[1216]仏・マクロンが米・バイデン離れ。中国にウクライナ戦争「仲裁」要請

 中仏、EU委員長会談で、マクロンウクライナ戦争の政治的解決を習近平に委ねたと言ってもいいと思います。

 以下Bloombergの報道要旨です。

 中国を訪問しているフランスのマクロン大統領は6日、習近平国家主席と会談し、習氏に対し影響力を行使してウクライナの平和回復に貢献するよう強く求めた。  

 マクロン大統領は北京で行われた会談で、「習氏ならばロシアに理性を取り戻させ、全ての当事者を交渉の席に着かせることができると信頼している」と述べた。

 フランス政府の高官1人によると、マクロン大統領は中国がロシアとの緊密なパートナーシップを解消するとは考えていないものの、中国が重要な意味を持ち得る動きをとる余地はあるとみている。

以上Bloomberg参照

東京新聞は次のように伝えています。

【北京共同】フランスのマクロン大統領と中国の習近平国家主席は6日、北京で会談した。共同記者発表で、ロシアが侵攻したウクライナの和平実現に向けて当事者らの協議を早期に再開するよう共に呼びかけた。中仏首脳と3者会談を行った欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は習氏がウクライナのゼレンスキー大統領と対話する用意があると述べたと明らかにした。

 マクロン氏は会談冒頭、中ロの密接な関係を踏まえ「あなたはロシアを正気に戻し、皆を交渉のテーブルに着かせることができる」と訴えた。習氏は「中仏は自主独立の伝統を備えた大国だ」と述べ、立場の違いを超えて協調する「能力と責任がある」と一致点を強調。

 中国側は米中対立が激化する中でフランスと関係深化を図り、米欧結束にくさびを打ちたい思惑がある。 習氏は記者発表でロシアは名指しせず、国際社会に「理性と自制を保ち、危機を一層悪化させる行動を避けるよう呼びかける」と述べた。

以上

 各メディアの論調はほぼ同じです。ウクライナ戦争は各国権力者が利害を交錯させつつ収拾局面に入っています。米欧(日)はゼレンスキー政権に武器とカネを渡しウクライナ戦争にテコ入れするかたちで介入してきました。けれどもロシアは引かず戦争の局面は東部戦線に限定され膠着状態になっています。西側の支配階級の「疲れ」を見透かした中国が「仲裁」に乗り出しました。

 独仏はポストウクライナ戦争の国際的支配秩序を自国に有利に構築しようと中国との関係を築きはじめています。これまではゼレンスキー政権の背後で戦争を煽る形で介入してきましたが、にっちもさっちも行かなくなって停戦工作という形の介入に乗りかえたということです。

 東西帝国主義国家の介入による停戦は新たな戦争の種を孕みます。

 ロシア、ウクライナ両国の労働者、兵士は自分たちの団結した力でプーチンの侵略と圧政に抗議し、米国と手を結んだゼレンスキーの戦争政策に反対して戦争を終えるためにたたかってほしいと思います。

 日本の反戦運動はゼレンスキーの応援団のようになっています。ロシアプーチン政権のウクライナ侵略に反対することがNATOに支えられたゼレンスキー政権の戦争政策を支持することに収斂されてはならないと思います。