[1264]北朝鮮の「偵察衛星」打ち上げをめぐって

 

 5月29日の読売新聞は北朝鮮人工衛星打ち上げに関する記事をこう書き出しています。

 「北朝鮮が日本に対し、「人工衛星」を打ち上げると通告した。軍事偵察衛星の可能性がある。日米韓への脅威を増大させる暴挙を、国際社会は結束して中止させねばならない。」

 感情のこもった戦闘的な文です。通常北朝鮮ミサイル発射実験などの軍事的行動は米韓合同軍事演習に対応して行われます。今回も韓国軍と米軍は先週、北朝鮮からの「本格的な攻撃」を想定した実弾演習を開始しています。

 日本海周辺の米韓日と北朝鮮の軍拡競争は悪無限的にくりかえされています。軍拡の連鎖は断ち切らなければなりません。

 日本の北朝鮮についてのイメージは「悪」です。政党もメディアも反対運動総体も「北朝鮮」は昔の「アカ」や「鬼畜米英」と同じように使われています。「北朝鮮」と聞くと思考停止してしまいます。

 6月に行うと予告された人工衛星偵察衛星)の打ち上げにたいして冒頭の読売新聞の記事のような調子のおふれが抵抗感なく世間に受け入れられています。その文化が戦争の土壌となるのだと思います。

 このところ失敗している日本のH2ロケット(註)発射に韓国、北朝鮮は同じように感情的な反日宣伝をしているのでしょうか。

註:

H2ロケットについて参考までにNHKの「サイカル」から引用します。

  日本の情報収集衛星ってどんなもの? 2018.02.26 

 安全保障に関する情報を集める政府の情報収集衛星が、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットの38号機で打ち上げられました。情報収集衛星は、これまでに16機が打ち上げられていて、衛星の開発や打ち上げ、運用に、過去10年間で年間平均700億円あまり、情報収集衛星の導入が閣議決定された平成10年以降、総額1兆3000億円近い国費が投入されています。安全保障に関わることを理由に、情報収集衛星の能力や打ち上げの詳細な情報はほとんど公開されませんが、日本の情報収集衛星とはどんな人工衛星なのでしょうか。

事実上の偵察衛星

 情報収集衛星は、平成10年の北朝鮮による弾道ミサイルテポドン」の発射をきっかけに政府が安全保障に関する情報を独自に集めようと導入した、事実上の偵察衛星です。政府の内閣情報調査室・内閣衛星情報センターが開発や運用を担っています。情報収集衛星は、日中の時間帯に高性能のカメラで撮影する「光学衛星」と夜間や悪天候の際に、電波を使って撮影する「レーダー衛星」の2種類があります。「光学衛星」と「レーダー衛星」をそれぞれ2機ずつ、あわせて4機で運用すれば、高度数百キロの上空から地球のあらゆる地点を1日1回以上、撮影できることになり、こうした「4機体制」は平成25年に整いました。現在は6機が運用されていて、今回打ち上げられた「光学衛星」の運用が始まると7機になります。