[803](寄稿)2類を5類にという意見について

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ペンギンドクターより
その2

話題を変えます。

 M3で投稿があった主張です。2月14日投稿。
 東京都の中心部で連日30~50人のPCR検査をチェックしている施設のようです。意図的な偽情報の可能性はゼロではありませんが。
 2週間前は陽性率が50~60%だったが、先週から連日90%以上に跳ね上がった、陰性は1~2人だと検査希望者に話すと「じゃあ検査しない」とやめてくれるので、助かるという投稿がありました。
その医師の結論です。
●東京都民はすべてが濃厚接触者である。
●東京はすでに集団免疫を獲得している。
●オミクロン株にワクチンは無効。
●オミクロン株はただの風邪である。

 いかがですか。それなりに説得力のある理屈です。極論ですが、実際にPCR検査を日常的にしている施設であれば、そういう結論を出したくもなるでしょう。ただしインフルエンザワクチンもそうですが、ワクチンが感染そのものを防止するという期待は過剰であり、重症化を予防するという効能の方が現実的です。ただし、2回接種に加えて3回目接種がより抗体産生からみて有効だという判断は私も持っています。しかし、ワクチン反対論者が言うように、製薬企業がワクチン販売のために工作している・・・・・というのも、結果から見て無視はできません。ワクチン販売で猛烈に儲かっている企業が、ワクチンが有効だと唱えるのは当然ですから。

 もう一つ、2類を5類にと言い出した大阪の松井市長のことです。元市長の橋本時代からの大阪市の維新の会行政の結果です。以下は私の推定です。
 全国的に資本主義の中でも特に新自由主義を唱える人々が増加して、医療についても公的な役割を減らすという方向が力を得てきました。「医療」は対象が老人中心ですから、まだいいとしても、次世代を担う若者の「教育」は最も重要な公的なものです。それを利潤を目的とする民間企業に委託するというのはもってのほかです。・・・・・・。これはここでやめます。
 今回のコロナ感染での死者が最も多いのが大阪府というのは、維新の会の行政のツケがきているのではないかと思うのです。大阪市大阪府を統合するという彼らの方針には過剰な公務員を減らすという意図があります。実際に次 々と保健所が減らされてきています。当然現有の保健所職員は疲弊して、市長や府知事に対する恨みつらみも増加しているはずです。その背景があるからこそ、松井市長は5類5類と言い出したと思います。
 しかし、5類にすれば、当然全国的に現在の新型コロナウイルス感染症の数の集計などできません。今ですらPCR検査や抗原検査もしていないのですから、「見なし陽性」どころか、陽性でも検査せずに見かけ上、感染者数は減少しているという可能性は十分あります。となれば重症化リスクの高い人は増加し死者も増えます。
 私が現時点で5類にするのは反対というのは現場の医者としての日常的な経験の故もあります。
 今、一人の発熱患者さんが外来を受診したとします。患者さんはコロナ感染を心配しています。抗原検査をして陽性でした。5類なら、医師と患者さんの間だけの医師‐患者関係の問題です。しかし風邪と異なり、時に致命的となるケースが多いのが新型コロナウイルス感染症です。医師はその責任を一人でとらなければなりません。しかし、その間に保健所(すなわち国や自治体)があれば、治療や検査体制の不満が医師一人に向かうのではなく、抽象的な団体に向かうので、医師は患者さんの不満を聞いてあげる立場もとることが可能です。そもそも、今の日本のコロナ対策の不備は、医師個人にあるのではなく、政府特に厚労省や経済・社会の公的な部門にあるのです。なぜ現場の医師だけが患者さんの怒りを受ける必要があるのか、私はパート医で、まだ逃げ場がありますが、現場の医療を担っている医療従事者の苦労をよく知っているので、現段階で2類を5類にするのは反対です。当然5類にすれば、感染はさらに拡がり、私が感染するのも眼に見えています。
 今日はこのへんで。

編集者より
次回MRICの「PCR検査を通して見えた庶民生活」を紹介します。