[1173]国連決議の内実

 24日毎日新聞はロシア軍の即時撤退を求める国連総会(23日)決議を伝えていますが、「『南半球』欧米と距離」と見出しをつけ、軍事支援を強める欧米とは距離を置き、早期の和平交渉を求める声をも伝えています。

毎日新聞の見出しとリードです。

国連総会、露撤退要求を決議 鍵握るグローバルサウス 2023/2/25

国連 141カ国賛成決議

食糧危機懸念 懲罰に反対か棄権

 国連総会(193カ国)は23日、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案を賛成多数で採択した。この1年、安全保障理事会が身動きできない中、欧米などは全ての加盟国が集まる総会でロシアの孤立化を図った。浮き彫りになったのは、国際社会でその「重み」を増す、南半球を中心にした新興国・途上国の「グローバルサウス」の姿だった。 

リード以上

ウクライナのジャパロア外務次官は、昨年11月ゼレンスキー大統領が打ち出した「10項目」の和平案を強調しました。

•ロシア軍のウクライナ全土からの撤退

•領土の回復とロシアによるその確認

•ロシアの戦争犯罪を裁く特別法廷の設置

などです。

 けれども、総会では軍事支援を強める欧米にたいしてブラジルは「軍事的な解決のみの追求は、長く続く恨みを残す」と発言。モザンビークは「欧州が世界を恐怖と食糧危機に陥れている」と懸念を示しました。

 グローバルサウスとよばれる東南アジア、南米などは、エネルギー•食糧危機への懸念が強くあります。そのためロシアへの制裁色が強い決議の支持を得るのは難しくなっています。毎日新聞は国連外交筋の話を紹介しています。

 「10項目を承認する決議案では賛成が激減するとの見方が出た。ロシアを懲らしめるか。多数の声を示すか。1年の節目で大事なのは多くの国の支持を集めることの方だった」。

 ゼレンスキーが掲げた特別法廷の設置には触れず「包括的で公正かつ永続的な平和」を訴え早期の和平交渉を望むブラジルなどに配慮した決議案が提出されました。

 中国が仲裁にのりだしました。戦局とウクライナ戦争をめぐる国際的状況を見て、我田引水的な収拾にソロリ動き始めたといえます。

 東西資本主義諸国家の駆け引きの材料にされているウクライナ戦争は一刻も早くやめるべきです。

 私はなぜこの戦争が起きたのかについて、東西対立の中におけるロシアとウクライナの対立・抗争を措いて考えなければならないと思います。