[1190]袴田さん冤罪事件、高裁「証拠捏造の可能性」と指摘

 1966年の袴田事件の再審が東京高裁で決定されました。

 死刑判決の決定的証拠とされたのは、事件の1年後袴田さんが働いていた味噌工場のタンクの中から発見された血痕がついた衣類でした。

 高裁は血痕の赤みが残った衣類は一年も味噌に浸かっていたものではないと認定し、衣類は第三者が後からタンクに隠した可能性があり、「第三者は捜査機関の可能性が極めて高い」と指摘しました。

 この指摘は各方面に衝撃を与えています。捜査機関が証拠を捏造することはあり得ないという意見もあります。

 

 『神戸酒鬼薔薇事件にこだわる理由(わけ)』のなかで後藤昌次郎弁護士は次のように言っています。「やりもしない者が『やった』なんて嘘の自白をするわけはないということは、今までのたくさんの冤罪事件の例でたちまち否定されます。今までの冤罪事件は、ほとんどが自白事件でした。それから警察は悪いことをするところではないという常識に対しては、たとえば菅生(すごう)事件というのがありましたね。······ですから、警察や検事は悪いことをするところではないんだと、だから不正やごまかしをして嘘の自白をさせたりしないだろうと考えるのは、大間違いです。」

 後藤昌次郎弁護士は『野人弁護士はゆく』のなかで、若いころ「警察は悪いことをするところ」と彼の師に言われて驚いたそうです。現刑事訴訟法は戦争の反省に踏まえ、「悪いことをする」警察に権力の濫用をさせないようにする法だと教わったそうです。

 (憲法も二度と戦争をしないために国家権力を縛るものとしてつくられました。)