[1605]コロンビア大学でたたかう学生へ

 コロンビア大学でいま起きている学生たちの闘いは、私を55年前の学園闘争に連れもどします。この記事で紹介されている大学当局の学内反戦運動への弾圧を目の当たりにしたコロンビア大学日本人学生の意識と行動が50年前の私の体験と重なるからです。

毎日新聞より

米名門大で日本人留学生が見た「弾圧」 ガザ連帯は反ユダヤ主義? 42 コメント42件 5/5(日) 7:00配信

 1970年に公開された米国の青春映画「いちご白書」。題材となったのは68年にコロンビア大で起きた学園紛争だった。そのキャンパスで4月18日、イスラエル軍が攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザ地区への連帯を示す抗議活動を行っていた108人もの学生が逮捕され、30日にも112人が逮捕された。抗議活動は米国各地の大学で拡大している。米国でいま、何が起きているのだろうか。【國枝すみれ】 

◇日本人留学生らが見たもの

 米北東部ニューヨークにあるコロンビア大は、オバマ元大統領から、同大ビジネススクールに通った著名投資家ウォーレン・バフェット氏まで、政財界に数多くの人材を輩出してきた。 そんな名門校のキャンパスに緊張感が漂い始めたのは4月17日。イスラエルを支援する兵器製造企業などと関係を絶つことを大学に要求する学生グループ「ガザ・ソリダリティー・エンキャンプメント」(ガザに連帯するキャンプ)がキャンパスの中庭にテントを張り、座り込みを始めたのだ。 大学は立ち退きを命じ、応じない場合は停学処分や逮捕もありうると警告した。学生側はこれに応じず、大学の要請を受けたニューヨーク市警が18日に学生108人を不法侵入容疑で逮捕した。

「学生を守るべき大学がキャンパスに警察を呼び込んで平和的な抗議活動をしている学生を排除したことに強いショックを受けました」

 同大大学院に通う日本人留学生の美樹さん(仮名)は、学友が手錠姿で連行されたことにショックを隠せない様子。同じく留学生のはるかさん(22歳、仮名)も、自分たちの意思表示をしただけで「弾圧」される現状に対して、「学問の自由と表現の自由が奪われたと感じます」と憤った。

 18日の逮捕劇の後、抗議運動に参加する学生はさらに増え、美樹さんとはるかさんも加わった。 クラスメートの多くが逮捕されて停学処分となり、学生寮や食堂からも追い出された。「こんな状態で自分だけ勉強していていいのか」(美樹さん)との思いからだ。 30日には、68年の運動時にも占拠した建物「ハミルトン・ホール」に籠城していた学生らを、突入した警察が逮捕した。 はるかさんは表現の自由を追い求める学友の姿をみて感じることがある。 「ここから抗議運動が全米に広がっている。民主主義を実践し、歴史の一部になっているという感覚があります」 抗議活動はカリフォルニア大バークリー校など全米各地の大学に拡大している。AP通信は4日、少なくとも46大学で、2400人以上が逮捕された、と報じている。

引用をここまででひと区切りします。

 日本の1969年の学生運動に参加した私は美樹さんとはるかさんと同じ気持ちになったことを思い出します。私もたたかっている学生が正しいことを言っているのに処分されたり逮捕されることに言い表わし難い憤りを覚えました。記者は日本人学生の気持ちを「学問の自由と表現の自由が奪われたと感じます」と報じています。冷静になって言えばそう言えるのでしょうが、素朴で動じない感情が湧いたのでしょう。私が50年前のある瞬間、大衆団交から暴力的に逃げ出す大学当局を見たときには自分の社会感覚がひっくり返るような情動が湧いたのを覚えています。

 私は「こんな状態で自分だけ勉強していていいのか」というほど真面目な学生ではありませんでしたが、「自分だけ自分の内にこもってのほほんとした日々を送っていいのか」という自分にたいする危機感が生まれました。この感情、感覚こそが変革的実践のきっかけ的バネとして生きて働くのだと思います。

引用をつづけます。

◇大学の強硬姿勢、そのわけは 保守系メディアのFOXニュースは、こうした抗議活動を行う学生たちを「反ユダヤ主義の暴徒」「反イスラエルの扇動者」と報道する。 コロンビア大のシャフィク学長も「キャンパスで最近、反ユダヤ主義的な発言、ユダヤ人学生に対する脅迫や嫌がらせ行為があった」とテント排除を正当化した。 だが、はるかさんは「キャンパス内では暴力も差別発言も見聞きしたことがない。抗議活動も非暴力を徹底しています」と否定する。 では大学側が学生に対して強硬な態度をとるのはなぜなのだろうか。 それは「ユダヤ人への憎悪発言や反ユダヤ主義を取り締まれ」という声に配慮せざるを得ないからだ。 ではその声の主は誰なのだろうか。 同志社大大学院の三牧聖子准教授(43)=国際関係論=は、「大学に巨額の寄付をしてきたユダヤ系の投資家や財団のほか、この問題を、多様性や差別撲滅に取り組んできたリベラル大学“たたき”の材料として利用したいと考える保守派だ」と説明する。 ハーバード大ペンシルベニア大の学長は「反ユダヤ主義の台頭に責任がある」などと批判され、辞任に追いこまれた経緯がある。 「学生の抗議は、イスラエルの軍事行動とそれを支援する米国への抗議ですが、それが“反ユダヤ主義”と故意に意味をねじまげられているのです」 三牧さんはいま米国の大学で起きていることを解説した。

以上毎日新聞からの引用でした。

 大学当局は学生の闘いを反ユダヤ主義に仕立て上げて排除するというやり方をしているようです。

弾圧にめげずがんばってほしいと思います。