[530](寄稿)ワクチン予約狂騒曲

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ペンギンドクターより
その2

 以下の和田眞紀夫医師の意見は何度も転送しました。現場での実体験のレポートで説得力があります。お読みいただければ幸いです。

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コロナワクチン予約狂騒曲、予約初日の医療現場での大混乱

わだ内科クリニック和田眞紀夫
2021年5月19日

MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp

1.近隣診療所での予約初日の大混乱 診療所でのワクチン予約が大変なことになっている。まるでワクチン予約狂騒曲だ。予約を先行して実施していた近隣中野区での予約初日の情報が入ってきた。ある診療所では、朝の診療開始時間の9時にスタッフがいつものようにクリニックに出勤してみたら、なんと80人もの高齢の患者さんが、いち早くワクチン予約したいがために早朝の5時半から行列を作って診療所が開くのを待っておられたというのだ。慌てて整理券を作っててお渡しして受付を開始したものの、1週間のワクチン配給枠が50人だったために50人のところで予約受付を打ち切らざるを得なかった。予約を受けられなかった51番目の人でさえ朝7時半から並んでいたらしい。その日はさらに診療所窓口受付とは別枠で電話でも30人の予約を受けたとのことだ。

2.予約開始前でも電話の問い合わせが殺到 練馬区の予約開始日は5月17日であったが、練馬区から発送されたクーポン券が自宅に届いた途端に問い合わせの電話が鳴り始めた。予約の電話ではなく問い合わせの電話だ。通院中ならかかりつけ医のところでワクチンを打ってもらえるのか、予約はどうしたらいいかという問い合わせだ。

このところの報道でもこのような状況が起きているとの情報が流れてはいたが、こういうことだったのだと実感した。 近隣の診療所で起きたことはどこの診療所でも起こりうることで、十分な準備をして予約初日を向かえなければならないことを思い知らされた。この貴重な情報をもとに当院の予約初日の計画を建てた。院長が朝5時からクリニックで待機して、30分ごとに戸外に出てみて行列ができ始めたら、長蛇の列を回避すべく整理券をお渡していったん帰宅していただくことにした。この際にお渡しする説明書きも用意して、予約の順番は確保されていること、改めて来院していただいたときに詳しい説明をすることなどをご理解いただくこととした。

3.当院の予約初日の状況はどうだったか コロナワクチン予約初日。あらかじめ、電話での問い合わせの際に初日を避けて分散して来院していただくようにお話ししていたこともあっで、行例ができ始めたのは診療開始の30分前からで、この間に並ばれた患者さんは20人ほどで済んだ。受付順番整理券をあらかじめ作っておいたので、次々に整理券を渡して院内に誘導し、スムーズに受付を済ますことができた。その後も三々五々受付に訪れる患者さんが途絶えることはなく、午前中だけで66人の方の受付を済ませた。というわけで、当院では近隣診療所でおきたような悲惨な状況だけは回避することができた。

なお、当院では発熱外来の依頼の電話も入るので、電話回線がパンクしないように電話での予約は受け付けない方針とさせていただいた。高血圧、糖尿病などの通常の診療、発熱外来、さらには5月からは練馬区健康診断も始まっていて、これだけでも3つの業務をこなさなければならない。そのためコロナワクチンの接種はかかりつけの患者さんに限定させていただいている。また、かかりつけの患者さんを除けば、発熱外来を実施している施設でのコロナワクチンの接種は好ましいことではないので、集団接種会場やコロナ診療を行っていない診療所での接種をお勧めしている。コロナ診療を行っていない診療所にはコロナ診療を実施できないそれぞれの事情があるのだが、ワクチン接種事業を行うことでうまく作業分担して包括的なにコロナ対応ができているものと思われる。

最後にひとこと。コロナのパンデミックな流行は自然災害と考えられるが、コロナ禍が巻き起こしている様々な問題の多くは直接コロナウイルスそのものが悪さをしているものではなく、ほとんどがコロナ対策不備によるものだ。そういう意味でコロナ禍を捻じ曲げている主因は人災で、コロナワクチン予約狂騒曲もまたしかりだ。このような人災によるコロナ禍の暴発がこれ以上繰り返されないことを願うばかりだ。
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