[1010](寄稿)JCHO(地域医療機能推進機構)補助金による黒字化

ペンギンドクターより

その3

 先日まで尾身茂氏が理事長をしていたJCHO(地域医療機能推進機構)の令和3年度の財務諸表からの抜粋を載せました。JCHOは旧社会保険病院・旧厚生年金病院・旧船員保険病院が合体した病院連合です。厚労省のお役人たちの有力な天下り先でもあります。以前より情報公開をしているので、誰でもJCHOのホームページから閲覧可能です。

 

JCHO病院の収支(令和3年度)

 

 以下の数字はJCHOホームページの「情報公開」における財務諸表から抜き書きしています。

 まず地域医療機能推進機構(JCHO)全体の数字を列挙します。単位は円。わかりやすくするために一千万未満を四捨五入した数字を下段に示す。私がショボショボした眼をこすりながら記録したもので間違いがあるかもしれません。悪しからず。ただ大局的には大きなミスはないはずです。なお経常収益合計にも診療業務合計にも補助金等収益は含まれています。診療業務合計以外には主として介護保険収益等があります。

 

◍平成30年度(2018,4,1~2019,3,31)

◍令和1年度(2019,4,1~2020,3,31)

◍令和2年度(2020,4,1~2021,3,31)

◍令和3年度(2021,4,1~2022,3,31)

 

(編集者註∶金額の詳細は紙面の都合上一行に収まらず、概数のみ記載します。)

経常収益合計 診療業務計 補助金等収益 当期純利益

平成30年度

3725.4億   3567.9億   11.4億    21.6億

令和1年度

3754.7億   3593.2億   12.3億    31.8億

令和2年度

3937.1億   3776.5億   321.9億   200.8億

令和3年度

4354.2億   4195.2億   568.7億   442.1億

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)発生を契機として補助金の額が急増しているので、この補助金の増大のほぼすべてが、コロナに関連したものと予想されます。純利益というのはコロナ対応の医療従事者等に支払った手当等を引いたうえでの利益のはずですから、それぞれの病院に蓄積されているはずです。補助金はすべて国民からの税金のはずですので、この利益はどのような形で今後使われるのか、いやそもそもこの巨額の補助金が実際にコロナの診療に使われたのかが検証されなくてはなりません。

 

 さて次は令和3年度のそれぞれの病院の財務諸表から抜粋します。(編集者より∶原稿できれいに揃えられていた数字の列が凸凹になってしまいました。申し訳ありません。)

〇印は補助金等収益なしでも黒字の病院である。

     経常収益合計 補助金等収益 当期純利益

北海道病院   103.3億   17.5億   14.9億

札幌北辰病院  80.9億   22.4億    16.0億

登別病院〇       19.3億       742万        4600万

仙台病院         101.8億        17.7億       2.0億

仙台南病院        42.2億      11.2億       7.9億

秋田病院           49.0億      13.3億       9.1億

二本松病院        35.2億       2.8億       2.0億

うつのみや病院   57.0億        9.2億        6.9億

群馬中央病院〇    99.7億      9.6億       10.4億

さいたま北部

医療センター  60.9億        15.5億       10.2億

埼玉メディカル

センター     163.7億      39.9億       37.4億

千葉病院             60.0億     14.3億      6.7億

船橋中央病院    115.0億      26.8億       21,1億

東京高輪病院       66.9億      12.9億      9.7億

東京新宿メディカル

センター   166.0億    31.8億        29.8億

東京山手メディカル

センター   163.7億    17.5億      10.8億

京城東病院       42.1億        17.7億        13.8億

東京蒲田

医療センター   59.5億      17.9億        11.0億

横浜中央病院   60.6億       10.1億(経常利益)5.5億

       固定資産除却損21.3億にて-15.8億

横浜保土ヶ谷

中央病院         57.1億    4.7億        3.2億

相模野病院〇       81.3億          3.6億      4.5億

湯河原病院           27.5億       1.7億      6400万

山梨病院〇           41.6億        4200万      4800万

高岡ふしき病院  23.5億      2.4億        1.8億

金沢病院〇           76.6億          7.1億       10.0億

福井勝山病院          49.3億     3.5億        3.3億

若狭高浜病院     18.9億       1.2億      6300万

可児とうのう

病院〇           53.5億       2.6億        4.3億

桜ヶ丘病院〇         34.0億      1.9億        3.4億

三島総合病院〇  42.5億    6000万    1.3億

中京病院              235.2億     25.5億       16.8億

四日市羽津

医療センター     82.0億          4.6億        4.1億

滋賀病院             76.8億     13.2億        7.9億

京都鞍馬口

療センター      71.7億            9.8億        6.9億

大阪病院           184.4億           16.5億       11,2億

大阪みなと

中央病院〇       73.7億           11.8億       13.4億

星ヶ丘

医療センター  118.1億           16.8億        8.4億

神戸中央病院  105.1億            6.7億        4.6億

大和郡山病院   53.5億           13.7億       10.7億

玉造病院               34.3億          2400万        340万

下関医療センター 75.9億            9.8億        4.9億

徳山中央病院〇  212.4億            3.8億       12.4億

りつりん病院        44.7億            7.6億        6.1億

宇和島病院            35.1億            1.6億       4870万

高知西病院〇      26.2億          4900万       5970万

九州病院〇         216.9億           14.8億       20.0億

久留米総合病院    61.2億            6.5億        6.3億

福岡ゆたか

中央病院           37.2億            3.1億        2.3億

佐賀中部病院        46.0億             9.2億        6.5億

松浦中央病院       15.6億            1.9億      -1.5億

諫早総合病院〇  102.7億            6.6億        8.1億

熊本総合病院〇 131.5億           16.9億       23.3億

人吉医療センター 92.2億        16.2億       14.8億

天草中央総合病院〇 49.7億            6.9億        8.4億

南海医療センター〇 53.3億         2.2億        2.8億

湯布院病院〇       27.7億         1880万       4250万

宮崎江南病院〇      60.5億            2.2億        2.8億

 

 どう見ても補助金様様です。この純利益は間違いなく日本国民の税金です。検証が必要でしょう。

 

 皆様には病院別の財務諸表などどうでもいいと思われるでしょうが、経常収益の程度や補助金の総額、あるいは純利益などでその病院の地域における存在の意味などを含めて今後の病院存続の可否なども予想できるものです。私に多少とも関連があった病院も含めて私の考えを述べておきます。

 登別病院や玉造病院、湯河原病院、湯布院病院などは温泉地に設立された元旧厚生年金病院であり、整形外科中心でリハビリテーションセンター的な病院であり、湯河原病院の補助金1.7億を例外としてコロナ対応には関与していない病院と考えていいと思います。逆に言えば、コロナが落ち着いても大きな収入減は起こらないと言えるでしょう。

 経常収益が100億円を超える、あるいはそれに近い病院は真の地域の基幹病院であり、補助金がなくても存続が問題になることは少ないと思われます。

 全体として大部分の黒字病院は補助金による黒字化であり、コロナの収束後には経営努力がますます重要になってくるはずです。例えばうつのみや病院は令和2年度はコロナ対応をしていなくて、2億円近い赤字でした。令和3年度はコロナ病床を多く設置したのでしょう、9.2億の補助金を収入源として6.9億の黒字となっています。しかし補助金なしで計算すれば2.3億の赤字ですからコロナ終息後の経営は容易ではありません。周辺に大きな病院が多数あるので赤字は構造的なものであり、今後の存続が問題となるのは明らかです。

 

 それはそれとして、公的病院は、今後も非常時に相当する感染症の蔓延時や災害時に対応できる医療施設として採算を度外視して第一線に立つことが求められます。従って赤字だから廃止や統合あるいは民営化すればいいという問題には直結しません。しかし、公的病院では法人税はゼロと優遇されているはずですから、赤字のたれ流しは許されません。難しい所です。

 解決への道はいろいろあるでしょうが、手っ取り早いのは、地域において患者さんの病状に応じて任務を分担するネットワークによる解決でしょう。そのためにも今回のまだ収束していないCOVID‐19の病床ひっ迫の原因の究明が求められます。しかもそれは都道府県毎ではなくて日本全体における緻密な検証です。誰がどこがその検証を担うか……となると途端に暗い気持ちになりますが、やるしかないのは確かです。

[1009](寄稿)新型コロナワクチンの4回目接種の「5ヶ月間ルール」の緩和を

ペンギンドクターより
その2
 転送するのは、4回目ワクチンについてのお奨めの主張です。高橋謙造教授も最初私は酷評しましたが、以後勉強されたようで主張がしっかりされてきたように思います。参考になれば幸いです。
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 ハイリスクの方々を守るために、新型コロナワクチンの4回目接種の「5ヶ月間ルール」の緩和を
 
 帝京大学大学院公衆衛生学研究科
高橋謙造
 2022年9月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
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 バイデン大統領も新型コロナワクチン接種を年一回にしていく方針を示し、世界的にはパンデミックの終焉を迎えつつあると実感します。しかし、それに至る一つの大きな壁はこの秋冬に予想されるいわゆる第8波です。第7波では感染者数は多かったものの、直接的なコロナによる死亡は世界的にも以前より低いものとなっており、その要因はワクチンと治療薬の普及です。現在日本では4回目の新型コロナワクチンは3回目接種完了から5ヶ月以上の間隔をあけて接種することとされています。しかし、このいわゆる「5ヶ月間ルール」は科学的根拠に乏しく、またワクチン接種の現場を混乱させています。なぜならば、今秋冬に予測される第8波において、高齢者等のハイリスクグループを護るには、遅くとも年内11月までには、追加接種を完遂させておく必要があるからです。ワクチン接種に積極的な自治体では、今夏に4回目の接種が完了していますので、5ヶ月ルールを厳格に守っていては、ハイリスク者への接種が間に合わない可能性もあります。その根拠に関して、以下に検討します。
1.新型コロナの流行には季節性がある?
2022年7月頃から始まったこの夏の新型コロナ第7波は、ようやく全国的なピークアウトを迎えつつあるようです。これまでの流行の推移を見ると、コロナの流行は、夏、冬の2回感染のピークがあり、地域的に近く、季節性も似ている韓国などと比較しても似たような傾向にあります。
 
 またこの傾向は、新型コロナウイルスの類縁ウイルスである風邪コロナウイルスの流行形態を国立感染症研究所のデータで見ても、やはり、夏、冬のピークが見られます。
 
 したがって、今年の11月頃には新型コロナの再流行、つまり第8波の可能性が非常に高いと考えられます。
 しかし、世界の趨勢がウイズコロナに向かっている現在、行動制限の強化はナンセンスです。ウイズコロナとは、コロナウイルスが日常生活に及ぼすリスクを許容しつつ、できる限り通常の生活、仕事、事業等を取り戻すことですから、感染対策の基本を守りつつ、現在人類が持つ最大の武器、ワクチンを活用して、第8波に備えていく必要があります。
 
2.ワクチンの効果には限界がある?
 世界有数のトップジャーナルであるNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に、イスラエルからのファイザーワクチン4回目の接種効果の論文が掲載されました(2022年5月掲載:参考文献1)。
 この論文では、4回目接種での60歳以上高齢者の重症化予防効果は持続したものの、感染予防効果は短期でした。この論文により、4回目接種での60歳以上高齢者の重症化予防効果は持続したものの、感染予防効果は短期でした。この論文により、4回目接種の効果に疑問が投げかけられたのは記憶に新しいところです。しかし、論文を読み込めば、重症・死亡には明らかに効果はあり、感染予防効果もあることは間違いありません。つまり、何も新たなワクチンを待つ必要はなく、既存のワクチン接種を進めることでも、高齢者等を護ることはある程度可能になるのです。
 さらには、2022年3月に Nature Medicineに掲載された論文では、NEJM誌論文とは全く異なる知見が提示されています(参考文献2)。
 この論文では、ワクチン接種回数を重ねるほど、ウイルスに対する中和抗体(感染自体を予防する免疫抗体のこと)が上昇するという知見が述べられているのです。この論文では、4回目接種以降に関しては推測のデータが提示されていますが、科学的に考えれば非常に納得の行く知見です。つまり、ワクチン接種による免疫増強に加え、自然感染による免疫増強もあることで、感染予防が期待できるのです。
 
3.いつワクチンを接種すべきか?
 この「いつ?」に関しては、2つの要素が重要です。
 まずは、流行を予測した対応です。これまでの流行波を見ると、2020年の第3波は11月から、第6波は2022年の1月から始まっています。これらを鑑みれば、年内の遅くとも11月までには追加のワクチン接種を完遂しておく必要があります。
 もう一点、「いつ」を考えるときに、世界的な科学的コンセンサスも勘案しておく必要があります。この点で参考になるのが、Nature誌が2022年8月19日に掲載したNews Explainer(ニュース解説)記事です(参考文献 3)。
 この記事によると、” How long should I wait between COVID-19 vaccine boosters? (COVID - 19ワクチンの追加接種を受けるのに、どのくらい間をあける必要がありますか?)”との問いに対して、
” It’s best to wait at least four months between doses.”
と回答しています。つまり、ワクチン接種の間隔に関しては、研究者の見解はほぼ一致しており、接種の間に少なくとも4ヶ月待つのが最善であるとのことです。また、「追加接種を受けすぎてもいいのか?」という問いに対しても、「接種間隔が適切である限り、個人の立場からすれば「多すぎる」ということはない」とも回答しているのです。これらをまとめると、ワクチンの追加接種は、「4ヶ月程度の間隔を開けて、流行が始まる直前までに受けた方がいい。」という回答になります。しかし、実際には、第8波に備えることを優先するのであれば、4ヶ月あいてなくとも、ワクチンを受けることを優先する方がいいと考えます。
 
4.日本の「5ヶ月間ルール」は正しいのか?
 日本においては、専門家や厚労省の検討により、「5ヶ月間の間隔をあける」との決定があり、現在でもこのルールが適用されています。しかし、このルールは、現状を反映していないことは明らかであると考えます。ルールを作った段階では、世界的なコンセンサスはまだ生まれていなかったのですから、過去の判断を責めるべきではありません。しかし、現在、科学的知見が「4ヶ月間隔」に収束しつつあるのですから、これに従って行くべきです。実際に、ワクチン接種に積極的な自治体においては、6-7月頃に4回目接種を終了することで、第7波でも地域での死亡者数をゼロに抑えていますが、こういった自治体では、ルール通りに5ヶ月の間隔を取ってしまえば、次の接種を第8波流行の前に完遂させることが難しくなります。今冬に関しては、行動制限の緩和により、インフルエンザ流行の再燃も懸念されます。日本医師会も、コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を推奨しています(参考文献4)。
 このような状況において、新型コロナワクチン接種が進まなければ、医療現場はさらに混乱する可能性があります。したがって、繰り返しになりますが、新たに開発されたワクチンを待つ必要はなく、既存のワクチンでも11月中には接種を受けておく必要があるのです。日本では、これまでも、ワクチン接種展開の遅れ(菅首相、石原大臣の活躍で事なきをえました)、第7波での医療従事者への接種遅れによる医療従事者への感染拡大など、先進国としてはあるまじき失態を演じてきました。科学的な判断に基づいて、積極的に動く必要があります。あらかじめ生じうる事態を推測して、その事態回避のためにCOVID-19ワクチン接種を進めていくことが必須なのです。(了)
参考文献1. Protection by a Fourth Dose of BNT162b2 against Omicron in Israelhttps://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201570?query=featured_coronavirus2. Boosting immunity to Omicronhttps://www.nature.com/articles/s41591-022-01727-03. Which COVID boosters to take and when: a guide for the perplexedhttps://www.nature.com/articles/d41586-022-02221-w4. 「インフルとコロナワクチン、同時接種OK」日本医師会が呼びかけhttps://digital.asahi.com/articles/ASQ807FTCQ80UTFL01W.html------------------------------------------------------------------------
 ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp---------------------------------------------------------------------------◆◇お知らせ◆◇◆◇◆◇MRICの英語版として、MRIC Globalを立ち上げました。MRICと同様に、医療を超えて、世界の様々な問題を取り上げて参りたいと思います。配信をご希望の方は、以下のリンクからメールアドレスをご登録ください。https://www.mricg.info/◆ご投稿をお待ちしています◆◇◆◇◆◇投稿規定はこちらからhttp://expres.umin.jp/mric/mric_hennsyuu_20211101.pdf---------------------------------------------------------------------------今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp****************************************************************************※メールアドレス変更・メルマガ解除は以下よりお手続きをお願いいたします。http://medg.jp/support/mailinfo.php?id=s1diR9vrPt1iJTGH
MRIC by 医療ガバナンス学会
 

[1008](寄稿)医療あれこれ その67

ペンギンドクターより
その1
 
皆様
 朝夕はさすがに少ししのぎ易くなってきました。いかがお暮しでしょうか。
 本日は、添付ファイルに先日まで尾身茂氏が理事長をしていたJCHO(地域医療機能推進機構)の令和3年度の財務諸表からの抜粋を載せました。(編集者註∶次々回紹介します。)JCHOは旧社会保険病院・旧厚生年金病院・旧船員保険病院が合体した病院連合です。厚労省のお役人たちの有力な天下り先でもあります。以前より情報公開をしているので、誰でもJCHOのホームページから閲覧可能です。私自身が管理職としてかなりのことを知っていたこともあり、毎年財務内容をチェックしています。多少参考になれば幸いです。
 
 末尾で転送するのは、4回目ワクチンについてのお奨めの主張です。高橋謙造教授も最初私は酷評しましたが、以後勉強されたようで主張がしっかりされてきたように思います。参考になれば幸いです。
 
 本日は医療あれこれ(その67?)として、雑感を述べてみたいと思います。既報のその後を含みます。
東大理Ⅲの学生の留年について
 ご存知の方も多いと思いますが、留年となった学生さんが留年の処分の取り消しを求めて裁判を起こしました。その件でMRICでもいろいろな意見が寄せられています。理Ⅲの学生さんを応援する意見が多いのは、MRICの考え方から当然でしょうが、ちょっと気になった主張がありました。
 広島大学医学部3年の医学生からの意見(MRICに寄稿された)です。実は留年の対象となった学科を担当していた「助教」(彼が実際の点数をつけたらしい)が広島大学理学部の卒業生だったことから、広大医学部生はその助教に対し批判的な議論をしています。広島大学の教育などにも言及して、その助教を批判しているのです。これはまずいと感じました。
 私は、今回の問題は実際に点数をつけた助教に対する批判よりもむしろ教養学部長の「弁明?」に見られる東京大学の「官僚的体質」を批判するべきだと思います。学科の「助教」がつけた点数の取り扱い以前に、このコロナ禍において大学の授業や試験について学生の苦労を理解し柔軟な対応を学部当局がすることが求められているはずです。
 実際に民事裁判が起こされたので、当然担当した「助教」の先生は裁判で事情を聴かれることになると思います。一方、教養学部当局は、推測ですが、現場から上って来た点数は上部で変更するわけにはいかない・・・・・・等の意見を述べることになるでしょう。となれば、弱い立場にある「理Ⅲの学生」と、もっと弱い立場とも言える広島大学理学部卒業で東大教養学部の「助教」との「対決?」となるのではないかと危惧するのです。
 つまり、私の癖とも言える「想像力の過剰で」話が飛ぶのを承知で言えば、理Ⅲの学生は留年してもいずれはいい医者になれるでしょう。一方、「学閥」の横行する今の日本において、広島大学理学部卒業の東大教養学部のある学科の実習ないし試験の担当をした若い研究者の将来を危惧するわけです。裁判というものは一般人には「非常事態」です。まして応援する人もいる理Ⅲの学生さんと比べて、どういう判断があったのかは知りませんが、助教の先生がつけた点数がこれほどの事態になるとは本人も予想はしていなかったでしょう。大学当局はえてして冷たいものです。助教の若い研究者の今と未来を危惧します。
 
②先日、塩野義製薬の抗ウイルス薬エンシトレルビル(ゾコーバ)の緊急承認制度における「承認保留」の情報をお伝えしました。その後の情報です。
 ◍感染症学会と加療学会、緊急承認を求めて提言
 厚労相に4項目から成る主提言提出、SNSで問題視する医師も
 レポート 2022年9月3日(土)配信(m3.com編集部)
 日本感染症学会と日本化学療法学会は9月2日、加藤厚労相に「新型コロナウイルス感染症における喫緊の課題と解決策に関する提言」を直接提出したと公表した。「早期にウイルス量を低下させる抗ウイルス薬への緊急承認制度の適用、もしくは承認済の抗ウイルス薬の適応拡大を真剣に検討すべきであり、国の決断が求められます」など、主提言は4項目から成るが、厚労省の審議会で継続審議中の薬に言及があったことから、SNS上で話題になり、問題視する複数の医師が発信する事態になっている。
 提言は、日本感染症学会理事長の四栁宏氏と、日本化学療法学会理事長の松本哲哉氏の連名。
 以下は省略しますが(今回は長くなるので)、私の感じたことをお話します。
 
 「塩野義のゾコーバは症例を増やして次回審議会の10月になっても、新たな有効性を示唆するデータが集められないということが分かったのかもしれない。そこで学会に泣きついた・・・・・・」
 実はこの抗ウイルス薬「ゾコーバ」の治験責任者が上記の感染症学会理事長の四栁氏です。
 
 ◍非科学を蔓延させるな!ゾコーバを巡る2学会の提言の問題
 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会委員として審議に参加した立場から
 オピニオン 2022年9月4日(日)配信 山梨大学学長島田眞路、同大学医学部附属病院医療の質・安全管理部特任教授荒神裕之
 
 ◍2学会「提言」を補足説明、「製薬企業等への利益目的ではない」
 ゾコーバの臨床症状改善に期待、「提言提出に役員から反対意見なし」
 レポート 2022年9月8日(木)配信、m3.com編集部
 
 ◍学会提言がTwitterで大炎上、医療崩壊にすり替えた国産コロナ薬への便宜では?
 2022年9月9日、ケアネット バズった金曜日(ジャーナリスト村上和巳)
 
 以上、肝心な報道内容については省略していますので、「何の話?」と首をかしげる方が殆んどでしょうが、要するに新型コロナウイルス感染症に対する国産抗ウイルス薬を早期に承認して実際に使用開始することを可能にするための「緊急承認制度」が創られたにもかかわらず、有効性が十分認められないと、「継続審議」となってしまった。それで、2つの学会が厚労相に提言を出した。4つの提言とあるが、その中の一部に「ゾコーバ」の承認を早くしてくれと受けとめられかねない文章があった。それに対し、審議に参加していた山梨大学島田学長が「2学会に批判」を加えた。2学会はあわてて「補足説明」を出して「製薬企業への利益供与ではない」と弁明した。ジャーナリスト村上和巳氏の「レポート」は以前皆様に紹介しました。
 この騒動は、どうみても2つの学会が異常です。日本感染症学会理事長四元氏が塩野義のゾコーバを中心になって治験(承認されるために臨床試験を行なっている)を推進しているわけです。
 こういう状況において「学会」が登場するというのは、日本の医療界がまともな思考をしていないという証明になります。日本感染症学会は、SARSCoV‐2(新型コロナウイルス)のPCR検査においても厚労省に迎合する見解を述べたことは2年余り前のことです。いわば札付きと言えます。
 「ゾコーバ」で前にも言いましたが、気の毒なのは、オミクロン株が弱毒なので風邪と同じで薬剤の効果があったのか否か判定が困難なことです。考え方としては、有効性が十分証明されなくても緊急ですから「まずは認可して使用してみて、二年後に無効だったら取り消す」という可能性もあるでしょう。そのへんを期待している関係者もいるのではないかと思います。でも、2学会の提言は、むしろ10月の再審議でのゾコーバ承認を困難にしたような感じがします。
 要するに、オミクロン株は「風邪」みたいなものとしたら、「風邪の特効薬」がないのは当然ですから、「ゾコーバ」は当初から受難の薬だと言えるのかもしれません。もっと重症の変異株が登場したら、ゾコーバも明かな有効性が認められるかもしれません。
 安部元総理の国葬、旧統一教会の問題・・・・・などなど、何だか嫌になってきます。 
 
 コロナがこのまま落ち着いてくれれば、つまり「ゾコーバ」などの抗ウイルス薬が完全に不要になってくれて、高齢者も堂々とクラス会ができればいいのですが。ではこのへんで。

[1007]ザポリージャ原発の危機

 ザポリージャ原発は11日に停止しました。IAEAグロッシ事務局長は、「砲撃が続く限り、危険な状況に変わりはない」と危惧し「深刻な懸念」を表明したと報道されています。

 グロッシ氏は砲撃を停止してほしいと言っていますが、要請先は明らかにしていません。日本のメディアはロシア軍が砲撃しているというように伝えているところが多いです。

 しかしそれは定かではありません。いずれにせよ冷却電源が破壊されると核燃料がメルトダウンしてしまいます。ザポリージャ原発は今、ウクライナ戦争の具にされています。

 以下日刊IWJの記事を紹介します。

 

ザポリージャ原発(ZNPP)の完全停止という最新ニュースを取り上げました。ニュースの詳細については、日刊IWJガイド9月12日号をお読みください。

 2月24日にウクライナ侵攻していたロシア軍はすぐに、ウクライナ国内の原発を制圧しました。現在にいたるまで、ロシア軍は欧州最大の原発であるザポリージャ原発を占拠し続けています。 ザポリージャ原発をめぐっては、「ロシア軍の砲撃が続いている」というウクライナ側の主張と、「ウクライナ軍が砲撃している」というロシア側の主張が真っ向から対立しています。

 8月23日の国連安保理事会で、ロシアのネベンジャ大使が強くウクライナ軍の仕業だと批判しましたが、IAEAの報告でも、攻撃主体は明示されませんでした。  

 ザポリージャ原発の周辺は、年間を通して東西南北の風が吹いています。仮に砲撃によって、チェルノブイリ級のシビア・アクシデントが起これば、ウクライナの領土の半分は汚染される可能性があります。仮に、西から風が吹いていれば、東部ドンバス地域一帯が汚染される可能性があり、北から風が吹いていれば、クリミア半島アドリア海黒海が汚染されます。

  岩上安身は「戦争で原発への意図的な武力攻撃、これは人類史上初の危機ではないか」と述べました。岩上は攻撃主体についても、ロシア軍が占拠しているザポリージャ原発に、ロシア軍が攻撃をかけるというのは、論理的に理解不能だと指摘しました。 岩上は、元CIA分析官のレイモンド・マクガバン氏が、IAEAが、ウクライナ原発攻撃していると報告できないのは、「国連に対する米国の影響力」が原因だと述べているという『TASS』のニュースを紹介しました。 こちらは本日の日刊ガイドでも詳しくご紹介しています。ぜひあわせてお読みください。 ※Экс-аналитик ЦРУ: МАГАТЭ не заявляет об обстрелах ЗАЭС Киевом из-за влияния США на ООН(元CIAアナリスト: IAEAは、米国が国連に影響を与えているため、キエフザポリージャNPPへの砲撃を主張していない)(TASS、2022年9月11日) 

 岩上「原発への攻撃というのは『あり得ない』んだと。日本でも福島第一原発の事故以来、戦争を遂行する方向に行こうとする日本が、原発をそのままにしているという状況がおかしいと思い、原子力規制委員会にも、経産省にも、防衛省にも、ありとあらゆる形で問いかけ続けてきたんですけど、この『原発×戦争』というリスクは誰一人考えていない。 僕が約10年間にわたって、僕だけじゃなくてIWJのメンバーが、ありとあらゆる機会に問いかけてきても、原発を防護しない。防護している様子がないわけです。 それなのに、(岸田総理は新しい原発の)増設とかを考えているわけですよね。 でも、(原発への武力攻撃は)もう起きてるわけです、現実に。ドカンドカンと砲撃が来て、メルトダウンが起こるまで、黙っているつもりなのか、わからないですけれども。真剣な関心も足りないし。チェルノブイリ原発の事故が起きた時には、日本まで放射性物質が飛んできたと、真剣に言っていたんですが。 このニュース、どのように御覧になりますか?」

須川氏「真相は藪の中、といえば藪の中なんですが、常識的に考えると、ロシアが(ザポリージャ原発への砲撃を)やる理由は、なかなか見出しにくいですね。 メルトダウンまで追い込むのであれば、逆に、今、ロシア語話者の住民のところが被害の中心になるという(可能性がある)。 仮に電力をウクライナの中でその供給をさせないということが目的なんだとしたら、今、ザポリージャ原発を押さえてるのはロシア側なわけですから、わざわざ砲撃を加えなくてもできそうな気もしますしね。  一方、(砲撃をしているのが)ウクライナ側であっても、常識的に考えると、ウクライナ政府側がウクライナ人に対する放射能被害を人質に取るような形で、そんな北朝鮮のような瀬戸際戦術をやっているというのも、にわかには信じがたい話ではあるんですけれども。 だけど、誰かが(原発砲撃を)やってるってことですよね」

 

 須川氏は、日本のメディアも、少なくとも攻撃をしているのが、ロシア側、ウクライナ側の両方ありうるということくらいは報道すべきだと指摘しました。2月の侵攻以来、日本のメディアの報道が「ロシアだけが悪い」という「洗脳」になっていると指摘しました。 須川氏は「まったくの推測」としながら、仮に、ウクライナ側がやっているとすれば、その目的は「米国にプレッシャーをかけること」ではないかと指摘しました。

須川氏「今のお話うかがって、ふと思ったのは、もしかしたらウクライナアメリカにプレッシャーをかけているのかもしれないなと。 どういうことかと言うと、バイデン政権は、もちろん、ウクライナを支援しているんですけども、ロシアを追い詰めてロシアが核を使うのは絶対にダメだと言っています」

岩上「この場合、戦術核ですね」

須川氏「最初は戦術核で始まっても、アメリカとの間で核の応酬になると、戦略核の話になり得るんですね。バイデンは、『そこは絶対やらない』ということで、そこだけは踏みとどまってる。 なんですけれども、『核はダメだ、核はダメだというなら、俺のところで核をやるぞ』と(原発を攻撃して、核惨事を起こすぞ)。そういうことでアメリカに圧力をかけて、『ロシアまで届く兵器をたくさんよこせ』、とかね。 とにかく、『アメリカが最新兵器をガンガンくれたら、もうクリミアだって取り戻せるんだ』というような感じかもしれないな、と。いや、なんの根拠もないんですが、あり得るなと思いました」

 岩上は、ウクライナアメリカに「戦術核」を求めているのかもしれないと問いかけました。

岩上「アメリカに対しても圧力をかけていると。『ちょっと射程の長い武器をくれ』じゃなくて、『戦術核ぐらいくれ』みたいな話ですね」

須川氏「ま、そこまでは絶対にやらないでしょうけれども」 岩上「なんでここまでするんですか、という話ですよね。敵の手に渡ったんだったら、廃墟にしてしまえ、とか」

須川氏「今の(米国がウクライナに供与している)ハイマースだと、ウクライナのところから、クリミアまでは届かないはずなんですよね。射程的には。だから例えば、(クリミアまで)射程が届く武器をよこせとか。今の武器にしても、もっと数を寄こせ、とかね。 ウクライナの要求リストには、ものすごいものがありますからね」 米国は、なぜここまでウクライナを支援し続けるのでしょうか。

岩上「先ほど、打ち合わせの時に、キエフ、つまりゼレンスキー政権とアメリカの政治的な結びつきは尋常じゃない、と。 台湾とアメリカの関係は、条約レベルじゃないけれども、国内法で台湾を防衛するんだと決めている法律があるわけじゃないですか。それに匹敵するようなものがあるんだという風にお話をいただきました。 ちょっと教えていただけますか?」

須川氏「よく言われるのが、『台湾とアメリカは準同盟関係』だと。つまり、同盟条約は1972年(中国との国交回復のために)に止めているわけですけれども、その後『台湾関係法』をつくって、台湾防衛はそのものは書いてないものの、『台湾が自力で防衛するために支援をする』ということは、法律上の根拠があるわけです。 50年来のその後の関係も含めて、準同盟関係ということで。 それに対してウクライナアメリカの間には、安保条約的なものはないわけです。ですから『同盟関係じゃない』と。 ウクライナNATOに入っていないということで、同盟じゃないから、台湾とアメリカの関係、あるいは日米関係とは違うんだというのが、日本で行われている解説です。 だけど、実際はウクライナアメリカは、過去10年、特に2014年以降、ものすごく緊密になってきています。多分、ウクライナ側の働きかけがかなり強くて、トランプ政権はちょっと別にすると、バイデンさんを含めて、民主党政権のもとで、かなり『ずぶずぶ』になって。 僕も、ウクライナ紛争が起きるまで、見落としていたんですけれども、去年の11月か12月に、ゼレンスキーがワシントンに行って」

岩上「侵攻の直前ですね」

須川氏「はい。ゼレンスキーがワシントンに行って、アメリカとウクライナの間で、安全保障の協力に関する検証、チャーターにサインしているんですね。 それは議会の批准が必要なものではなかったですし、条約扱いではないんですけれども、台湾防衛法に近いぐらいの中身が書いてあります。それを読むと、もう、アメリカもウクライナの防衛にコミットしてるなと読めてしまうような内容がいろいろ書いてあったんですね。 さらに、ウクライナは、この間おっしゃっていましたけれども、ここ数年、アメリカの議会とそのアメリカの政府に対してロビイングを強めていて、ものすごいお金を流して、いわば洗脳してるわけです。 そういったことを考えると、ウクライナアメリカの関係は、もう既に『準同盟』なんですよ。

以下略

日刊IWJからの引用は以上です。

 ゼレンスキー政権はロシア軍の越境侵攻以前からアメリカ政府との関係を強化しています。

 ウクライナ戦争はアメリカのウクライナへの軍事的経済的バックアップを注視しなければ本質に迫ることはできないと思います。

[1006](投稿)国葬に反対するのは費用の問題ではない


編集者より
 この投稿は国会閉会中審査の前のものですが、紹介します。引用された5日の時事通信の中で、自民党の閣僚経験者が国葬について「(首相は)会見と同じことを言うしかないから反対論は収まらない」と述べたと書かれています。
実施された閉会中審査は予想通りのものになりました。これでは国葬反対の声が大きくなるのは当然です。

投稿∶

世論軟化狙い自ら説明 岸田首相、「火だるま」リスクも 国葬審議
9/5(月) 7:04配信

時事通信

 安倍晋三元首相の国葬に関する衆参両院の閉会中審査は、近く開催される見通しだ。 岸田文雄首相は自ら出席し、批判の多い国葬をめぐり幅広い国民の理解を得たい考え。ただ、野党が求める費用総額は示さず、開催理由も従来の説明にとどめるとみられる。世論を軟化させるどころか、一層の反発を招いて「火だるま」となるリスクすらはらむ。 政府は国葬の費用として約2億5000万円の支出を決定している。会場の日本武道館の借り上げや設営に充てるもので、警備費や外国要人の接遇費は含まれていない。野党は総額を閉会中審査までに示すよう要求しているが、松野博一官房長官は2日の記者会見で「申し上げられる段階にない。国葬後に精査して示す」と拒否した。 総額の公表を先送りするのは、反対論がさらに盛り上がるのを警戒するためだ。野党内には「100億円かかるのではないか」と疑う向きもある。首相周辺は外国要人と同行者の滞在費は負担しないとしつつ、「節約できるところは節約する」と明かした。自民党からは「大まかな総額は分かるはず。事前に示した方がいい」(重鎮)との声も上がる。 
 首相は国葬とする理由について、(1)史上最長の首相在任(2)経済再生など歴史に残る業績(3)諸外国の敬意と弔意(4)民主主義の根幹である選挙活動中の非業の死―の4点を挙げてきた。
 8月31日の会見では「諸外国から多数の参列希望が寄せられている。国として礼節を持って応える必要がある」とも語った。  
 だが、世論調査では「反対」が50%を超える結果もあり、世論の理解は得られていない。立憲民主党幹部は「なぜ決断したのか4項目だけでは分からない。追及で初めて議論が深まる」と意気込む。岡田克也幹事長は4日のNHK番組で「閣議決定での国葬法治主義に反する。首相は内閣葬でやると政治決断すべきだ」と語った。 野党側は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員の関係も追及する構えだ。山際大志郎経済再生担当相は内閣改造で留任後も、関連団体のイベント参加などの指摘が相次ぐ。与党内からは山際氏の進退について悲観的な声が出始めている。  
 首相は世論の反発を和らげることができるのか。自民党の閣僚経験者は国葬について「(首相は)会見と同じことを言うしかないから反対論は収まらない。急落する内閣支持率は底を打たない」との見方を示す。同党関係者は「首相がいくら説明しても反対の人が賛成に回るわけではない」と漏らした。

▼▲▼投稿者コメント

 問題は「国葬」の費用の問題ではないと思います。元首相の安倍氏と旧統一教会との関係と、集団的自衛権行使の合憲化の閣議決定等の軍事大国化に向かった「実績」が問題であって、それらによって「国葬」に対する反対の声が大きくなり、岸田政権の支持率を下げていると思います。

 旧統一教会が世界平和統一家庭連合と名前を変えて、広がりを続け、韓国での集会などを開き、国会議員だけでなく各地方議員にも関係し、中には旧統一教会のメンバーが議員になって議案を提出するという「他の議員を巻き込んでいく」という「巻き込み型」の手段も駆使して闊歩している事態が問題なのです。
 静岡新聞は「熱海市選出の藤曲敬宏県議(自民改革会議)が過去複数回にわたり、同団体幹部とみられる人物との面会などに政務活動費を使っていたことが17日までに分かった。藤曲氏は同日、取材に「適正な支出と考えている」と答えた。」と報じています。藤曲氏は旭川市議会議員などにすり寄って「家庭教育」問題の議案を提起させ、国にも提起するようにという画策までやっているとニュースで出ています。
 こうした「世界平和統一家庭連合=旧統一教会」の策略を押しとどめ、今後、新たな被害者を出さないために、被害を受けた人々を救い出すために、旧統一教会と関係が深かった安倍氏の「国葬」に反対をしていきましょう!!

[1005](投稿)核ごみ文献調査、外部の目で評価へ


① ■核ごみ文献調査、外部の目で評価へ エネ庁、10月にも新作業部会設置
09/07 05:00
 経済産業省資源エネルギー庁は6日、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分地選定に向けた文献調査に関し、原子力発電環境整備機構(NUMO)がまとめる調査結果の報告書原案を評価するワーキンググループ(WG=作業部会)の設置を決めた。同省の地層処分技術WGを改組し、10月にも新たなWGを開く。外部専門家が目を通すことで、透明性を担保する狙いだ。同日開かれた同省の放射性廃棄物WGで決めた。
 文献調査は現在、NUMOが後志管内の寿都町神恵内村で進めており、11月で調査期間の目安となる2年を迎える。次段階の概要調査に進むかどうかは、文献調査で一定の適地があると判断されることが大前提となる。地層処分技術WGは2017年に国が公表した処分場の適地を示す「科学的特性マップ」を作成した。このWGを改組し、調査結果の原案を技術的、専門的な観点から議論する。新WGの委員は放射性廃棄物WGの専門家や日本地震学会など関連学会からの推薦や紹介などで決める。議論を受け、NUMOが最終報告書を作成する。 
 NUMOは両町村での文献調査の結果、概要調査の適地があれば、調査実施に必要な事業計画を来春にも国に申請する方向で検討している。 この日の会合では文献調査を巡り複数の委員から、進捗(しんちょく)状況に関する情報発信が不十分で、他地域での調査応募につながっていないといった意見も上がった。(土屋航)(北海道新聞デジタルより)

②■概要調査とは

 「核のごみ」について、国は、地下300メートルより深くに最終処分場を設けて埋める「地層処分」をする方針で、事業主体のNUMO=原子力発電環境整備機構が、場所の選定に向けて、寿都町神恵内村で第一段階にあたる「文献調査」を進めています。ことし11月で調査期間の目安とされる2年となります。これを前に、調査結果についてNUMOから報告を受ける経済産業省は、ボーリングなどを行う次の段階の「概要調査」に進めるかどうか技術的に判断するため、10月以降、専門家による会議を開いて評価の要件を整理する方針(北海道ニュースWEBより)

●●●山河美玖の意見:
 核のごみ・高レベル放射能廃棄物の地層処分を巡って、原子力発電環境整備機構(NUMO)は、北海道後志(しりべし)管内の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)の地層に関して「文献調査」を行い、その結果を11月にも公表する予定です。▼その結果で、寿都町の片岡春雄町長は次の段階の「ボーリングなどを行う次の段階の『概要調査』に進めるかどうか」を判断することになっています。核のごみの受け入れに関しての寿都町住民投票では賛否が拮抗して、わずかながら賛成票が多く、核のごみ(高レベル放射性物質)に関する「文献調査」は受け入れることになりましたが、核のごみ受け入れ派の寿都町長は住民投票の結果は「冷や汗ものだった」という意味の発言をしていました。▼11月までには次の段階のボーリングを行い地層の「概要調査」を行うかどうかを原子力発電環境整備機構(NUMO)は発表する予定です。寿都町の片岡春雄町長は、前回の核のごみ受入れの賛否を問う住民投票後、原子力発電環境整備機構(NUMO)の調査によって「概要調査」に進むかどうかを決めると言っていましたが、内心では最終段階の「精密調査」(簡単に言えば、地下に坑道を掘って、地質の強弱性や海水や地下水の湧きだしの程度や高レベル放射能物質の廃棄場所として適当がどうかを決めること)まで進めたいと思っているのでしょう。高レベル放射性廃棄物の廃棄場所として幌延町(ほろのべちょう)に作った試験場は、多量の地下水がわき出しなどの為、核のごみの廃棄場所としては不適当であると分かってきました。しかし政府並びに原子力発電環境整備機構(NUMO)は途中で試行錯誤を止めず、その後も湧水を無視して新たに研究施設を作り、応急手当をしたり補修し、さらには研究施設を新たに増設しながら「核のごみの廃棄場所作り」を作るために継続して居座り続けています。▼同じことが、寿都町でも起きることは明白です。寿都町を核のごみ捨て場にしないためには、また地場産業をダメにしないためには「概要調査」に進むことを多くの町民の力で阻止すべきだと思います。▼北海道新聞は、北海道大学の地層研究者は、寿都などの地層は脆弱で「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」の廃棄場所としては不適当だという研究結果の記事を町民投票前から掲載していました。▼北海道を核のごみ捨て場にしない運動を繰り広げて行きませんか!!

[1004](投稿)旧統一教会の勧誘

 
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関わりが問題になる中、カルト団体による勧誘の実態が注目されている。専門家によると相手の不安につけ込むのが常とう手段だが、標的になりやすいのが親元を離れて暮らし始める人も多い大学生だ。就職活動、投資、社会貢献、国際交流……。さまざまな誘い文句で忍び寄る、その手口とは。  
 ある日のキャンパス。1人で歩く男子学生に、男性が声をかけた。「友達と待ち合わせをしている。5限って何時に終わりますか?」。雑談から互いに就職活動をしていると分かると、男性の「先輩」が通りかかり、言った。「就活イベントに参加してみない?」。男子学生は「参考になるかも」と考え、連絡先を伝えた――。  
◇大阪大 動画で手口紹介  
 これは大阪大が作成した、カルト団体の「偽装勧誘」の手口を紹介する動画の一場面だ。男性らは学生を待ち伏せし、雑談を通じて個人情報を聞き出していた。実際にあった学生の体験談から大学が再構成した。  
 大阪大は2006年から新入生全員に履修を義務づけている「大学生活環境論」の講義で、カルトの特徴、被害事例、勧誘の手口、注意点などを紹介している。担当する太刀掛(たちかけ)俊之教授(危機管理・応用心理学)によると学生からの相談は年間平均数件だが、ある年は講義後に20人ほどが教授の元を訪れ、「講義で聞いた話と似ている」などと体験を語ってくれたという。  
 ある学生は他大学のイベントに行き、そこで知り合った社会人にサッカーの練習に誘われた。会場は有名企業のグラウンド。「就職に有利かも」と期待し交流が始まったが、付き合いが深まるにつれ、教義の話が持ち出された。イベントもサッカーも、カルト団体による勧誘の一環だった。  
◇課外活動団体を隠れみのに活動  
 大阪大がカルト対策を始めたのは00年代。カルト団体が学内に入り込んでいるとの情報を、学生生活担当教員が得たことがきっかけだ。当時、中心的に関わった大和谷(やまとだに)厚・大阪大名誉教授によると、03年ごろ、学生の両親から旧統一教会が学内で活動しているという情報が入った。調べると、複数の団体が大学公認の課外活動団体を隠れみのにして活動していた。被害に遭った学生の両親や脱会した学生、支援している弁護士や牧師らにも会って情報を集めた。実態が明らかになるにつれ、入学当初からの対策が重要と判断し、06年から「大学生活環境論」を必修とした。  
 近年はSNS(ネット交流サービス)を使うなど、勧誘実態が見えにくくなっている。大和谷名誉教授は「手口は変わっても、勧誘の基本は学生の悩みや不安をうまくあおり、『心の傷』を作ってそれを誇張し、その上で解決策があるように見せることだ。真面目な学生ほど引っかかる」と話す。  
◇学生を守った経験投稿  
 一方、大阪大の藤田一郎名誉教授(神経科学)は22年7月、カルト団体による偽装勧誘から学生を守った経験をフェイスブックに投稿。反響を呼んでいる。  
 藤田名誉教授は受け持ちの生物学の授業でカルト団体による偽装勧誘の事例を紹介。06年ごろ、授業を終えて研究室に戻ると、学生から「参加しているサークルの活動が、先生が言及した活動そのものだ」と相談があった。学生を研究室に呼び、学生相談室担当の教員にも相談。学生の携帯電話の電源を切り、決して1人にしないこと、相談室に同伴することを取り決め、無事相談室の教員に引き渡した。学生は翌週から聖書の勉強会と称した合宿に参加する予定だったという。藤田名誉教授は「ぎりぎりのタイミングだった」と振り返る。その後、学生は電話番号と住まいを変え、団体からの接触は途絶えた。藤田名誉教授は「人生を破壊しかねないカルト団体に怒りを覚える」と話す。  
 他の大学ではどうしているのか。神戸大では10年ほど前から、新入生向けのオリエンテーションでカルト団体について注意喚起。学内で勧誘活動が確認された場合は学生向けのポータルサイトで注意を呼び掛けている。京都大でも同様に、入学時に注意を呼び掛けているという。   
 日本脱カルト協会代表理事を務める立正大の西田公昭教授(社会心理学)によると、カルトの特徴は、①メンバーの私生活を奪う②集団活動に埋没させる③メンバー・外部からの批判を封じる④組織やリーダーへの絶対服従を強いる――といった点だ。  
 大阪大の太刀掛教授は「大学は多様な視点と利害の調整の必要性をさまざまな立場の人から時間をかけて学ぶ場。世の中を善悪の二元論で捉えたり、非科学的な思考や信仰で悩みが解決するなどと主張したりするカルトとは対極にある」と話し、大学での対策の必要性を指摘する。  
 一方で、カルト団体に属する人は排除すべきだとの考えにも警鐘を鳴らす。大学にはさまざまな背景の学生がいて、親の影響で幼少期から信仰する「宗教2世」も含まれる。太刀掛教授は「排除ではなく、きっちりとした相談・支援体制を整えるのが大学の役割。悩みを持つ宗教2世の学生に対する支援も考えていきたい」と語る。【菅沼舞】(yahoo ニュースより)

■■■ 投稿:いろいろな手口で、就職活動、投資、社会貢献、国際交流、サークルへの説明会や勧誘……さまざまな誘い文句で忍び寄る「旧統一教会・世界平和統一家庭連合」の活動は未だ活発です。学生諸君は(高校生も含めて)よくよく注意しなければならないと思います。
 これらのことで悩んだり、家庭の中で「信仰と献金」を巡るトラブルがあれば、現在では相談窓口が消費者庁などにあると思いますので、相談すべきだと思います。しかし、政府は9月5日から30日までの日時限定なので、継続的に相談したい場合は紀藤弁護士などの長年取り組まれてきた弁護士さんに連絡することが良いと思います。
 
 ところで、これらは一つの対処の仕方です。旧統一教会の罠から逃れたとしても自分の中の悩みや不安は残ります。それが醸成される根拠を考え解決の方途を探求することは宗教に頼ることよっては不可能だということを知らなければなりません。「宗教は悩める民衆の阿片」です。社会科学を学びながら社会の中の自分を哲学することが不安を越えていく道だと思います。


下記のyahooニュースも是非参考にしてみてください。


統一教会が開いた会見 紀藤弁護士が解説 「一方的に自分たちの言い分だけを伝えていて非常に残念」 “政治家との関係”や“献金の実態”をどう見る(関西テレビ) - Yahoo!ニュース