[1518]なぜトランプ?ーその4

 

 ニューカマー(新参者)と呼ばれるトランプへの強い支持者が今回の選挙でも活躍しそうです。その他方で共和党で「のけ者」にされた人たちもいます。

 アイオワ州マスカティーン郡の共和党本部はトランプ支持者で固められていることを目の当たりにした記者は、次に「のけ者」に会って取材しました。

 10年間努め1年前にマスカティーン郡の党委員長を辞めたグランダーはこう言いました。

 「問題はトランプ本人というより、トランプ支持者たちだった。もう疲れてしまった。」

 読者の私は興味津津です。どういうことでしょう。

 グランダーは2015年にトランプと朝食会で会って話を聞きました。

 「ワシントンの政治家は何も仕事をしない。自分はそれを変えられる。」それを聞いたグランダーは「誰もが聞きたいセリフを次々と言うからこそ、この男には注意したほうがいいと思った」そうです。

 ところが、トランプが大統領になると地元の共和党陣営はトランプ支持一色になり、トランプを少しでも悪く言えば「RINO」(ライノ 名ばかり共和党員Repuburican in name only)と呼ばれ、あいつを追放せよとなるというのです。グランダーはそういう人たちと言う争うのが嫌になって委員長を辞めました。

 会話に加わった弁護士のネイサン・マサーは次のように言いました。

 「トランプ派は、不正と謀略によってトランプの勝利が『盗まれた』と考えている。けれども、私たちはそうでないと知っている。」

 グランダーもマサーもトランプの政策は賛同しているが、選挙不正論には付き合いきれないと思っています。

 グランダーやマサーのような穏健な共和党員は妥協を知らない熱狂的なトランプ支持者を憂えています。

 それでもバイデンかトランプかと問われれば、トランプを支持するといいます。

 

 現在のアメリカは「アメリカ合衆国を再び偉大な国に」を掲げるトランプに夢を託すMAGA運動が盛り上がっています。アメリカの伝統的な共和党員すらもがトランプに異を唱えれば疎んじられるという雰囲気は異様です。

 私はアメリカの危機の根が深いことを感じます。

 つづく