[1417]骨抜きにされた無期雇用転換ルール

 

 有期雇用の無期雇用への転換が厳しくなりそうです。有期契約が5年を超えて更新されると無期雇用に転換できるルールの導入から10年が経ちました。ところが全国の事業所のうち14%が有期の雇用契約に更新上限をもうけ、5年以上の契約更新をしなくていいようにしています。

 裁判の判例でも更新上限条項は有効とされています。

 日通川崎支店の契約社員の地位確認裁判で高裁は「反復更新が5年を超えない限度で短期雇用の労働力を利用することは許容される」と判示され、上限条項は合法とされました。

 この高裁判決は最高裁で確定し、厚労省労働基準法施行規則5条を改訂しました。

 雇用契約時に契約期間や更新回数の上限を明示することが義務付けられました。(労働基準法施行規則第5条改訂、24年4月施行)契約更新回数に上限をもうけることが法律で認められたということは無期雇用転換ルールが骨抜きにされたということです。

 

参考資料∶ 「みなと横浜中央社会保険労務士法人」「お役立ち情報」

労働基準法施行規則改正 ~2024年4月から労働条件の明示のルールが変更されます~ 2023年7月4日 「お役立ち情報」より

抜粋します。

 

改正内容(追加される明示事項や手続き要件)

1.全ての労働者に対する明示事項

① 就業場所、業務の変更の範囲の明示(労働基準法施行規則第5条の改正) 雇入れ直後の就業場所と業務の範囲に加えて、その後の変更の範囲まで記載することが義務付けられます。 変更の範囲とは、将来の配置転換等によって変更することが想定できる就業場所や業務の範囲を指します。

2.有期契約労働者に対する明示事項

① 有期労働契約の更新上限の明示(労働基準法施行規則第5条の改正) 有期労働契約の契約締結時及び契約更新時ごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限)の有無とその内容の明示が義務付けられます。

■手続き要件の追加(雇止め告示の改正) 併せて、①の更新上限について最初の契約時から明示されておらず、途中の更新時等から上限を設ける場合や、最初に設けていた更新上限を短く変更する場合等は、有期契約労働者にあらかじめその理由等を説明することが必要になります。

② 無期転換申込機会の明示(労働基準法施行規則第5条の改正) 無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要です。(※無期転換制度とは、同一使用者との有期雇用契約が通算5年を超える場合に、有期契約労働者からの申出により有期契約から期間の定めのない無期契約に転換することができる制度)

③ 無期転換後の労働条件の明示(労働基準法施行規則第5条の改正) 無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。(無期転換権が発生する最初の契約時に限らず、その後も無期転換権が発生する契約を更新する場合は明示する必要があります。)

以上抜粋