[879]ウクライナに「もっと武器を」の声に「余計なことするなよ!」と怒り


読者より
 24日のYAHOOニュースにスポニチアネックスが配信した記事が掲載されました。紹介します。

 元参院議員の田嶋陽子氏(81)が24日放送の読売テレビそこまで言って委員会NP」(後1・30)に出演。日本のウクライナ支援を巡って、明治天皇の玄孫(やしゃご)で作家の竹田恒泰氏(46)と意見が対立した。

 番組では「日本のウクライナ支援」がテーマとなって、竹田氏は「もっと武器を」と口に。「人道支援は大変重要でもっと厚くすべきだけど、今何が一番重要かというと武器なんですよね」と述べて、ウクライナに武器を送るべきと主張。そのために「自衛隊法を改正する、もしくは武器移転三原則の解釈見直し、これをやらないと。日本はここに踏み込めるか、大変重要なところだと思うんですよね」と訴えた。

 一方、竹田氏から「田嶋さんは多分怒ってると思うんですけども…」と話を振られた田嶋氏は「余計なことするなよ!」と怒り心頭。「ちゃんとウクライナから言ってきたじゃない。『戦後処理と避難民を大事にしてほしい』って。ウクライナが、ヨーロッパの人が、みんなが、日本ってこういう国なんだよってようやく認識してくれたんだから、やっと平和憲法を生かせる状態になったんだから、その点で一生懸命頑張ればいい」とキッパリ。「避難民の人と、これから日本を出て行く人と、これから来る人にたっぷりの生活できるお金を出すとか(するべき)」と強い口調で語った。
引用以上。
田嶋さんのいう通りだと思います。

 その後ゼレンスキー大統領はアメリカに「もっと武器を」と叫んでいます。しかし日本政府は戦争を助長するようなことはなすべきではありません。ウクライナでは「ロシアはひどいけど、戦争はもう止めてほしい」と言っている民衆も多いのです。実際戦争が続けば続くほど犠牲になる人が増えます。
 アメリカに武器を差し出されたウクライナ軍がロシア軍と際限なく戦わされています。アメリカの武器援助を受け戦争を続けるゼレンスキーに批判的な意見にたいして、アメリカの援助を受けるのは武器がないのだから仕方ないではないか、と言う意見が日本の反対運動の一部に存在しているようですが、運動内部から強く批判すべきだと思います。今やウクライナ戦争はアメリカの対ロシア・中国戦略に組み込まれています。最良の「人道支援」は世界中で労働者民衆が即刻停戦の声をあげることだと思います。
 アメリカ・バイデンは大量の武器供出によって国内兵器産業を活性化させ国内経済の浮揚を実現しようとしています。そして「戦果」を11月の中間選挙勝利につなげようとしているのです。そのために多くの労働者民衆が戦争で死ぬようなことがあってはいけないと思います。


 

[878]米、ゼレンスキー政権に4兆3000億円の追加援助か


ウクライナ戦争が続いています。
5月2日日経新聞の見出しを引用します。。

〈米欧、「東部制圧」阻止ヘ支援、米大幅増額の構え〉

 ロシア軍が侵攻した2月24日以来アメリカは累計37億ドルの軍事支援をおこなって来ました。さらに増額するようです。
 4月30日キエフ入りしたペロシ米下院議長は「米国がウクライナを支持するという紛れもないメッセージを世界に発信するためにキーウ(キエフ)を訪れた」と強調しました。
 ペロシは29日に330億ドル(約4兆3000億円)の追加支援の承認提案を表明しています。
 
 アメリカの戦争加担によってウクライナの兵士労働者民衆とロシア兵士の犠牲は確実に大きくなります。アメリカはプーチンの侵略を奇貨としてロシア封じ込めに戦争を利用しているのです。アメリカの軍事産業は生産が間に合わないほど武器弾薬が売れています。プーチンが東の悪ならアメリカは西の悪です。ウクライナを挟んだ東西の対立が熱核戦争の転化する可能性が高まっています。
 
この機を利用する日本政府
 
 日本政府はロシアとの対決姿勢を強めています。日米軍事同盟に基づいた共同作戦の一端を、敵の指揮統制機能を破壊できる「反撃能力」を備えた自衛隊によって担う道に踏み出そうとしています。
 政府は「専守防衛」の自衛隊という建前から「敵基地攻撃」だけでなく指揮統制を司る「敵中枢」を攻撃できる自衛隊につくりかえようとしているのです。政府にとってその足かせとなっている憲法を変えるために憲法論議の速度を上げています。
 新型コロナ危機の中で私たちは歴史の岐路に立っています。
 

[877](寄稿)コロナワクチン未接種の人たちの様々な理由を調査してわかってきたこと

ペンギンドクターより
その2
 転送する現場の医療者・山本医師の主張もお読みいただければ幸いです。ワクチン未接種者は単にワクチン反対という人びとばかりでなく、接種する時間が取れない人、接種して副反応の発熱で仕事を休むと派遣の勤務が切られてしまう・・・・・PCR検査も陽性なら仕事を休まざるを得ず、仕事を即座に失ってしまうという日本の現実が浮彫りになっています。

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コロナワクチン未接種の人たちの様々な理由を調査してわかってきたこと

この原稿はAERA dot.(4月6日配信)からの転載です

https://dot.asahi.com/dot/2022040500044.html?page=1

 ナビタスクリニック(立川)内科医
 山本佳奈

 2022年4月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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オミクロン株の流行を受けて適応されていた「まん延防止等重点措置」解除から2週間が過ぎました。定期的に外来を受診されている方からは、「最近は、在宅勤務ではなく出社しています」という声や、「しばらく休んでいた運動を再開しました」という声が多く聞かれてきました。その一方で、「コロナが怖いから、まだ人と会うことや外出は極力控えています」という声や、「久しぶりに外出したら、駅や電車に人が多くてびっくりした」という声も聞かれます。

勤務先の内科外来に発熱を含む風邪症状を主訴に受診される患者さんの数の推移や日本の新規感染者数のデータから、私は新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症の第6波は3月末で落ち着くだろうと予想していました。しかしながら、2022年4月3日時点の新規感染者数は7,899人であり、最も多かった2月9日の1万8,287人からは減少しているものの、3月中旬の感染者数とあまり変わりません。第6波はピークアウトしたとはいえ、感染者数が横ばいで推移しているのと同様に、風邪症状を認めて内科外来を受診される方も、一時期よりは減ったものの、まだまだいらっしゃいます。

つい先日のことでした。「派遣で働いているので、翌日発熱して休んだら仕事がなくなってしまう。本当はコロナワクチンを打ちたいのですが、まだ接種できていないのです‥」と診察室に入るなりおっしゃる50代の女性がいました。発熱はしていないものの、咳と喉の痛みが数日前から続いており、「コロナだったらどうしよう」と不安になり受診された方でした。「コロナになって休むことになっても仕事を失うし、コロナワクチンを接種したい気持ちは当初から持っているものの、ワクチンを接種した翌日に熱がでたら勤務できず仕事を失うし、かといってワクチン接種のために休みを確保することもできない……」とおっしゃいました。

PCR検査でコロナ陽性と判明したら、医師には発生届を作成し保健所に提出する義務があります。発生届にはコロナワクチン接種の有無や接種日、ワクチンの種類など接種歴の有無を詳しく書く蘭があるため、未接種であるかどうかも分かります。そこで私は、無理のない範囲内で未接種の理由を聞くようにしています。ワクチン未接種につながるワクチン忌避は、世界共通の問題であるからです。

ワクチン忌避にかかわる要因は、主に3つあることが指摘されています。1つ目は「信頼(confidence)」です。政府や医療に対する不信、ワクチンの有効性や安全性に対する不信は、ワクチン接種を進めるうえで障壁となる可能性が指摘されています。外来でも、「ワクチンは信頼できないから打ちたくない」「国産のコロナワクチンないと接種しません」という声は少なからず聞かれます。

2020年10月にネイチャーメディシンに掲載されたJV Lazarus氏らが19カ国を対象とした調査の結果、「政府を信頼している」と答えた人は「信頼していない」と答えた人よりも、ワクチンを受け入れる可能性が高かったことが分かりました。RJD Vergara氏らは、コロナワクチンに限らず、ワクチン接種の普及は国民の政府への信頼に基づくと言及しています。

2つ目は「利便性(convenience)」です。1回目のコロナワクチンの集団接種が始まった当初、「自宅近くの接種会場では全く予約が取れず、電車やバスを乗り継いで来た」「オンライン予約できず、孫に予約してもらった」という声をよく聞きました。接種場所や時間、価格、接種サービスの質、接種の予約などが「利便性」にかかわります。特に、孤立した高齢者や貧困層といった社会から取り残されがちな集団は、接種費用が無料であっても、「オンライン予約ができない」「接種会場まで行く手段がない」などの問題が残ることが指摘されています。予約ができない、接種会場まで行く手段がない、といった理由で諦めた方は結構いらっしゃるのかもしれないと、集団接種のお手伝いをして感じました。

3つ目がワクチン接種に対する「自己満足(complacensy)」です。ワクチン未接種の理由をうかがうと、「すでにコロナにかかったから、ワクチン接種をしないことにした」とおっしゃる方にお会いしたことがありますが、ワクチン接種は必要ないと判断し「自己満足」した一例です。コロナワクチン接種に伴うリスクとコロナになるリスクとを比較検討し「自分にとってワクチン接種は必要ではない」と判断した結果、「自己満足」し、結果的にワクチン未接種になるという訳です。

しかしながら、2月中旬、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)にオンライン公開された最新の研究報告によると、イスラエルの約15万人分の医療記録からファーザー製のコロナワクチン接種前にコロナ感染から回復した患者におけるコロナ再感染率を評価した結果、コロナワクチン接種は16歳から64歳の人の再感染の82%、65歳以上の人の再感染の60%を防ぐことが分かりました。「コロナ罹患後にファイザー製のワクチンを少なくとも1回接種することで、再感染のリスクが有意に低くなったことが最新の研究で報告されましたよ」と紹介しながら、過去にコロナになってしまった人に対し、私はワクチン接種を薦めるようにしています。

これら以外にも、コロナのワクチンに関するSNS上のニセ情報や、コロナのニュース自体にあまり接していないことなども、ワクチン接種をためらう要因となりうるとされています。「テレビ番組・ラジオ・友人・親が、こういっていたけど、本当ですか? どうなのですか?」と聞かれることは、いまだにとっても多いです。

このようなワクチン忌避の理由が未接種につながるものだと思っていたのですが、それだけではなく、冒頭にご紹介したような「接種したくても、仕事が休めずどうしても打てない」と言う理由に加えて、「一人暮らしだから(接種しなくていいと判断した)」「在宅勤務になってしまい外出しないから(接種しなくていいと考えた)」「親が接種しなくていいと言うから」という理由もありました。

ワクチン忌避に関する調査結果は、たくさん報告されています。ただし、それらの多くが、私が行ったようなアンケートを基本とした調査です。実際にワクチン接種を受けなかった人たちに関する報告はほとんどありません。外来の場で聞く限りではありますが、ワクチン忌避だけでなく、さまざまな理由により接種したくても接種できていないという方が少なからずいらっしゃることを考慮すると、ワクチン忌避とワクチン未接種が必ずしも結びついていない可能性があると私は考えています。

昨年実施された1・2回目の集団接種の際にコロナワクチンを接種しなかった人についての情報(年齢、性別、同居家族の有無など)を現在、調査中です。未接種者の特徴が明らかになれば、現在進行中の3回目の追加接種や計画が始まっている4回目の接種を進めるうえで大いに役立つのではないかと、私は考えています。

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ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。
MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp

◆◇お知らせ◆◇◆◇◆◇
MRICの英語版として、MRIC Globalを立ち上げました。
MRICと同様に、医療を超えて、世界の様々な問題を取り上げて参りたいと思います。
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◆ご投稿をお待ちしています◆◇◆◇◆◇
投稿規定はこちらから
http://expres.umin.jp/mric/mric_hennsyuu_20211101.pdf

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今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp

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http://medg.jp/support/mailinfo.php?id=s1diR9vrPt1iJTGH

MRIC by 医療ガバナンス学会

[876](寄稿)COVID‐19の2冊の本を紹介します

ペンギンドクターより
その1

皆様
 大型連休ですが、いかがお暮しでしょうか。私は昨日半年に一回の眼科受診をしました。白内障の手術後ですが、右目は原因不明の「網膜剥離」があるので、進行はしていないものの異常があれば受診するように言われています。最近右目に違和感があり、疲れ目に過ぎないと思うのですが、念のため昨日受診しました。特に問題はありませんでした。
 今の私には、読書と読書記録が一番の仕事なので、眼の異常が心配の種です。次回は11月頃の受診を考えています。
 歯科受診も半年に一度続けていたのですが、昔勤務していた埼玉県の病院まで行くので、コロナ禍の現在、2年余りご無沙汰しています。しかし、もう十年以上前に歯科衛生士さんに「数年ですべての歯が抜け落ちます・・・・・・」と脅かされ、「歯間ブラシの使用」を強く勧められたおかげで、毎日三食後には必ず歯磨きを励行し、「虫歯」「歯槽膿漏」の再発はなくなりました。「口臭」も減少したと思います。歯科衛生士さんには感謝してもし過ぎることはないと肝に銘じています。

 さて、ウクライナ問題で新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)が霞んだ感も無きにしも非ずです。しかし、まだまだ予断は許さないと私は考えています。ということで、COVID‐19の2冊の本を紹介します。転送する現場の医療者・山本医師の主張もお読みいただければ幸いです。(編集者註:次回紹介します。)ワクチン未接種者は単にワクチン反対という人びとばかりでなく、接種する時間が取れない人、接種して副反応の発熱で仕事を休むと派遣の勤務が切られてしまう・・・・・PCR検査も陽性なら仕事を休まざるを得ず、仕事を即座に失ってしまうという日本の現実が浮彫りになっています。

 中村祐輔『ゲノムに聞け 最先端のウイルスとワクチンの科学』(2022年3月20日第1刷発行、文春新書)
 著者の中村医師は医学・医療の世界では有名な人です。犯罪捜査に汎用されるDNA鑑定の基礎を確立した人であり、ノーベル賞有力候補でもあります。略歴を示します。1977年大阪大学医学部卒業。外科医として勤務した後、1984年にユタ大学ハワード・ヒューズ医学研究所研究員、1989年癌研究会癌研究所生化学部長、1994年東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授、1995年同研究所ヒトゲノム解析センター長。2012年シカゴ大学医学部教授・・・・・・。政府の様々な役職も務めています。COVID‐19についても医療者ネットワークで連載があり、いつも私は目を通していました。この本の目次を抜き書きします。第3章だけは項目も列挙します。

 第1章 すべてはゲノムが教えてくれる
 第2章 新型コロナウイルスのすべて
 第3章 検証・科学なき国の感染対策――何が間違ってどこがおかしかったか?

 感染者激減は高いワクチン接種では説明がつかない/日本が科学的な説明ができないワケ/感染状況と政府の対策を検証する/オリンピック強行開催がもたらした巨大な波/「感染症対策の大原則」を踏み外した安倍・菅政権/世界142位/ニワトリなら殺処分/必須だった大規模PCR検査/人口1000人あたり0.02回/感染者数が少ないのは検査をしていないから/変異ウイルスは感染力が強くなる理由/感染力が2倍になると10週間後にはほとんど変異型に置き換わる/アルファ型の脅威を見誤った政府/ゲノム解析を徹底した”科学立国”/神戸市独自の調査のおかげで/新たな変異ウイルスの解析は外国頼み/救えた命/”コロナ難民”18万人――医療崩壊は人災/十分に予測可能だった”不測の事態”/世界各所で変異ウイルスが出現/デルタ株のウイルス産生量は1000倍/後手に回り続けた政府/スマートウォッチで救えた命/ワクチン接種後の死者の死因の99%が解明不能/後遺症対策に無関心/アジア、中東の致死率が低いのはなぜ?/コロナウイルスを整理する/ちょっとした風邪が

 第4章 ウイルス――宿主に寄生し増殖する「無生物」
 第5章 ウイルスvs人体――戦う細胞・免疫
 第6章 ワクチン――感染症から人類を守る救世主
 第7章 「万能型」新型コロナウイルスワクチンの可能性
 特に第3章の国すなわち厚労省すなわち医系技官などの「感染症ムラ」に対する批判は辛辣で的を射ています。誰でも理解できることですが、著者はPCR検査の重要性を強調しています。全体として読みやすく、一部医療術語が頻発する部分もありますが、そのへんは飛ばしても意味は理解できると思います。是非一読を勧めます。

 宮坂昌之『新型コロナの不安に答える』(2022年3月30日第1刷発行、講談社現代新書

 宮坂医師については以前も紹介しました。『新型コロナワクチン 本当の「真実」』(講談社現代新書)という苦心した標題の新書でした。今回紹介する本は、2022年1月末時点でのデータを基に述べられています。情報は時々刻々変化するのでホームページを作ったとのこと、転記しておきます。
 https://gendai.ismedia.jp/list/author/masayukimiyasaka
です。
 この本は、それぞれの章が疑問に答えるかたちで述べられていて、大変わかりやすいと言えます。中村医師の本よりさらに理解しやすいでしょう。目次を列挙しておきます。章毎にさらに細かな疑問の項目があります。

 第1章 オミクロンは本当に恐るるに足りないのか?
 第2章 ワクチン普及でもなぜ感染が収束しないのか?
 第3章 デルタを制圧した日本で第6波の感染爆発が起きたのはなぜか?
 第4章 3回目追加接種は本当に必要なのか?
 第5章 追加接種の副反応と最適なワクチンの組み合わせは?
 第6章 ワクチンに深刻な副反応は本当にないのか?
 第7章 ワクチン接種によって将来予期せぬ問題が発生することはないのか?
 第8章 フェイクニュースの「からくり」を見抜く
 第9章 Q&A 新型コロナの疑問に答えます
 第9章だけが質問のようにみえますが、それぞれの章も具体的な記述で対応しています。
 45-46ページには、以下の記述があります。  
 「政府の中にも新しい感染症に対して随時対応できる専門の研究機関、政策立案機関、実行機関などを作ることが必要です・・・・・・ところが、これまでの歴史を見ると、日本政府は、感染症対策の重要性をある程度は理解しながらも、それを実行できていないのです。・・・・・・」とあり、2009年の新型インフルエンザの世界的流行に基づき2010年に公開された「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書」に書かれた提言の不実行に言及しています。ただし、それに加えて良いニュースとして政府が約1500億円を投入して「先進的研究開発戦略センター」(SCARDA)を国立研究開発法人・日本医療研究開発機構の中に作るようですとも述べています。さらにワクチン開発のための世界トップレベルの研究開発拠点の形成にも約500億円の予算があてられるとのこと。さてどうなるか。厚労省天下り先になるだけで終わらないことを期待したいと思います。

 昨日でしたか、前回述べた「ロシア・ウクライナ戦争」の「専門家」廣瀬陽子氏の意見をMSNニュースで見かけました。直接戦争の今後を述べるのではなく、ロシア政府と関係の深い民間軍事会社(PMC:Private Military Company)という現代版「傭兵」ワグネルについての論評でした。彼女の『ハイブリッド戦争』にも詳しく述べられています。彼女が言及していた小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書、2021年5月10日第1刷発行)が先日駅ビルの書店で平積みになっていました。
「専門家」佐藤優氏については、いずれ述べたいと思います。今回はCOVID‐19関連のみです。
 では。

[875](投稿)泊原発再稼働、後志10町村は「地元同意範囲の拡大」を求める 


泊原発再稼働「慎重に」根強く 
後志10町村「地元同意範囲拡大を」
04/30 09:00 更新
 
 全基停止中の北海道電力泊原発を巡り北海道新聞社が後志管内の全市町村長を対象に行ったアンケートでは、再稼働の条件とされる地元同意の範囲拡大を望む首長が多かった。回答した19市町村の過半数の10町村が、原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)か、それより広い範囲にするべきだと回答。東京電力福島第1原発事故から11年が過ぎ、泊原発の全基停止から間もなく10年を迎える中、再稼働に慎重な手続きを求める自治体の意識の根強さが改めて浮き彫りとなった。

北電は泊原発で事故が起きた場合などに備え、立地4町村(泊、共和、岩内、神恵内)と道との間で原子力安全協定を結んでいる。北電は再稼働時に同意を求める範囲は未定とするが、既に再稼働した道外の6原発に倣い、立地4町村と道を対象にするとみられる。

 アンケートではニセコ余市、赤井川、真狩の4町村が「UPZを最低限とし、事故の影響が予想される全ての自治体」と答えた。倶知安蘭越積丹黒松内留寿都の5町村はさらに広く「後志管内全域」と回答。仁木町は「UPZ圏外の希望する市町村は地元同意の範囲とするべきか議論が必要」とし、拡大が必要との認識を示した。

 30キロ圏か、より広い範囲とした自治体は、同じ質問をした前回2018年のアンケートでは9市町村(小樽、倶知安ニセコ余市、仁木、蘭越積丹黒松内留寿都)だった。今回はその後に首長が替わった赤井川、真狩両村が当時の「立地4町村」から、範囲拡大を求める回答に変わったほか、前回「管内全域」とした小樽市が、市長が替わり「その他」とした。

 京極、喜茂別、泊、島牧の4町村は現行通り立地4町村で良いと回答。アンケートに応じなかった寿都町を除く残り5市町村は「国の判断による」などとし、具体的な範囲を示さなかった。

 地元同意は電力会社と立地自治体が任意に結ぶ原子力安全協定を踏まえた手続きで法的義務ではない。もともとは新増設時を想定し、北電は泊原発の3号機増設で2000年に、プルサーマル計画で09年に、それぞれ4町村と道の同意を得た。11年の福島第1原発事故後の世論の変化を受け、各地で再稼働の際も地元同意が事実上必須となった。

 国は福島の教訓を踏まえ12年にUPZ内の自治体に避難計画策定を義務化。重大事故が起これば影響が及ぶと認めた形だ。実際、福島の事故は放射性物質が広範囲に拡散し、今も同意範囲外に帰還困難区域が残る。

 国はエネルギー基本計画で、原発再稼働について「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」と明記するが、泊原発を巡り現時点で同意範囲拡大の動きは見られない。北大の山下竜一教授(行政法)は「避難計画の策定義務を負う以上、少なくともUPZ圏内の自治体は再稼働の同意権を得るべきだ」と指摘する。(佐藤圭史、山田一輝)

■核ごみ処分場なしで再稼働は? 
「問題ない」との回答ゼロ

 原発の再稼働に関し、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場が未設置のまま進めることの是非は―。北電泊原発を巡る後志管内の首長アンケートではそんな問いも盛り込んだ。「問題ない」とした市町村はなく、再稼働そのものの賛否にかかわらず、核のごみ問題を放置できないとの認識がうかがえた。

 再稼働そのものに賛成した泊、真狩、島牧の3村を含む15市町村は、処分場がないままの再稼働について「どちらとも言えない」と回答。寿都町と共に最終処分場選定に向けた文献調査が進む神恵内村は「最終処分場の議論と再稼働の議論はどちらも重要事項であり、国が責任をもって取り組むべきだ」とした。

 「問題ある」と答えたのはニセコ、仁木、積丹留寿都の4町村。再稼働そのものに反対した4町村(仁木、積丹留寿都、赤井川)とほぼ重なった。このうちニセコ町片山健也町長は再稼働の賛否については「賛成、反対以前に福島原発事故の検証と事故処理が完結していない」との理由で明確な回答を避けたが、処分場がないままの再稼働は「将来世代に負担を押しつけるのは無責任だ」と問題視した。(北海道新聞デジタルより引用)

■■■ 投稿

 北海道新聞のアンケート調査結果に基づいて、北海道新聞社は「泊原発再稼働」に対して、19の市町村のうち後志(しりべし)の10町村は「地元同意範囲拡大」を求めているとまとめ、また「原発再稼働の賛否」に関わらず『核のごみ問題を放置できない』と考えていると北海道新聞社は、まとめています。

 多くの各地域の住民や市町村の市町村長や議員は1986年の4月末に最悪のレベル7の事故を起こしたソ連チェルノブイリ原発事故と、同じく最悪のレベル7の福島第一原発事故の様子を、その被害の大きさを繰り返しTVなどで見ていて不安と恐怖を抱かないわけにはいかないと思います。

 さらに、2022年2月24日に、プーチンがロシア軍をウクライナに侵攻させ、その手始めの一環として、ロシア軍に残存し稼働している原子力発電所を占拠させました。

 この原発は、かつて1986年に最も深刻なレベル7の原発事故を引き起こし、核のごみを世界中にまき散らし、大惨事を引き起こした原発です。しかし、残った原発は稼働中であり、この残存し稼働しているチェルノブイリ原発を40日にわたって占拠させました。占拠中に各種の放射性物質を持ち出したり、核のごみが高線量を放つ地面に塹壕を掘り、ロシア軍兵士を40日も寝起きさせ警備とウクライナの職員の稼働を40日も見張らせていました。

 この40日の間に浴びた放射線量の総量のことはロシアが伏せさせて、浴びた放射線量の総量は不明です。多分、ロシア側の兵士全員には放射線の知識も放射線を測定する道具を携帯する指示も与えられず、蓄積した総線量は不明のまま墓場にもって行くように仕向けられたと思います。

 しかもミサイルや核兵器を用いるかもしれないと思われる戦争が起き、泊原発が攻撃され原発の破壊によって第二第三のチェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故と同様の悲惨な事態になった場合を考えると、周辺の各自治体の首長・議員・住民は極めて深刻な事態を想像しないわけにはいかなくなったと思います。

 アンケート調査の日程・期間が不明なのですが、おそらくこのアンケートの調査結果は、ロシアのウクライナ侵攻以前のものと推測します。

 例えロシアのウクライナ侵攻前のアンケート調査であっても、福島第一原発事故を各種の報道で見聞し、ほとんど福島第一原発事故の後始末の進捗が見られないことは十分知れ渡っていると思います。すなわち、核のごみ問題と避難区域の現在の設定や核のごみの処分は大丈夫かと疑心暗鬼になっていると思います。

 しかし、当然にも核のごみの「文献調査」を引き受けた寿都町(すっつちょう)はアンケートには答えていません。同じく、文献調査を引き受けた神恵内村(かもえないむら)は、判断を国に任せると答えています。
 
 寿都町神恵内村は核のごみ捨て場の文献調査を引き受けていますが、核のごみを持ち込まれた場合、最低でも10万年は放射の汚染は免れないと言われていますが、プルトニウム半減期は2万3~4千年と言われているので、10万年というのは過小評価でしかないと思います。その間に天変地異が起き、泊原発福島第一原発チェルノブイリ原発と同じ事故を起こさない保証は全くありません。例え稼働しなくても核のごみは増える一方なのです。(原発の燃料は常時冷やしておかなければなりません。冷却を怠ると臨界点を越して、核反応が連鎖的に起きて原発の燃料が「核爆発」と同じようになり、ついには福島第一原発と同じ道をたどります。福島第一原発事故があの程度で止まってくれたのは奇跡としか言いようがありません)。

 現存する市町村民や後に続く子々孫々は、それを我慢できるのでしょうか?強い放射線を浴びても白血病やその他の癌や急性放射線障害で死なないと現在の政府の誰かが保証しているのでしているのでしょうか?

とにもかくにも

 ①「原発の再稼動・稼働」や「核のごみの保管」という名の「核のごみの廃棄」処分には反対です。「核のごみを作らない」ために原発はすべからく廃棄すべきです。

 ②政府がロシアのウクライナへの侵攻を利用して、この国も戦争ができる国へと変えていく「憲法の改悪」にも反対です。

③労働者、学生の皆さんとともにロシアのウクライナ侵攻反対、戦争反対、憲法改悪反対の声を共に上げて行きましょう!!

[874]連合会長、自民に接近


 
読者より
 新型コロナ危機のなかで多くの労働者が解雇・雇い止めされています。そういう状況下で労働審判や裁判で不当と認定された解雇の、金銭的解決法の審議が政府によって進められています。法の目的は資本家・経営者が労働者を解雇しやすくするということだと思います。
 この時に労働運動の危機が進行しています。
 連合の芳野友子会長が18日に自民党本部で開かれた同党「人生100年時代戦略本部」(上川陽子本部長)の会合のヒアリングを受け、「働くことを軸とする安心社会」をテーマにした講演をしました。
 芳野会長は参院選を前にして、自民党ヒアリング会議に出かけることの意味をわかって出席したのでしょう。連合は参院選自民党に利用されます。芳野は今回の参院選で野党支持政党の記載なし、自民党の候補には個々に是々非々でのぞむと言明し、組合員の自民党への投票に道を開けたのです。これは単に参院選の問題ではなく、連合を今日版産業報國会に純化する道に踏み出したということなのです。
 自民党は2022年運動方針に「連合並びに友好的な労働組合との政策懇談を積極的に進める」と記し、麻生太郎副総裁らが芳野氏と会食するなど連合と関係を構築する動きを見せているのです。副総裁麻生は、経営者に賃上げを積極的に求めているのは自民党だとして、政策の実現に向けて連合との関係を強化したいという考えを示しています。
 
自民党参院選での労働者票目当て 
連合は完全にバカにされています。
 
 さらに自民党の「人生100年時代戦略本部」会合に先立つ17日、麻生副総裁は、福岡市で行われた会合で講演し「労働組合自民党本部で講演する、我々と飯を食う、酒を飲むというところまで話しができる(ようになった)。結果として今日、連合の立憲一本推薦もなくなった」と語りました。

 私は立憲民主党には疑問があります。積極的に支持しているわけではありませんが、麻生にこう言われてもなお、連合の指導部は自民党にすり寄るのでしょうか。
 連合会長はメーデー官房長官を招待し、終わって記者団に「労働者の祭典に来ていただだけるのは光栄だ」と語ったと報道されました。

情けないという他ありません。
 
連合組合員より

[873]反撃能力

 
 自民党は敵基地攻撃能力を反撃能力と呼び変えて政府に提言しました。私は呼び名がどうであれ反対です。日本が戦争のできる国に舵をきることになるからです。
 自民党は敵基地攻撃能力という呼び名は先制攻撃と受け取られるおそれがあるので変えるといいます。反撃能力という、対象がどこかわからない、いくらでも拡大できる呼び名にするということです。公明党は反撃能力という呼び名の方が「誤解与えず、評価してもいい」と言っています。自公政権の狙いは相手国の指揮統制機能への反撃も可能にするという点にあると思います。
 どちらにしても「専守防衛」の建前は破棄されます。立憲民主党憲法違反の恐れがあると言っていますが憲法違反そのものです。しかし、今や政権は、それが違憲にならないように改憲しようとしています。
 ロシアへの制裁や、ウクライナへの軍事支援など、ウクライナ戦争にたいする政府の対応はロシアとの対立関係をエスカレートさせました。政府は戦争への道を進んでいます。
 27日自民党の提言した「反撃能力」は①仮想敵国は中国②米軍の打撃力の一部を担う③攻撃対象を拡大する、というのが特徴です。日米安保同盟は攻撃は米国が、守りは日本がというのがこれまでの役割分担でしたが、自民党の提言はこれを転換し、米軍の攻撃の一翼を自衛隊が担うものへと転換することを意味しています
 提言を受けた岸田政権は戦後日本の清算にのり出しました。

明日は憲法記念日の集会があります。