[1273]停戦に向けたかけひきーその2 NATO外相会議

 NATOウクライナ戦争の停戦を西側に有利に実現するために動き始めています。

 北大西洋条約機構NATO)は6月1日までの2日間、ノルウェーオスロで非公式の外相会合を開きました。外相らは、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、NATOが長期的な安全保障を提供する新たな枠組みについて協議しました。7月にリトアニアで開かれるNATO首脳会議の地ならしです。

 ストルテンベルグ事務総長は1日、会合終了後の記者会見で「(ウクライナでの)戦争がいつ終わるかは分からないが、終わった後にもウクライナの安全を将来にわたって保障するための取り決めを確保することが必要だ」と述べました。

  ウクライナNATO加盟を求めていますが、NATOが今加盟を認めればNATOとロシアは直接的に戦争することになります。NATOウクライナとの安保協力の取り決めの枠をつくることを模索し始めました。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、NATOイスラエルとの関係をモデルにした安全保障協定を検討していると報じました。

 イスラエルNATOには加盟していないものの、緊密な関係にある米国から多額の軍事支援を得ています。フランスのマクロン大統領は5月31日、「(NATOウクライナについて)イスラエルへの安全保障と、正式な加盟国の間に位置する」案を検討すべきだと言い始めました。 ストルテンベルグ氏は1日の会見で、NATOウクライナの協議の枠組みを「委員会」から「評議会」へと格上げすることも議論していると明かし、こうした課題について「(7月の)首脳会議までに合意することを確信している」と語りました。   (毎日新聞参照)

 ウクライナNATO加盟問題が戦争の直接的要因でした。ロシアの侵攻を発火点として戦争が始まって1年3ヶ月。戦争の焦点が当該地域の「釣り合いのとれた」パワーバランス構築に移されてきました。数多の犠牲のうえに対立と矛盾は深くなりました。権力政治による停戦の模索は新たな戦争の火種をつくることになるでしょう。

ロシア、ウクライナの労働者民衆の力で停戦を実現することを願うばかりです。