[5]家で仕事はしたくない

オフィスワークが定着

忍び寄るオフィス不要論

日経新聞が、新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅勤務を取り入れたいわゆるスタートアップ企業が、オフィスの賃貸契約を解消しはじめたと伝えています。
スタートアップ企業というのは、たとえばニコニコ動画を運営しているドワンゴのようなIT関連の新興企業を指します。
企業経営者がコロナ感染症への対応のひとつとして在宅勤務を取り入れたところ、うまくいったのでこれからもそのままの勤務形態でIT労働者に仕事をさせることにしたのです。賃貸料が節約できるというわけです。

ところが、このテレワークというのは労働者にとっては大変な負荷がかかるのです。労働時間というものがなくなり、経営者から指示された仕事が終わるまで家でパソコンに向かっていなければなりません。何時から何時までという労働時間という規制がないので、残業という概念はなくなり、残業代もでません。

生まれたときから資本主義社会で暮らしてきた私たちは、公人と私人との分裂を当たり前のことのようにおもっています。働いているときは資本の定有としての自分であり、資本家の目的を自分の目的であるかのように思って労働しています。家に帰ってはじめて「私」を取り戻し明日の仕事のために体を休め備えるという、市民社会の人間の自己分裂を日々繰り返しています。
この状態はおかしなことなのでやがて止揚すべきことなのす。

現実の私たち労働者は会社で働いているときは、いやでも我慢し、終業時間がきて疎外労働を一旦終えて、アーッ今日の仕事は終わったーとホッとして家に帰ります。
テレワークではこの仕事の時間管理とオフィスという空間をなくし、私的場所である家で時間にとらわれず働くことを強いられるのです。私的時間すら奪うものです。
いわば「私」の時間と空間に仕事が持ち込まれるのです。生産過程で資本家に労働者の労働は搾取され、疲れた私の「回復」のための時間と空間すら奪われるのです。
資本家、経営者は成果主義賃金制度のもとで労働者どうしを競わせるにもテレワークは役に立つのです。
テレワークは労働者にひどい過労をもたらしてしまいます。
通勤がないからいいなんていってられせん。

家で仕事はしたくない同盟