[1529]言いにくかった停戦ー佐藤優 その2

朝日新聞の「交論」「戦争の語られ方」佐藤優インタビュー

つづき

インタビューアーが聞きました。

ーーそれ(停戦)は可能ですか。

「変化が起きるとしたらウクライナの中からでしょう。ゼレンスキー政権である限り無理です。彼は4州だけでなくクリミアまでの解放を勝敗ラインにした。それを達成できないと敗北を認めたことになります」

ーー日本の報道や世論をどう見ますか。

「日本人は、この戦争についての報道を見て語る中で、熱気に包まれてしまった。でも、しょせん他人事だったのだと思います。戦争のリアリティーが欠如していた。ただ、ここから学ばなければならないのは.、戦争での憎しみというものが我々にも感染してしまうと、我々の目も曇って、戦争をする心に同化してしまいやすいことです」

ーーウクライナは勝たなければならないとの意識が現実との乖離を生んだと。

「そう思います。今は少し冷静になってきた。ウクライナが目標を達成できないことは相当の人がわかってきている。ならば一刻も早くこの戦争をやめるところに行くべきですが、なかなかメディアが踏み込まない。メディアがさんざんあおってきたからです。」

 私の意見∶今もなおメデイアはアメリカ的な眼からウクライナ戦争を報じていると思います。アメリカのウクライナ戦略を客観的に見る目が曇らされているのではないかと思います。佐藤優さんは「長期化の背景には、力をつけて言うことを聞かなくなったプーチン政権に対する米国の強いいらだちがあります。核戦争に発展にしないよう戦争を管理しつつ、ウクライナへの軍事支援によってロシアを弱体化するのが米国の戦略的目的になっています」と言います。こういう見方をも措いてみて考える必要があると思います。