[1061]ぜひ原発ゼロへ

 毎日新聞が11月1日「そこが聞きたい 原発ゼロの可能性」というタイトルで小泉純一郎元首相のインタビューを載せています。(8面 オピニオン)

 岸田首相は8月の第2回GX(グリーントランスフォーメーション)会議で、既設原子炉の運転期間の延長や新増設を打ち出しました。従来の政府方針は原発の新増設と建て替えは想定していないというものでした。

 岸田首相の原子力政策をどう思いますかと記者に聞かれて小泉は次のように言います。

「その通り。岸田首相が判断すればできるのに、逆の方向に行っている。悪い方の決断だ。原発ゼロにできる立場なのにやるべきことをやってない。非常に残念だと、はっきり書いてくれ。」

 小泉が脱原発を主張するようになったのは、原発がクリーンで安全で、コストが安いなどというのはウソだとわかったからだと言います。そして原発の運転期間の延長もやるべきでない、もともとできないことをどうしてやろうとするのか、原発は直ちにやめるべきだとはっきり言います。

 小泉は間違ったことを言っているわけではありません。しかしなぜ政府が危険な原発政策を進めているのか、わかっているのではないでしょうか。彼は首相在任中は原発推進政策を進めていました。当時それをやめると言ったら経済界から大きな反対の圧力を受けたでしょう。

 いま労働組合・連合ですら原発に反対していないのです。8月のGX会議に芳野会長が参加したあと連合ニュースは次のように書いています。

原子力の既存施設の活用は、国の責任で安全性の強化・確認を行い、周辺自治体を含む住民合意と国民理解へ説明責任を果たすべき。」

 言い方を変えれば、原発は国民が理解できるように説明して進めるべきだということです。電力総連、鉄鋼などの基幹労連電機連合UAゼンセンなど大産別労組が会社の原発関連事業に協力する姿勢をとって原発に賛成しているからなのです。

 いわば原発は国策となっているのです。国策を変える力が必要です。小泉さんは記者に「現役の首相時代は勉強が足りなかった。原発事故後、勉強して本当のことがわかった」と言います。

 「本当のこと」を原発推進派の人々は知らないわけではないと思います。危険性を知っていてなお原発を続ける理不尽。

 原発に反対する心ある力の結集が問われています。