[1367]「処理水」放出差し止め訴訟

 福島原発デブリ接触冷却後のALPS処理水の海洋放出がはじまっています。トリチウム1000兆ベクレルを含む処理汚染水を薄めて30年以上かかって海に流しつづけます。

 福島、宮城の住民•漁民が放出の差し止めを求めて8日東電、国を福島地裁に提訴しました。

 訴状で、「処理水放出は市民が平穏に生活する権利を侵害し、漁業関係者のなりわい回復を困難にする」と主張しています。弁護団共同代表の河合弁護士は「海洋放出は過失による事故の後の故意による新たな加害行為」だと批判しています。

 当然の主張です。だいたい、薄めて流せばいいだろうということが子供騙しです。政府、東電は海洋に流すのは危険だと思ったからタンクに貯めていたわけです。いま問題になっているのはトリチウムですが、他の核種も濾過をスルーしたものが残っています。

 いくら薄めても放射性物質の絶対量が減るわけではありません。トリチウムに関して言えば、食物連鎖を通じてどれだけが濃縮されて人の体内に取り込まれるか私ははわかりませんが、体内に有機結合型トリチウムとして残ってβ線を出しつづける危険性が大きいのです。体の細胞を構成する蛋白質、脂肪などの構成物資として水素に変わって結合されます。

 泊、玄海原発周辺の地域でがんの罹患率が高いことは統計的に確かめられています。その原因がトリチウム内部被曝の可能性であることは否定できません。