[1532]1年前の記事 その3(2023年2月21日)

 昨年の5月に政府は新型コロナ感染症を2類から5類に変えました。10ヶ月後の現在も新型コロナウイルスは変異しながら感染力を維持しています。政府の対策が変えられただけで、感染した人の中には重篤な症状になったり後遺症が残ったりする人もいます。

 1年前の今頃を振り返ります。

 

[1167](寄稿)医療あれこれ(その76)−1

ペンギンドクターより
その1
 今回も医療関連のニュースあれこれを送ります。新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)は感染者の減少が続いています。医療者ネットワークでは医師から「ある人が自分で抗原検査をして陽性になり保健所に連絡したら、重症化要素がないので、そのまま自宅療養してくださいと言われ、特に詳細なデータを求められなかったので、隠れ陽性者がかなりいるのではないか」という疑問が出ていました。そういう隠れ陽性者もいるとは思いますが、全国的に減少しているので、減少は間違いはないでしょう。5類化を5月8日としているのは、G7があるからという岸田政権の政治的都合だと批判する論調もありますが、それ自体責められるものではないと私は思います。日時を決めないと、対応ができませんし、マスクなしの外交を考慮する政治的決定は政府としては当然でしょう。
 COVID‐19について厚労省の発表をお送りします。
 ●自然感染で獲得した抗N抗体は3割弱
 今回、5都府県8157人の協力を得て抗N抗体が調査された。東京都1798人、大阪府1525人、宮城県2040人、愛知県1427人、福岡県1367人の合計8157人である。(注:自然感染による抗体を抗N抗体、ワクチンによる抗体を抗S抗体といい、区別可能のようです)。COVID‐19の初期からの比較を示します。
(1)2020年12月、(2)2021年12月、(3)2022年2-3月、(4)2022年11‐12月であり、単位%を省略。
 
東京(1)1.4 (2)2.8 (3)5.7 (4)28.2
大阪(1)0.7 (2)3.8 (3)5.3 (4)28.8
宮城(1)0.1 (2)1.2 (3)1.5 (4)17.6
愛知(1)0.7 (2)1.6 (3)3.1 (4)26.5
福岡(1)0.4 (2)1.5 (3)2.7 (4)27.1
 
 上記のデータからオミクロン株の蔓延とともに一気に感染が広がったことがわかります。しかし、世界と比較してまだ日本は7割以上が実際に感染していないということにもなります。ワクチンによる抗体は割に急速に低下していくようですから、「やはり自然感染することは悪くないのかも……」と思います。
 スウェーデンがCOVID‐19の当初、若い人は感染して自然免疫をつけるという方針だったのが、介護を担う移民の人たちから介護施設などに飛び火して多くの死者を出したと批判されましたが、その方針の是非も検討すべきでしょう。
 一方、中国は厳しいゼロコロナ政策を長期間続けた後、一気に解除となり、感染が拡大しましたが、毒性の強い時期を乗り切り、オミクロン株という感染力が強いけれども当初のデルタ株などの致死率の高い時期をやり過ごしたという意味ではゼロコ
ロナ政策も間違いなかったとも言えます。
 政策を施行したそれぞれの国の政権は、自ら間違いを認めるというのは難しいでしょうから、公的医療機関が死亡者数などから公平に検証することを期待したいと思います。
 まるで、COVID‐19はもう終息したという感じで綴っていますが、さらに波が来ると警告している専門家もいます。私自身は、注意を怠ってはいません。何しろ後期高齢者ですから。いろいろ基礎疾患のあるなしが言われていますが、最大の危険因子は「年齢」です。こればかりは、避けようがないので注意しても仕方ないのですが……。
つづく