ブラジルのルーラ大統領は広島G7サミットで22日、ゼレンスキーに会談をすっぽかされました。メデイアは2人の居場所が離れていて会うのが時間的に無理だったと言っていますが、ゼレンスキーが会談から逃げたのは明らかです。
なぜゼレンスキーは会談を避けたのか。
Yahoo!ニュースによれば、ルーラは4月15日訪中して習近平と会いウクライナ戦争停戦の提案をしました。 そしてアラブ首長国連邦(UAE)に向けて出発する前に記者団に対し、「米国は戦争を扇動するのをやめ、平和について話し始めなければならない。欧州連合(EU)も平和について話し始める必要がある」と語りました。
プーチン氏やゼレンスキー氏と協議するには「忍耐が重要だ」言い、「何よりも必要なのは、武器を供与し、戦争をあおっている国を説得によって止めることだ」と続けました。 中国とブラジルはウクライナ侵攻をめぐってロシアに制裁を科しておらず、自らを平和実現に向けた仲介役と位置付けようとしています。 ルーラ大統領はG7と利害を異にする、戦争による食糧難で苦しむグローバルサウスのまとめ役として中国、インド、インドネシアと共同してウクライナ戦争停戦に向け行動しています。ロシアから距離をとり、東の盟主中国と相互に依存しつつ利用しあって第三極の国家の利害を体現して動いているといえるでしょう。
ゼレンスキーはこういう動きをしているルーラと話したくなかったのではないかと思います。ルーラともめる姿を世界にさらしたくなかったゼレンスキーは、NATO、日本などの西側帝国主義の傘のもとにおさまり、侵略者プーチンと戦う英雄としてG7の終わりまで振る舞いたかったのでしょう。
戦争反対の声を
ウクライナへのロシア軍の侵攻は、ウクライナのNATO加盟の動きとアメリカの容認に危機感をもったプーチンによって決断され始められました。アメリカをはじめとするNATO諸国の軍事・経済・政治的な全面的テコ入れのもとで、ウクライナ軍は労働組合などの非政府系のレジスタンスと共にロシア軍との激しい戦闘を続けています。戦局は膠着しており、どちらかが勝利するということはないでしょう。
皮肉にもNATOに加盟していなくても今や、NATOの最前線にウクライナが位置するという形になっています。戦局はウクライナを衝立てとするNATOとロシア(・中国)との全面的戦争に推転していく実在的可能性を孕んでいます。多くの人びとが新東西間の戦争の犠牲になるでしょう。
日本の労働運動、市民運動は基本的にウクライナの資本家階級・政府と労働者階級の対立を見ることなく「ウクライナ支援」を掲げています。けれども現在のゼレンスキー政権が主導する反ロシアのウクライナ戦争は東西対立の前線と化しています。善悪二元論で運動をすすめるのではなく、反戦を明確に掲げるべきです。ウクライナ戦争停止を訴えなければなりません。今、停戦を求めることはプーチンの侵略を免罪することだなどと言っているときではないと思います。それは政府の生成AIに仕込んだ停戦要求への答えのようなものです。