[1554](寄稿)医療あれこれ(その104)ー1

ペンギンドクターより

その1

皆様
 今日は朝から強烈な北西の風が吹いています。昨日は雨が降り、一時的に西高東低の強い冬型となったせいですが、日差しが強く、屋根の太陽光発電量が最高記録を更新しそうです。昨年は4月4日に初めて記録した一日16.1キロワットを今年は3月10日に16.0キロワットとなり、今日も16キロワット近くにいきそうです。 
 添付ファイルは、日常生活の繰り返しの重要さについて書いた、20年ほど前の例のエッセイのひとつです。20‐21歳のときに経験したいわゆる「大学闘争」では、全共闘の人々が「日常性の否定」と叫んでいましたが、私自身はまったく反対のことを考えていました。それは当時も今も変わりません。(編集者註∶エッセイは明後日アップロードします。)
 コロナ以後、わずかな例外を除いて遠出することなく、同じ日常を繰り返してきました。幸い、イライラすることもなくある意味で充実した日々でした。何しろ、毎日やるべきことがあるから退屈する暇はありません。コロナ下の当初の2年は週に1度の一般外来があり神経は使いましたが、2年前に健診業務のみとして、週2日午前中の仕事は、一週間のリズムを作ってくれます。ルーチンワークとして料理は月曜日の昼食(蕎麦と人参の粉チーズ和え)、(水)(土)の夕食のメインディッシュ+キンピラと小松菜の煮びたし、(水)午前中の掃除、アルコールは(水)(土)の夕食のみにほぼ限定。もちろん毎日朝4時半前後に起床して30分医療クイズに挑戦、月10冊の読書とその読書記録。録画したテレビ番組をひとつずつ夫婦またはひとりで観ていく……。なかなか忙しい日々です。このまま同じ繰返しを続けていると、あっという間に平均寿命の81歳がやってきそうですが、「まあ、それもいいかな」と思っています。60歳で常勤医をやめた当初は、日本史特に近現代史を勉強すべく大学院に……などと無謀なことを考えて動き出したのですが、幸い実現することなく、今に至っています。本音を言うと、体力・知力の推移を考える限り、ある教授に手紙を出して大学院に……などという状況をうさんくさいと無視してもらって幸いでした。今の生活が私にとってはベストです。
 日本国内の「旅」はまだまだトライしたいと思いますが、外国旅行に行きたいという気持ちはありません。読むべき本が書棚に眠っているので、国内の一人旅には持参するつもりです。しかし、その旅もいつまで可能か、平均寿命まであと5年、今の繰り返しで時は流れていくだろうと予想しています。ただし、「病気は天から降ってくる」ので、予想はしばしば外れるのが現実ですが。 
 本日は、我々のほとんどに縁の深いアルコールのお話をします。話題になったのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。2024年2月22日のケアネットからの引用です。
●国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省
 2月19日、厚労省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。…<中略>…
■純アルコールに換算して飲酒量を把握することが重要
 本ガイドラインの特徴として、基礎疾患がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(㎖l)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身にあった飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。
■純アルコール量で疾病発症リスク示す
 また我が国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)について、各疾病の発症リスクが上がると考えられる男女別の研究結果と参考(カッコ内)が示されている。 
脳卒中(出血性)〔男性:150g/週(20g/日)、女性:0g<(-)〕
脳卒中脳梗塞)〔男性:300g/週(40g/日)、女性:75g/週(11g/日)〕
●虚血性心疾患・心筋梗塞〔男性:現在研究中、女性:現在研究中〕
●高血圧〔男性:0g<、女性:0g<〕
胃がん〔男性:0g<、女性:150g/週(20g/日)〕
●肺がん(喫煙者)〔男性:300g/週(40g/日)、女性:データなし〕
●肺がん(非喫煙者)〔男性:関連なし、女性:データなし〕
●大腸がん〔男性:150g/週(20g/日)、女性:150g/週(20g/日)〕
食道がん〔男性:0g<、女性:データなし〕
●肝がん〔男性:450g/週(60g/日)、女性:150g/週(20g/日)〕
前立腺がん(進行がん)〔男性:150g/週(20g/日)、女性:データなし〕
乳がん〔男性:データなし、女性:100g/週(14g/日)〕
※「参考」については、研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの。「関連なし」は飲酒量(純アルコール量)とは関連がないと考えられるもの。「データなし」は飲酒量(アルコール量)と関連する研究データがないもの。 
 いかがでしょうか。日本では「酒は百薬の長」と言われていましたが、WHOでは「アルコールは百害あって一利なし」の方向に舵を切っています。要するに「適量ならいい」ではなく、「一滴でもダメ」の方向になっています。実際、高血圧では男女ともに一滴もダメです。肺がんについては喫煙の害が著明でアルコールはあまり問題にならなという意味でしょう。男女ともに大腸がんが増えていますが、アルコールの関与がクローズアップされてきています。私自身は7-8年前だったか、それまで「正常」だった心電図が「右脚ブロック」として戻ってきたうえに、たまたまその後、滅多にない「風邪をひいて体調が悪くなった」ため、アルコールを一時中止、その後は週二回と決めて今に至っています。高齢者に多い「心房細動」など、不整脈にはアルコールは危険です。飲みたいときはありますが、我慢しています。ただし、「ハレの日」は例外です。 
つづく