[1182]北朝鮮、米韓合同軍事演習中止要求

 ロイター通信は13日から行われる予定の米韓合同軍事演習に北朝鮮が中止を要求していると伝えています。

 

 北朝鮮の外務省は5日、米国と韓国に対して合同軍事演習の即時中止を要求するよう、国連に要請した。 金先敬外務次官(国際機構担当)の談話として朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。金次官は、米韓の演習と言動は「対立のレベルを無責任に高めている」と指摘した。

 米韓両軍は3日、上陸訓練を含む大規模合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を13─23日に実施すると発表した。 金次官は「国連と国際社会は、米国と韓国に対して、挑発的な発言や合同軍事演習を直ちに中止するよう強く求めなければならない」と主張。「明確な攻撃性」を持つ演習に、国連が一貫して沈黙していることは遺憾とした。 

 

 これは当然の要求です。しかし、NHKニュースウェブは次のような報道記事を発信しています。

 

 「アメリカ軍と韓国軍は、定例の合同軍事演習を今月13日から11日間にわたって行うと発表しました。演習への非難を続ける北朝鮮が、さらなる軍事挑発に出ることが懸念されます。」

 NHKは米韓合同軍事演習を正しいとする立場にたった記事を流しています。こういう報道をするかぎり朝鮮半島日本海の戦争の危機に拍車がかかるでしょう。

 いま日本社会を「新しい戦前」という言葉で語られることが当たり前のようになっています。岸田政権は昨年暮れに自衛隊が敵基地攻撃能力を持つことを閣議決定しました。相手が日本にミサイル攻撃をする動きをしたと判断できれば先制的に敵基地を「たたく」ことができるようになります。そういうことをやれば、北朝鮮も中国もますます「槍ぶすま」を高く厚くすることになります。

 NHKのこの報道は、北朝鮮にたいする日米韓の軍事的対抗に期待する世論づくりに一役買っているだけです。日本の民衆の意識には「北」=悪、日米韓=善という動かしがたい観念がつくられています。太平洋戦争中の「鬼畜米英」が「北朝鮮」置き換わっていると私は思います。メディアの報道は今や戦前から戦中のプロパガンダに似てきました。