[1435]朝日新聞「そごう・西武 池袋の乱」について

 

 セブン&アイによるそごう・西武の売却に反対する同社労働組合ストライキの特集記事が、朝日新聞11月14日〜18日に連載されました。

 そごう・西武労組、顧問弁護士と会社側、親会社とのせめぎ合いが書かれていてリアルではありました。ストライキは会社売却に反対することが目的でした。多くの労働者が配置転換・解雇されることが予想されたからです。ストライキは8月31日、会社のスト破壊の動きに抗して打ち抜かれました。現場で働く労働者は当日会社売却に反対してデモを行い多くの人々の共感と激励を受けました。

 スト当日にセブン&アイホールディングスからフィートレスに売却が決定され闘いは敗北しましたが、ストライキ闘争を通じてそごう・西武労組の労働者の団結は強くなったに違いありません。

 私はこの闘いに支援の気持ちを込めて注目していましたが、どうも連合や上部組織のUAゼンセンの影がうすく、そごう・西武労組の奮闘は孤立しているように見えました。

 朝日新聞のシリーズ記事はこの重要な問題にふれていません。

 9月13日の夜、毎日新聞は同日のUAゼンセン同盟の定期大会の執行部批判の発言を次のように書いています。抜粋します。

UAゼンセン傘下のそごう・西武労働組合は、同社の売却を巡って雇用確保への情報開示などを求め、大規模な百貨店では約60年ぶりとなるストライキ西武池袋本店で実施している。会長発言後の質疑では、このストでゼンセン本部が前面に出てこなかったことに、『何のために産別に加盟しているのか、組合員は疑問に思っている』『組織だけ大きくても組合員の生活も守れないのでは意味がない』などと厳しい執行部批判が噴出した。 松浦会長は『悩みながら取り組んだが、行動力が足りなかった』と釈明。そごう・西武労組の今後の交渉について『売却先に雇用を前提とした計画を出させるなど、しっかり交渉を支えたい』などと述べた。【東海林智】」

 朝日新聞労働組合の取り組み全体にくい込んでほしかったと思います。UAゼンセン同盟を取材したけれど応じてくれなかったのかもしれません。であればそう書かないと報道の意義をそこなうことになります。

 解雇は労働者にとって死活問題です。企業側もそのことがわかっているために体重をかけて取り組みます。労働組合は当該の会社経営者に解雇させないために様々の形態でたたかわなければなりません。

 私の経験する限り、合同労組であれ、企業内組合であれ単独でたたかうと力負けします。法廷闘争に持ち込んだ場合、裁判所も結局は経営者側にたった判決を出します。特に今日のように労働運動総体が企業防衛主義になり労資協調路線におちいっているなかで資本家・経営者は労働組合幹部を巻き込んでチカラづくで向かってきます。

 産業別労働組合傘下の労組は上部組織に強く支援を訴え、傘下組合員の支援の心を呼び起こしてともにたたかわなければなりません。