5月9日ロシアで対ナチスドイツ「大祖国戦争」勝利記念日があり、プーチンが演説しました。
ロシア軍がウクライナに侵略して2ヶ月半が経ちます。ロシア軍は撤退せず、ウクライナ軍はアメリカをはじめNATOに軍事的にも経済的政治的にも支えられて戦争を続け、日を追うごとに犠牲者が増えています。
プーチン は演説で(ウクライナへの軍事行動は)やむを得ない、唯一の決断だった、と述べました。
プーチン自身がやむを得ない、と言い訳していますが、2月24日にはじめたロシア軍の軍事行動はウクライナに対する侵略です。私はロシア軍の即時撤退をプーチンに要求します。そしてまた、アメリカの思うつぼにはまりつつあるウクライナのゼレンスキー政権に対してこれ以上労働者に戦争の犠牲を強いるのは止めよといわなければなりません。
その上でプーチンの主張を考える必要があります。なぜ侵攻したのでしょうか。プーチン演説を引用します。
「去年12月、われわれは安全保障条約の締結を提案した。
ロシアは西側諸国に対し、誠実な対話を行い、賢明な妥協策を模索し、互いの国益を考慮するよう促した。
しかし、すべてはむだだった。
つまり実際には、全く別の計画を持っていたということだ。
われわれにはそれが見えていた。
ドンバスでは、さらなる懲罰的な作戦の準備が公然と進められ、クリミアを含むわれわれの歴史的な土地への侵攻が画策されていた。
そしてNATO加盟国は、わが国に隣接する地域の積極的な軍事開発を始めた。
このようにして、われわれにとって絶対に受け入れがたい脅威が、計画的に、しかも国境の間近に作り出された。
アメリカとその取り巻きの息がかかったネオナチ、バンデラ主義者との衝突は避けられないと、あらゆることが示唆していた。
繰り返すが、軍事インフラが配備され、何百人もの外国人顧問が動き始め、NATO加盟国から最新鋭の兵器が定期的に届けられる様子を、われわれは目の当たりにしていた。
危険は日増しに高まっていた。
ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。」
(NHK NEWS WEBから抜粋)
プーチンが演説で述べたところの侵攻に至る経緯をつかんだ上で批判すべきだと思います。侵略反対の立場にたって、プーチンから見えていたNATOの動きとウクライナ東部の内戦についての言い分はつかんでおく必要があります。軍事的政治的対立がその背景にあるからです。
これは次回以降書きたいと思います。
前面に出たアメリカ
もう一点重要だと思うのはバイデンの動向です。9日にバイデンは「レンドリース(武器貸与)法」を成立させました。これによってウクライナや東欧に対する武器貸与を大統領権限で実施できるようになります。
第二次世界大戦でイギリスなどへの軍事支援を促進した法がウクライナを対象として復活したのです。バイデンは武器を売り込みたいのでしょう。
ロシア研究者の和田春樹さんによれば、バイデン政権オースチン国防長官は、イラク戦争の司令官、中央軍司令官を経て、退役後は軍需大手レイセオン社(パトリオット・ミサイル製造)の重役に就いたと言われています。(『長周新聞』より)
ともかくロシア軍の侵攻前からプーチンの侵略は確定的だと予言し、アメリカはウクライナに派兵しないと宣言したバイデン。ウクライナ戦争をバイデンの動きとの関係において見なければならないと思います。