11月1日のNHKクローズアップ現代で、戦争で引き裂かれたウクライナの人々の心の一端を伝えるドキュメンタリーが放映されました。
NHKの紹介を引用します。
戦火が引き裂いた心 ウクライナ市民たちの記録
首都キーウから西におよそ30キロに位置するブチャ。“大量虐殺があった町”として世界に知られることとなったこの町は、かつては閑静な住宅街だった。本来の姿を取り戻そうと復興が始まったものの、その先に待っていたのは戦争がもたらす“もう一つの闇”だった。人間関係や地域のつながりが引き裂かれていく現実や、広がる疑心暗鬼―。終わりの見えない戦争が人々に何をもたらしているのか。市民たちの“心の内”に迫る。
ウクライナ、ブチャの人々の心は凍てついています。
ゼレンスキー政権のNATO加盟の動きと米欧帝国主義諸国のバックアップ、追いつめられたプーチンは侵略に踏みだした。その瞬間にウクライナの人々の生命、生活そして心の破壊ははじまりました。
NHKクローズアップ現代がはじめてウクライナのブチャの人々の気持ちを映像で伝えました。
記者は冒頭で次のように言っています。
東部からの避難民とブチャ市民
今回、ブチャの仮設住宅の取材をする中で、住民たちは互いに不信感や憎悪といった複雑な感情を抱えていることが見えてきました。 ロシア軍に拷問された男性は、地元の住民の中にお金のためにロシア軍に情報を提供していた人がいることを知り、決して許すことはできないと強い憤りを感じています。 東部ドネツク州から避難してきた女性は、家族がウクライナ軍として戦っているのにもかかわらず、「ロシア軍を呼んだのは、東部出身のあなたたちだ。東部の人たちは皆、ロシアを支持していたでしょ?」と非難されると涙ながらに語りました。
番組を見た私の感想∶
東西権力者の思惑が交錯する戦時下のウクライナの地で、多くの人々が肉体的精神的に傷つけられています。
18歳から60歳までの男性は出国が禁止され戦争に動員されています。番組では戦争に行きたくない青年のインタビューが載っていました。戦争に行きたくない、行かなくて済むようにお金をすべて注ぎ込むつもりだ、というものでした。
国家は労働者民衆を戦争に動員するために愛国心をもつことを強要します。この青年はロシアの侵略に憤りはあっても、自分の命をゼレンスキー政権が統治する国家に捧げる気持ちになれなくなっているのです。
この番組は、これまでのNHKが伝えなかった現地の人々の本当の気持ちの一端を映像で伝えました。私は2月以降のメデイアがロシアの反政府の反戦運動は報じても、ウクライナの民衆は政権と一丸となっているというように視聴者に感じさせる報道しかしないことに強い恣意性を感じていました。
こういう声があるだろうということを推測してはいましたが、やっと報じられました。
これまでは公開することがタブーのようにされていた、ウクライナ内部の民衆の悲痛な声が放映されはじめたり、BSフジの報道番組でガルージン駐日ロシア大使に「ロシアの主張」を語らせている背景に、欧米日政府のロシア封じ込めの熱狂のかげりを私は感じます。
経済制裁のリアクションが米欧の諸国家に跳ね返りエネルギー危機とインフレに拍車をかけています。3日、4日に開かれたG7外相会議は、バラけ始めた西側帝国主義がウクライナのインフラ復旧支援でお互いにタガをはめ直したというものでした。
犠牲にされたのはウクライナの労動者民衆兵士であり、ロシアの兵士と家族でした。これ以上の犠牲を許してはいけないと思います。労働組合は反戦の声を強くしなければなりません。