[1342]対馬市、核ゴミ処分場調査受け入れへ

 対馬市議会の特別委員会が核のゴミ処分場の文献調査を請願する決議案を9対7で可決しました。請願書を提出したのは建設業団体や商工会です。賛成派は最大20億円の交付金に期待しています。漁協や市民団体が反対しています。賛否の構図はすでに文献調査を受け入れ調査をはじめている寿都町神恵内村と同様です。

 それぞれ生活に根ざした判断だと思われます。けれども核ゴミは将来何万年にもわたって放射線をだし続けます。「今だけ自分だけ」はよくないということは理屈としては誰でも知っています。

 対馬市では2006年頃に処分場誘致問題が議論され、そのときには市議会で否決されています。それから16年、人口減で労働力不足となり、公共事業は減り産業は停滞しました。新型コロナ危機の影響で観光業もダメージを受けています。核ゴミ処分場を誘致することによって苦境を乗りきりたいということなのでしょう。

 政府は過疎と不況で困っている地方の弱みにつけ入って処分場をつくるつもりです。市側からの請願という体裁をとっていますが、政府・原子力発電環境整備機構(NUMO)からの働きかけの結果であることには違いありません。

 私は、困窮する地方にカネと引き換えに核のゴミを棄てればいいという政府の根性に憤りを覚えます。政府はグリーントランスフォーメーション(GX)と称して原発の新増設を行うと言っています。稼働すれば核のゴミは出され続けます。

 5年間で43兆円もの軍事費を計画するような現政府の経済・政治・軍事政策は地域の生活危機の犠牲の上に進められるものでしかありません。