を葬り去るつもりです。
 維新の会松井代表は改憲のお先棒を担いでいます。4月30日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大のなかで、「政治の責任としては、タブー視することなく、私権制限についても議論すべきだ」と述べました。緊急事態宣言が出されても人出の抑制につながっていないと語り、「有事に際し、どういう形で人の動きを抑制できるのか、私権制限も含めて 議論すべきだ」と言いはじめています。

 いまコロナ危機のなかで、政府が憲法に緊急事態条項をつくるべきだということをより強くいいはじめたのは、現在の法的規範の枠内ではどうしていいかわからなくなっていることを物語っているのではないでしょうか。経済的にも政治的にも揺れている日本政府・支配者階級は、感染症の広がりを奇貨として国家の民主主義的統治の限界をファシズム的統治形態の強化確立の方向にむかって「突破」するつもりです。

 しかし、新型コロナ問題は直接的には医療問題なのです。罹った患者が入院し治療できるキャパシティーをもった体制があれば悲惨な犠牲をださずにすみ、緊急事態宣言による休業や倒産や人員削減などによって失業者が出る条件をつくらないことはできるのです。しかし新たな感染症に対応できる医療体制がなく、現政権はこの問題を解決することができないということが明らかになっているのです。
 それはなぜかと私たちは考えなければならないと思います。政策的な工夫で改善することはもちろん重要です。しかしそういう体制を常時確保することは本質的に資本主義社会では不可能なのではないでしょうか。病院など医療機関の医療活動は経営的観点に規定されます。利潤の出ない病院というのは資本主義では存続できません。

 ではどういう方向に進むべきか、いま私たちは怒りをばねとして、この社会を変革するために、知恵と団結力をつくっていかなければならないと思います。

 マルクスが分析し解明した資本主義の本質的矛盾とその否定の上に提起した新たな社会の建設がいま「再び」課題としてうかびあがっています。「資本主義の終焉」や『資本論』を扱った本がよく売れているのです。読み考えなければならないと思います。自己崩壊したソ連社会主義や資本主義へと転向した中国型社会主義をのりこえる科学的=哲学的な思想的営為を深めていくことを通して「社会的総労働の比例的配分」の原則が実現される社会を志す時代がきたと、私も思います。

 しかし現実は険しいです。コロナ危機のなかで反対運動、その軸となるべき労働運動が改憲のための国民投票法に真正面から反対する運動をつくれないのです。国会では「与野党合意」までやられました。

国民投票法

 国民投票法立憲民主党が条件付きで賛成したために今国会で成立する可能性が濃厚です。私は投票のCM規制は妥協してはいけないと思います。改憲派はいくらでも資金をつぎ込んで改憲をキャンペーンするでしょう。「洗脳」するに等しいことをやってくるでしょう。だから野党は選挙協力を最優先するまでして国民投票法に賛成するのはやめるべきです。

 NHKによれば、自民党細田衆院憲法調査会長は「時間がかかったのは遺憾だが一歩前進」と評価し、立憲民主党の山花調査会長は「与野党で主張に隔たりが続いてきた中で、最後にお互いギリギリのところで着地点を見いだせたことは1つの成果だ。法案にはCM規制などの課題があり、投票の公正さに疑義が生じる可能性もあると考えており、今後は、この議論に最優先で取り組むべきだ」と記者団に述べたそうです。

 政府の憲法改悪のもくろみが一歩進んでしまいました。立民党は次期衆院選選挙協力のこともあるのでしょうが、改憲問題で妥協してしまってはまずいのではないでしょうか。

  政府の責任が大きい・コロナ危機を利用して改憲の環境づくりが進められています。

何とかしなければならないと思います。

[514](投稿)「憲法はアメリカからのおしつけ」論は笑止

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「卓上四季」 半藤さんの憲法

05/03 05:00

永井荷風の日記は生前と死後に公刊されたもので微妙に異なる。例えば1947年5月3日。「日本新憲法今日より実施の由なり」が死後の全集では、「米人の作りし日本新憲法今日より実施の由。笑う可(べ)し」となる▼「あっぱれな文明批評」とたたえたのが半藤一利さんだ。「首尾一貫して政治や社会の変容の背後の不気味な闇だけを見つめた」から「すべてが狂気になった時ただ一人正気を保ち得た」と見た(「荷風さんの昭和」ちくま文庫)▼鬼畜米英が一夜にして礼賛に転じた戦後。志賀直哉までが国語変更を唱えたが、確かな歴史眼の主は、戦後の解放意識の賛美と戦前の皇国観念の心酔に同根の病巣を見たのだろう。荷風は、そうした致命的愚劣を笑ったのではないか▼戦争放棄の大理想を掲げた新憲法に日本は忠実でありましょう。昭和天皇が言うと、元帥は答えた。50年後日本の賢明が立証されるでしょうと。1975年にサンケイ新聞が報じた「天皇マッカーサー会談」の場面だ▼解釈改憲集団的自衛権行使を認め米軍との一体化を強める日本。国際協力の名の下で非戦の誓いはかすむ一方だ。誠に流れやすい国である▼東京大空襲を生き延びた半藤さんは新憲法に武者震いの出るほど感激したそうだ。憲法は選挙を経た国会審議で制定した。現憲法を「米国の押しつけ論」で全否定するのは「笑止笑う可し」というほかない。歴史探偵の遺言である。2021・5・3(北海道新聞 卓上四季より)


※※※ 山田野案山子のコメント:
 永井荷風日本国憲法について1945年5月3日の日記で「日本新憲法今日より実施の由なり」と記したが、死後の全集によると「米人の作りし日本新憲法今日より実施の由。『笑止笑う可(べ)し』」とも書いていたという。それを半藤一利氏は「あっぱれな文明批評」とたたえたのです。
 半藤氏が永井荷風を「すべてが狂気になった時ただ一人正気を保ち得た」というのは、戦争中は鬼畜米英を叫び一夜にして「米人の作りし日本新憲法」を礼賛しはじめた主体性のない精神的風潮に、戦争を礼賛した絶対随順の精神構造と同一のものを感じ批判しえたということなのでしょう。半藤氏は永井荷風の日記を「あっぱれな文明批評」と評価したのです。
 しかし、今日、多くの支配者階級の御仁とそれに並(なら)ぼうとする人たちが「現憲法」を「米人の作りし日本新憲法」として排斥し「改憲論」を唱えるのは間違っていると思います。
 現在の日本国憲法を「全世界の平和を求める憲法」であるという意味で「平和憲法」と思っている私は、「理想論」ですが現憲法を尊重し、願わくは私たちを含めた世界の人びと多くの人が安寧(あんねい)に暮らせるようになればと思います。

 しかし、残念ながらこの現世界は「ミャンマー」などに代表されるように、「軍事・官僚独裁政権」が幅を利かせている「国家」が多く、反旗を翻す中間層や貧困層をより圧迫し収奪し、人々を虫けらのごとくに殺害している映像を見るたびに慨嘆せざるを得ません。

 養老孟司氏のように、敗戦後、学校で教科書を墨(すみ)で塗りつぶした経験を覚えている方はまだ多くいらっしゃると思います。今まで行われていた「教義」(軍事教育=諸外国が日本を追い詰めようとしているなどなどと「被害的」に考え「逆切れし」、「鬼畜米英」を大義とする等々)が逆転するという「軍国主義国家」を体験された方で、そのことを何度も咀嚼(そしゃく)した人たちが、まだ多く生存されておられると思います。

 歴史的に貴重な体験をされた方たちの話を聞き、このような歴史書などを読み、深く考え、人口の大多数を占める諸労働者はともに団結して戦争や憲法改悪に反対し、この世の中を支配する人たちの圧政を跳ね返していこうではありませんか!!


[513]国民投票法は憲法改悪の一里塚  その1

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国民投票法憲法改悪の一里塚  その1

――感染の広がりに乗じた政府――


 今回の緊急事態宣言は憲法に緊急事態条項を組みこむための足固めという含みもあると思います.
 権力が国民の行動を規制し感染をおさえこむというやり方を憲法に書きこむと、戦争や政府の政策に反対する運動の高揚による政府の危機にたいしても強権を発動して弾圧することが合法化されてしまうということです。国民投票法は政府がねらう改憲の一里塚です。  

 自民党改憲草案には次のように書かれています。これは9条改憲など改憲4項目のなかのひとつです。


「(緊急事態の宣言)

第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

(緊急事態の宣言の効果)

第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。」


 緊急事態宣言をだせば、国会を通さずに内閣の独断で政令を発することができるということです。ときの政権は独裁化します。


行動規制がゆるいから感染が拡大するのか?

 新型コロナウイルスがヒトに感染することそれ自体は自然の法則性です。ウイルスは寄生し宿主細胞の機能に完全に依存してはじめて自己複製し増殖することができるのです。人間の力で絶滅はできません。ウイルスは変異をくりかえして存在しつづけます。ですから、このウイルスを人間社会はうけいれてどうするかと問題をたてるほかないのではないでしょうか。人に感染したウイルス、つまりウイルスに感染した患者を一か所に集めウイルスが広がらないようにすることが肝腎なことだと思います。ウイルスは人に寄生して増殖しても感染する対象がなくなれば当のウイルスは活動できなくなり消滅します。
 それを可能にするのは医療体制の強化のほかにはないと思います。診断・治療の体制の強化です。ワクチンが予防効果を発揮して新型コロナウイルス感染症はやがて収束するにしても、いまのワクチンが効かない変異ウイルスはヒトに感染します。どんなウイルスであっても感染して病をひき起こすウイルスを、わかり次第隔離すること、つまり罹った人が入院・治療できる場を常につくっておくことがこの一年のパンデミックの教訓にされなければならないことだと思います。
 人間社会は病をひきおこすウイルスに感染した人が入院できる場をつくり、そこで治療してそのウイルス増殖を衰滅させるしかないと思いますが、政府はそれができなかったということにつきます。

 政府は新型コロナ危機にたいする緊急事態宣言の「効果」を改憲にむすびつけようとしています。感染症にせよ政府批判運動にせよ社会的攪乱因子を、強権を発動して力づくで封じこめるというやり方はその場しのぎであり、非人間的ではないでしょうか。支配者階級が自分の利益を守るために労働者階級民衆に困窮を強いることにしかならないのです。
 日本では5月8日までに1万846人の方がなくなっています。大阪では医療が受けられずなくなる方が増えています。政府や都は感染第4波を国民の「自粛」が足りないことが原因であるかのようにいっています。いわゆる自己責任論です。「自粛」できないなら私権を制限してもおさえこむというのが政府の考えです。テレビでは「自粛」しない若者や、家族づれの映像をくりかえし流しています。
 しかし感染の広がりと治療をうけられない人が出ているというこの現実は、政府や自治体の医療政策の破綻を示しているのです。病院の統廃合や医療機関、保健所の合理化によって感染症に対応できなくなっているのです。昨年以降、新型コロナウイルスが蔓延し社会的パニック状況となり私たちの生活が危機におちいっているのは社会的な要因すなわち感染症を対象とした医療体制の貧弱さがあるからです。自己責任論はそれをおし隠すものだと思います。
 
 にもかかわらず、公立病院の統廃合はいまもなお停止されてはいません。コロナ以前から厚生労働省が進めている公立・公的病院の再編、病床削減がコロナ危機の最中も抜本的見直しはされていないのです。毎日新聞の政治プレミア(3月12日)は、「2014年に成立した地域医療・介護総合確保推進法に基づいて各都道府県が策定している地域医療構想で、圏域に必要な病床数を割り出し、過剰な病床を削減するとしている。厚労省はこの構想に基づく補助金『病床削減支援給付金』の医政局長通知を昨年11月26日付で出した。」と伝えています。

 Gotoもそうでしたが、感染症にたいするオーソドックスな対応とは正反対のことをやっておきながら、緊急事態宣言で新型コロナ感染症を収束させることはできません。強権的に人々の行動をおさえこむというプラグマチックな発想が批判されなければなりません。

つづく

[512](投稿)〈核のごみ、どこへ〉周辺自治体の声生かせ

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<シリーズ評論 核のごみどこへ>26 周辺自治体の声生かせ 茨城県東海村前村長・村上達也氏(78)

 2011年3月の東日本大震災では、日本原子力発電東海第2原発茨城県東海村)を5・4メートルの津波が襲い、防潮壁の上端までわずか70センチまで迫った。工事が終わらなかった壁の一部に穴があり、原子炉の冷却に必要な非常用発電機3台のうち1台が止まった。東海村も福島と紙一重の状況で、幸運が重なって事故が防げた。▼ 東海第2原発の半径30キロ圏内には約94万人が住む。ひとたび事故が起きれば、多くの人が避難しなければいけない。福島第1原発事故を目の当たりにし、東海村だけでは住民の安全に責任を持てないと思うようになった。▼ 翌年2月、水戸市那珂市など周辺5市の市長に、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけた。各市長も原発事故への危機感が強く、乗ってきてくれた。後任の山田修村長が協議を続け、18年3月、再稼働には東海村に加えて5市の「事前了解」を得るとする、新たな協定を原電と結んだ。以前は、茨城県東海村が同意すれば原発を再稼働できたが、5市と東海村の市村長が1人でも反対すればできなくなった。▼ 後志管内寿都町神恵内村の町村長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募したのは信じられない思いだ。北海道には自然豊かな良いイメージがあり、それにより農林水産業や観光業が発展してきた。調査が進めば核のごみのネガティブな印象がつく。こうした被害を受けるのは周辺地域だ。これだけ重要な問題を寿都町神恵内村だけで判断してはならない。調査に応じれば交付金をもらえるが、原発マネーに依存してしまえば地域は発展しない。▼ 原発から出る廃棄物は、東海村を含め原発がある自治体が引き受けることを考えないといけない。これらの自治体は原発を誘致し、さまざまな形でお金をもらってきた責任がある。まず国は、いつまでも実現しない(原発で使った燃料を再利用する)再処理をやめるべきだ。その上で、各地の原発でより安全性の高い方法で保管すればいい。▼ まだ文献調査は始まったばかりで、引き返すことはできる。茨城県のような協定がなくても、周辺自治体の首長が連名で反対の意思を伝えれば、寿都町神恵内村は無視できない。住民の関心を高めて、地域が一体になって声を上げることが重要だ。(聞き手・長谷川裕紀)

<略歴>むらかみ・たつや 1943年東海村生まれ。一橋大卒。常陽銀行ひたちなか支店長を経て、97~2013年に東海村長。「脱原発をめざす首長会議」の世話人を務める。
(北海道新聞デジタル 2021・5・4 より)

※※※ 真田幸村のコメント:
 「2011年3月の東日本大震災では、日本原子力発電東海第2原発茨城県東海村)を5・4メートルの津波が襲い、防潮壁の上端までわずか70センチまで迫った。工事が終わらなかった壁の一部に穴があり、原子炉の冷却に必要な非常用発電機3台のうち1台が止まった。東海村も福島と紙一重の状況で、幸運が重なって事故が防げた」と、2011年3月11の東日本大震災で、女川原発も含めこのような原発に危機的状況が迫っていました。福島第一原発事故と同じ道をたどったかもしれないのです。

 電気を生む原発が、電源喪失メルトダウンするという皮肉な結果が、「福島第一原発だけで済んだのは、『幸い』?だったわけですが、極めて辛い被害を直接的に被ったのが福島第一原発の周辺の自治体やそこに住む数多(あまた)の人びとだけ?だったのは奇跡というほかありません」【自死された有機農法をされていた方や可愛がっていた乳牛などを見捨てざるを得なかった方や放射線量が極めて高くて地域の紐帯(ちゅうたい)を自分の考えではなく切り話さざるを得なくなって避難を余儀なくされた人々…のことまで政府は考えてはいなかった。今でも考えずに、福島並びに全国の漁業者の反対を無視して、死の灰を海洋に放出することを決めるというあくどい仕打ちを「新型コロナ禍のなか」で押し通す菅官邸や政府のありようをどのようにお考えになりますか?】。

 東海第2原発茨城県東海村)の周囲の半径30キロメートルに限っても、約94万人が被ばくする可能性があったということです。しかし、上記の「直接的被害」以外に、間接的に福島第一原発事故では、思わぬ所に強い放射線を放つ核物質が降り注ぎました。また、高く吹き上げられて、日本列島の遠隔地にも海洋にも海外の諸国にも、チェルノブイリ原発と同じように大量の放射能を放つ核物質【死の灰】が降り注いでいるのですが、政府は、これまで同様に、あらゆる原発事故の影響をなるべく小さく見せようとしてきましたし、これからもするでしょう。

 翌年2月に、日本原子力発電東海第2原発周辺の水戸市那珂市など周辺5市の市長に、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけ、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけました。その結果、各市長も原発事故への危機感が強く、呼びかけに乗ってきてくれました。後任の山田修村長が協議を続け、18年3月、再稼働には東海村に加えて5市の「事前了解」を得るとする、新たな協定を原電と結びました。それ以前は、茨城県東海村が同意すれば原発を再稼働できましたが、5市と東海村の市村長が1人でも反対すればできなくなったのです。

 このような経緯を知っている茨城県東海村前村長・村上達也氏(78)は、「後志管内寿都町神恵内村の町村長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募したのは信じられない思いだ」と言います。また、「北海道には自然豊かな良いイメージがあり、それにより農林水産業や観光業が発展してきた。調査が進めば核のごみのネガティブな印象がつく。こうした被害を受けるのは周辺地域だ。これだけ重要な問題を寿都町神恵内村だけで判断してはならない。調査に応じれば交付金をもらえるが、原発マネーに依存してしまえば地域は発展しない。  
 原発から出る廃棄物は、東海村を含め原発がある自治体が引き受けることを考えないといけない。これらの自治体は原発を誘致し、さまざまな形でお金をもらってきた責任がある。まず国は、いつまでも実現しない(原発で使った燃料を再利用する)再処理をやめるべきだ。その上で、各地の原発でより安全性の高い方法で保管すればいい」と強調します。地域が一体となって、核のゴミ捨て場に関する文献調査等に対して反対の声を上げるべきだと断言しています。私も同感です。(注1) 原発そのものの廃絶と核のゴミ【死の灰】を国や電力会社で責任をもって、「処理」し「監視」するようにしてほしいものです!! 「監視」は10万年では足りず、100万年単位になると思います。なぜなら「プルトニウム」の半減期は2万4千年です。これが限りなく減衰していくのを計算してみてください。放射能の健康に対する悪い影響が及ばないくらいになるには、10万年ではあきらかに足りないでしょう。そこまで考えて、即時に、再稼働をしている諸原発に対しても「即時停止を求めたい」と思います。 読者の皆様はどのようにお考えになりますでしょうか!?


注1:日本原電・東海第二原発の再稼働差し止め命じる判決…「避難計画整えられていない」

2021/03/18 20:52


[511](投稿)国、赤木ファイルの「存在」を認める

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森友改ざん問題赤木ファイル、国が存在認める方針 

 学校法人森友学園大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自死した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54)が改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を、国が認める方針を固めたことが関係者への取材でわかった。赤木さんの妻・雅子さん(50)が国などに損害賠償を求めた訴訟の裁判手続きの中で、国は6日にも文書で回答するとみられる。▼国はこれまで、訴訟では「(ファイルは)裁判の争いに関係せず、存否を回答する必要がない」と主張。国会でも、野党が開示を求めたのに対し「訴訟に影響を及ぼすおそれがある」との答弁を繰り返し、存否を明らかにしてこなかった。▼焦点は、ファイルの中身や、それが裁判でどの程度、開示されるかだ。民事訴訟法は、開示によって「公務に著しい支障が生ずるおそれ」がある場合、その部分を外して提出することを認めている。今後、開示の範囲や方法などをめぐり、国と原告側、裁判所の協議が続くとみられる。改ざんに至った経緯や財務省や近畿財務局内での指示の具体的な内容が明らかになる可能性がある。▼雅子さんは昨年3月、俊夫さんが自死したのは同省で改ざんを強いられたからだとして、国と佐川宣寿(のぶひさ)元同省理財局長に計約1億1200万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。  国側は、省内で改ざんが行われたことについては争わず、ファイルの存否は裁判での争点にはならない、とする立場を取ってきた。▼一方、原告側は、ファイルの内容が明らかになれば、当時の改ざん指示の流れや俊夫さんが受けた精神的苦痛の立証につながると主張。昨年10月には、俊夫さんの元上司がファイルの存在を明かした音声データを、証拠として提出した。今年2月には、国にファイルの提出を命じるよう裁判所に申し立てた。▼原告側によると、3月に行われた非公開の裁判手続きで、国はファイルについて「探索中」と回答。大阪地裁が、今月6日までに存否について文書で回答するよう求めていた。
▼ ◇  〈森友公文書改ざん問題〉森友学園の国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた疑いがあると朝日新聞が2018年3月に報道。財務省は同年6月、文書14件が改ざんされたとする調査報告書を公表し、改ざんの方向性を決定づけたという佐川宣寿元理財局長=辞職=ら計20人を処分した。改ざんに関与させられ、自死した赤木俊夫さんの妻・雅子さんは昨年3月、国などに賠償を求めて提訴し、俊夫さんが改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の開示を国に求めていた。(朝日新聞デジタル 2021・5・5 yahoo ニュース掲載より)

※※※ 真田幸村のコメント:

 「学校法人森友学園大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自死した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54)が改ざんの経緯を記したとされる『赤木ファイル』の存在を、国が認める方針を固めたことが関係者への取材でわかった」と2021年5月5日に報道されました。「森友公文書改ざん問題」は、朝日新聞が2018年3月に「森友学園の国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた疑いがある」と報道したことを契機に、財務省は同年6月、文書14件が改ざんされたとする調査報告書を公表し、改ざんの方向性を決定づけたという佐川宣寿元理財局長=辞職=ら計20人を処分しました。しかし、安倍元首相らが森友学園に便宜を図ったことが表ざたになると危機感を抱いた安倍元首相・官邸・自民党幹部らは「赤木ファイル」を隠し通そうとしました。
 改ざんに関与させられ、自死した赤木俊夫さんの妻・雅子さんは昨年3月、国などに賠償を求めて提訴し、俊夫さんが改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の開示を国に求めていました。
 「民事訴訟法は、開示によって『公務に著しい支障が生ずるおそれ』がある場合、その部分を外して提出することを認めている」が、国を揺るがす大問題を引き起こしかねないため、裁判所の裁定は訴訟において、「赤木ファイル」を公表しない可能性が大きいと推測します。
 改ざんの初めは、「天の声」で命令された「佐川宣寿元理財局長」が指図したものと見られ、その恩賞に「理財局長」から「国税庁長官」へと出世しますが、これがまた火種となり「懲戒処分」されたため「辞表を」佐川氏は出しました。これによって辞職後の退職金は満額与えられたことでしょう。麻雀で辞職せざるを得なかった黒川検事長は佐川氏の先例に従って辞職し、退職金を満額貰うことになりました。

 今回の連休中のニュース番組で、お葬式の場面で、赤木氏が勤務していた「近畿財務局」の直属の上司が、赤木氏の妻に「情け深い」話をしている場面が映像と音声とで放送されましたが、直近のニュース番組の取材に関しては、その上司は一言も赤木氏のこと、改ざんのことは一切話しませんでした。話したくても話すと「首になる」ことを恐れたと推定できる態度が見受けられました。

 赤城ファイルの公開に関しては予断を許しませんが、もし、公開すべきと判決が下っても、政府側は控訴することでしょう。

 これでまたブラック企業と同じ「国家」という「怪しい会社」の国家公務員になりたいと希望する若者が減少することでしょう。

 読者の皆様は、この「日本のウォーターゲート事件」をどのように思われますでしょうか。自己保身の塊の安倍元首相や政府自民党、金で票を買うことを平気でやり、福島第一原発の大惨事で自死に追い込まれた人がいること、改ざんを迫った赤木氏の自死に平気でいられる現政府・自民党をどのように思われますか。怒りをお感じにならないでしょうか。


[510](投稿)重い介護保険料の負担

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介護保険料格差 国の主導で制度再建を
 65歳以上の介護保険料が3年ぶりに改定された。道内の156自治体・広域連合の基準月額は、平均5693円となり、改定前に比べて1・3%増加した。保険料の増加率が小幅なのはコロナ禍による経済的な影響を考慮して基金を取り崩し、上昇を抑えた自治体が多かったからだ。▼だが、保険料のばらつきは目立つ。最高額の夕張市と最低額の上川管内音威子府村の差は4575円で過去最大となった。
 超高齢社会で保険料は今後さらに上昇が予想される。自治体は「このままでは許容できる水準を超えてしまう」と懸念する。▼地域の過疎化などが進む中、介護サービスの質と量をどう維持していくのか課題は山積している。国は誰もが安心して老後を迎えられるよう、持続可能な制度の再構築を主導すべきだ。▼ 介護保険制度は40歳以上の人が保険料を支払い、原則65歳以上で介護が必要だと認定されれば一定の自己負担で介護サービスが受けられる。費用は保険料、税金、利用時の自己負担で賄う。▼保険料の全国平均は2000年度の制度創設時で月約2900円だったのが、18年度は約5900円と倍増した。背景にはサービス利用者の大幅な増加などがある。▼ 政府の推計では、人口の多い団塊の世代がすべて75歳以上になる25年度には7千円前後、40年度には9千円程度になると見込む。▼こうした上昇が続けば、高齢者は負担に耐えられなくなるだろう。現状でも保険料を滞納、資産を差し押さえられる人たちが急増している。▼また、介護現場は人手不足が深刻だ。非正規雇用が多く、離職者も少なくない。給与など処遇面でのいっそうの改善が不可欠だ。▼「老老介護」に加え、大人の代わりに家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」の問題も、社会でようやく認識され始めた。さまざまな課題を踏まえながら、介護保険制度のあり方を徹底的に議論する時期に来ている。財源問題については介護保険制度の狭い枠だけでは解決は難しいだろう。国の予算全体の中で考えていく必要がある。▼無駄な歳出や膨張する防衛費などを見直し、企業優遇税制の改変や富裕層への課税強化なども検討すべきではないか。
 小手先の手直しを繰り返しても、ほころびを繕いきれない。国は厳しい実情から目をそらさず、責任をもって取り組むべきだ。(2021/4/24 北海道新聞デジタル 社説 より)

※※※ 渋沢栄二のコメント:

 「65歳以上の介護保険料が3年ぶりに改定され、道内の156自治体・広域連合の基準月額は、平均5693円となり、改定前に比べて1・3%増加」したわけです。この先どこまで介護保険料金の値上げがなされるか?心配でならない方々が、少子高齢化と過疎化の地域が増える時代では急速に増えると考えられます。もちろん、医療保険料金の負担額も同じく増えていくでしょう。

 ここでは、「財源問題については介護保険制度の狭い枠だけでは解決は難しいだろう。国の予算全体の中で考えていく必要がある。無駄な歳出や膨張する防衛費などを見直し、企業優遇税制の改変や富裕層への課税強化なども検討すべきではないか」と提案していますが、今の菅政権並びにそれを支えている自民党公明党等の政策では、おカネがない人から「乾いたぞうきんをもっと絞る」政策しか出てこないと思います。原発マネーで、核のごみの廃棄場所を確保したり、無駄な「公共工事」を行い「票田・裏金」を確保したり、「大企業優遇税政策」を継続したりしているのでは、人々の「希望」は雲散霧消してしまっています。これが現実です。

 この過酷な現実を、転換させるにはどうしたらいいのか!?ともに考えていきませんか!!

<編集部より>
 渋沢栄二さんの言われるとおり、老後は過酷です。いま高齢になった労働者から搾れるだけ搾って、あとは野となれ山となれ自己責任、という社会は根本がおかしいと思います。
 日本の支配者階級は、新型コロナ危機の犠牲を被支配者階級におしつけのりきるつもりです。私たちは団結してたたかうなかで、この資本主義社会の非人間的本質を考え新しい社会づくりを考えるべきときだと思います。

[509]改憲賛成が増えたのは なぜ?

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憲法74年目

 憲法改定についての世論調査は新聞社によってばらつきはあるものの、従来よりも改憲賛成が増えました。
 コロナ対策に失敗し、緊急事態宣言という強権発動に賭けた政府が、国民の意識を変えつつあるのだと私は感じます。
 新型コロナウイルスは不気味な「粘り強さ」を発揮しています。みんな不安感が深まり疲れてきています。テレビでは毎日毎日感染者数のグラフがうつされ菅首相小池都知事は「巣ごもり」が国民の義務であるかのようにくり返し訴えています。個人の感染からの「防衛義務」と「自己責任」論が社会的規範のようになり、そこから外れた行動をとるものは白眼視、非難されます。休日、街角や行楽地のインタビューを見ると、ほとんどの人が自分が出かけていることの弁明をしています。

 私は5月3日の国会前憲法集会のライブ中継を見ました。世論調査の結果にコメントした発言はなかったと思います。
 どうして改憲賛成が増えたのだろうか、考えてみます。

・読売新聞は「憲法改正『賛成』上昇56%、緊急事態対応『明記を』6割」と見出しで伝えています。「覇権主義的な動きを強める中国への警戒感が、憲法改正の機運を押し上げた可能性がある」コメントしています。「大災害や感染症の拡大など緊急事態における政府の責務や権限のあり方について、憲法を改正して条文に明記することを支持する人も59%と半数を超えた」といっています。

毎日新聞の調査では憲法改正について「賛成」が48%と「反対」の31%を上回り、9条を改正して自衛隊の存在を明記することに「賛成」は51%で「反対」の30%を上回ったと報道しています。9条に関しては「自衛隊の明記」の是非を問うたようです。

朝日新聞は一面見出しでは「改憲『必要』45%、『必要ない』41%」「9条『変えない』61%」というように改憲の賛否の数字を紹介するにとどめています。しかし2013年以降では改憲の賛否の差は最も小さくなっているとのこと。9条にかんしては条文を示して賛否を聞いたといっています。緊急事態条項は「改憲せず対応」が54%となっていますが、「憲法を変えて対応する」が増加しています。「個人の自由と権利が制約されても、感染の抑制を優先するべきか、それとも、感染が拡大する恐れがあっても、個人の自由と権利を優先するべきか、と問うたところ前者が83%、後者が10%だったそうです。私はこの時期に答を誘導するような聞かれ方をされてよく10%のひとが「個人の自由」を優先すると答えたなと感心しています。

 当ブログ『新型コロナ危機のなかで』の編集部は4月26日「[500]緊急事態宣言について」の号で「東京では『灯火管制』にひとしい声が上から発せられました。社会全体が一方方向をむきはじめています。危ない風調です。同調しないひとは『非国民』にされかねません。」と危機感を伝えました。

 そして憲法改悪の動きに警戒を呼びかけました。[500]から引用します。

「この時期にデジタル法案(国民監視の強化)は衆院を通過し、改憲国民投票法の改定案が採決にもちこまれようとしています。

 蔓延防止等重点措置は平時でも政府の罰則つきの強制措置を可能にし、国民を措置に慣らせていくという含みがあるのだと思います。憲法改定案の緊急事態条項の先取りと見なしていいと思います。」

 緊急事態法について5月3日の日経新聞がわかりやすい解説を書いています。

 「全体の利益優先  同条項は『国家緊急権』の思想に基づく。災害や戦争で国家の存立が脅かされた場合、全体の利益のため個人の権利を抑制できるようにする。現行憲法に明確な規定はなく、新型コロナ拡大で機運が醸成されてきた。」「日本では米欧で実施される都市封鎖(ロックダウン)などと異なり、行政の強制力や罰則を抑制しながら感染対策に取り組んできた。・・・かつてハンセン病の患者を強制的に隔離したり、戦前の軍国主義のもとで思想の自由等個人の権利を制限してきた反省がある。」

 菅政権は、コロナ危機下のこんにち感染症を抑えるということを名目として国民の気持の変化にのっかって緊急事態条項を改憲の中におしこもうとしているのは明らかです。日本政府のコロナ対策の失敗による感染の広がりで、労働者、自営業者とその家族、学生は貧窮と罹患の不安に苦しみ先が見えない混沌のなかにいます。労働組合も野党も困窮する労働者階級の信頼を得るような闘いがなしえていないから、改憲すれば少しは現状が変わるかもしれないという「期待」感が生まれているのではないでしょうか。
 憲法改悪は日本が戦争のできる国になっていくかどうかの分水嶺となります。改悪されたら戦争政策に反対することが憲法に背反することになるのです。職場・地域から改憲反対の声を上げていきましょう。
編集部