[1442]「AIと私たち」についてーその4 労働の意味が失われる⁉️

承前

インタビューは終わりに近づきました 

ーーAIによって労働の意味が失われるとしたら、社会はどう変わると考えますか。

大澤「賃金労働によって価値のあるものを作り、商品として流通、消費させるというメカニズムが矮小化していくとしたら、資本主義の終焉に近づいていくようにも思えます。一方で資本の側からすれば、労働力への依存を小さくして生産性を向上させれば利潤が増えるのだから、AIをどんどん使って資本主義の精神を強化していく。相反する二つの動きがあります。」

私の意見∶大澤氏の意見の前半はAIが人間の労働にとって変われば資本主義は終焉に近づくということです。しかしAIが人間労働にとってかわるのではなく人間労働の労働手段がコンピュータ化されAIが労働の主体であるかのような現象を呈するということなのです。生産性を向上させるのは、労働力への依存を小さくするということではありません。

 労働の生産性の向上は直接的には労働過程の技術的構成の高度化、すなわち充用される諸生産手段の分量とそれを使いこなす労働量との比率を高めることによってなしとげられます。けれども本質的には労働過程の主客両面の技術上の改善=技術化(例えばAI化)によって実現されるのです。技術的構成の高度化や技術的改善の結果、以前と比べると同一の生産量を生み出すための労働量は減っています。しかしそれは労働力への依存が小さくなったということではありません。労働の濃度は濃くされているのです。

 大澤氏は資本の側はAIをどんどん使っていくだろうと予測しつつ次のように言います。

「ただこのままでは、否応なく私たちの社会はAIに依存していくでしょう。••••••そこで問題となるのは、生成AIはマイクロソフトやグーグルなどの巨大な私企業が所有しているということです」 

 ここで所有の問題に視点を変えて論じています。

つづく