元フィギュアの選手・町田樹さんがAIによる採点について意見を言っています。
13日朝日新聞の考論を抜粋します。
連載:新世AI 第21回
芸術性は人間が採点すべき、偏りがあってもいい
町田樹さんのAI論
2024/2/12
スポーツ界で人工知能(AI)を利用した判定が少しずつ広がっている。一方、どこまでAIに委ねるべきかという議論もある。AIによる判定について、元フィギュアスケート選手で、現在は国学院大人間開発学部助教の町田樹(たつき)さん(34)が語った。
AIによる採点は、「競技者に疑念を抱かせない」「人材不足を打開するツールになる」という2点から意義があります。
判定を委ねても人間の尊厳は失われない
例えば、フライングディスク(円盤遊具)をパスでつないで得点を競う「アルティメット」という競技では審判はいません。選手たち自身が判定します。それで当人たちが納得できるならそれでいいと思います。AIも同様に一つの選択肢になります。
フィギュアスケートでは、ジャンプの回転不足やエッジの傾きといった部分で、多くの選手やファンが『今のは正しかったか』と声を上げているのは確かです。······技術点の部分はAIをどんどん導入すればよいと思います。
ただ、フィギュアが多くの競技と違うのは、芸術性の面です。.·······芸術というのは『人に』何かを伝えるための表現行為です。機械に伝えても意味がありませんので、この部分は人が見るべきだと思っています。······人によって評価は違うかもしれません。それでいいのです。それが芸術です。
人を機械が再現していくことに疑問を持つ人がいるかもしれません。···AIの教育者は人間だということです。何をどう評価するのかを定義するのは人間です。その限りにおいて、判定をAIに委ねたからといって、人間の尊厳が失われることにはならないと考えます。」
以上が町田樹さんの意見です。
論理的に説明されていてわかり良いです。
とくに昨今は、労働過程で労働手段として機能するAIを諸関係から切り離して見るという誤った見方があります。人を抜かして考える説が多いと思います
町田さんはしっかりとAIの教育者は人間であり、人間が採点行為に使うツールであることを明確にしています。