[1307]韓国で海洋放出反対デモ

 

 IAEAグロッシ事務局長が韓国ソウルの金浦空港でデモによって2時間足止めをさせられました。

 グロッシ事務局長は8日、韓国の朴振(パク・ジン)外相や劉国熙(ユ・グクヒ)原子力安全委員長と会談しました。

 会談でグロッシは、東京電力福島第1原発の処理水放出を「国際的な安全基準に合致している」としたIAEA報告書について説明しました。

 聯合ニュースによると、7日夜、日本からソウルの金浦空港に到着したグロッシ氏は、処理水放出に反対するデモ隊が出口に迫ったため、8日未明まで約2時間にわたって足止めされました。 グロッシ氏は8日、聯合ニュースのインタビューで「韓国は民主国家であり、人々は当然、デモをできる。私がここに来た理由も、多くの人が持つ懸念を払拭(ふっしょく)するためだ」と強調しました。またIAEA報告書は「日本に偏向しているわけではまったくない」とも述べました

 韓国政府は7日、海洋放出計画はIAEAの国際基準などに合致していると確認し、事実上、容認したが、しかし、韓国国内では、最大野党「共に民主党」が処理水の放出に強く反対し、国民の間にも海や水産物の汚染を懸念する声が根強くあります。 

 IAEAの報告書は資源エネルギー庁から7月4日に公表されました。

1.IAEA包括報告書の要旨(Executive Summary)においては、以下の結論が述べられています。

1)包括的な評価に基づき、IAEAは、ALPS処理水の海洋放出へのアプローチ、並びに東電、原子力規制委員会及び日本政府による関係する活動は関連する国際的な安全基準に整合的であると結論付けた。 2)包括的な評価に基づき、IAEAは、東電が現在計画しているALPS処理水の海洋放出が人及び環境に与える放射線の影響は無視できるものと結論付けた。

2.また、IAEAは、同要旨の中で、放出前、放出中及び放出後もALPS処理水の放出に関し日本に関与することにコミットし、追加的レビュー及びモニタリングが継続予定であることは、国際社会に追加的な透明性及び安心を提供するものであると述べています。

3.日本政府は、同報告書の内容を詳細に確認した上で、透明性をもって国内外に情報発信してまいります。また、今後とも、IAEAに対する必要な情報共有を継続するとともに、ALPS処理水の海洋放出について、国際社会の一層の理解を醸成していくことに努めます。 [参考] ALPS処理水 ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。さらにALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む全ての放射性物質について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されることが想定されている。 

以上

 政府資源エネルギー庁から公表されたIAEAの報告書は日本政府の報告にめくら判を押したようなものです。

 専門家、科学者から指摘されている有機結合型トリチウム内部被曝による晩発性障害の危険性について全く触れられていません。希釈しても食物連鎖の過程で濃縮され、最終的に海産物を食べた人間の細胞に取り込まれ、ゆっくりとβ線を浴びつづけ染色体が壊される危険性があります。

「包括的な評価に基づき、IAEAは、東電が現在計画しているALPS処理水の海洋放出が人及び環境に与える放射線の影響は無視できるものと結論付けた。」

 これは政府の報告を鵜呑みにした報告です。IAEAとは一体なんでしょうか。