[1515]中国不動産不況が拡大

 朝日新聞が1月29日の記事で改めて中国の不動産不況を伝えています。記事を参照して現状を見てみます。

 地方政府の不動産使用権売却収入は全体で8・7兆元(約176兆円)となり、過去20年で約150倍に増加しています。私はこれを聞くだけで中国の地方財政は異様だと感じます。不動産不況で22年と23年の1月〜11月はいずれも前年の2割減となっています。減収になった地方政府は人員削減に踏みきっています。

 中国の黒竜江市ハルピン市は、昨年、非正規雇用の労働者を5年間にわたって毎年2割削減すると表明しました。

 

GDPの3割超を生みだしている不動産関連産業の不況は中国経済を揺るがしている

 2020年の習近平政権による銀行融資規制によって、中国恒大集団をはじめ不動産大手は資金繰りにいきづまり相次いで経営危機に陥りました。

 中国では急速な経済成長に乗り、不動産会社が住宅をつくり続けました。価格は上がり続け多くの国民が投資して買い売って儲けるというサイクルができました。不動産バブルの拡大です。住宅販売額は2021年で16・3兆元(約130兆円)となり20年で80倍に増えました。

 しかし2020年の政府の不動産会社への融資規制をきっかけとして住宅価格が下がりはじめ、不動産企業の経営悪化が表面化しはじめると人々は先行きを不安視しはじめ買うのを控えました。22年の住宅販売額は前年比28%、23年も6%減りました。売れなければ住宅価格は下がります。

中国では家計資産の7割を不動産が占めているので、不動産不況で生産・消費が冷え込むと全体的に更に不況は深まります。

 中国の経済成長率は下がり続けており、EV輸出が世界一になってもなお景気は低迷しています。23年のGDPの伸びは5・2%、国際通貨基金の予測は24年は4・6%、28年には3・5%とされています。

 中国の経済危機の影響が全世界に広がるのはこれからです。世界の資本家階級は労働者階級に犠牲を転嫁するでしょう。

労働組合の組織的闘いが問われています。