[1416]グテーレス事務総長の声、切実

 国連のグテーレス事務総長が24日の安全保障理事会ではっきり言いました。パレスチナハマスイスラエル攻撃を「正当化できない」が「何もなく突然起きたわけではないと認識することも重要だ。パレスチナの人々は56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」と述べました。

 私は国連に幻想を持ってはいません。がこの発言は正しい発言だと思います。

 これにイスラエル国連大使が「テロの容認だ」と辞任を要求しています。「ハマスは新たなナチスだ。ホロコーストユダヤ人大虐殺)を経て誕生した国連トップの見解として極めて遺憾だ。文明世界はナチスを倒したようにハマスを倒さなくてはならない」と訴えています。 

 27日の国連総会でヨルダンから提案された「人道的休戦」案が賛成121、反対14、棄権44で決議されました。

 採決に先立ち、カナダはハマスの7日以降のテロ攻撃と人質拘束を名指しで非難する修正を求めたが、必要な賛成を得られず認められませんでした。

 ウクライナからのロシア軍の撤退を要求する23年2月24日の国連総会決議は賛成141、反対7、棄権32でしたから、アメリカの賛否を基準として両者を比較してみると賛成と反対•棄権の比率がひっくり返りました。法的拘束力はありませんが、イスラエルパレスチナ問題のアメリカ、イスラエルの孤立が浮き彫りになりました。

 グテーレス事務総長は、各国の意見の趨勢を見ながら発言したものでしょう。冒頭紹介したグテーレスの意見は、孤立をも辞さずというものではなく、国際世論の動向を見てのことなのでしょう。ともかくアメリカをリーダーとする西側諸国の支配階級の力の後退を示しています。

 ロシアのウクライナ侵略は正当化できるものではません。行動を起こしたハマスとロシアの事情は同じレベルでみることはできませんが、ロシアの越境侵攻は「何もなく突然起きたわけではないと認識することも重要だ」と思います。とくに2014年以降のウクライナ東部の内戦が戦争の前段として認識されるべきです。すでにその時点でアメリカも絡んでおり、アメリカ(NATO)との関係を措いて分析しなければなりません。日本をはじめ西側のメデイアのニュースはアメリカの支配階級の立場に立ったプロパガンダです。今、世界は二者択一的思考法に染まっています。世界は転回点にあります。冷静に考えなければなりません。

 国連の限界をのりこえ、各国の労働者はウクライナ戦争ーパレスチナ戦争反対の声を真っ直ぐにあげなければなりません。