[298](投稿)GoTo停止チグハグ

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GoTo政府説明の矛盾露呈 「知事判断」実態は介入 感染拡大「要因でない」
12/16 05:00
 
観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を巡り、政府側の矛盾が際立っている。「停止は都道府県知事の判断」としてきた説明は破綻し、根回しもないまま全国一斉停止を政治判断。国の意向を押し通しつつ責任を各知事に押しつける姿勢も浮き彫りとなった。事業停止に追い込まれながら「移動は感染拡大の要因ではない」との主張も取り下げていない。

 「Go To」事業では、これまでも政府と都道府県との間で判断の「押し付け合い」が続いた。事業を担う政府は経済を重視し、停止判断を各知事に丸投げ。政府は「地域の感染状況や医療体制を一番分かっている」(西村康稔経済再生担当相)と理由を挙げるが、小池百合子東京都知事は「国の事業は国が判断すべきだ」と反発してきた。

 だが、政府は水面下では知事への「介入」を続けていた。愛知県の大村秀章知事は13日のテレビ番組で「名古屋市のGo To停止」について、西村氏から事前に打診があったと明らかにした。11月23日に札幌着の一時停止方針が公表される前には、菅義偉首相が鈴木直道道知事に電話し「札幌停止」を直接要請した。

 政府が事前に求めた通りに、各知事が「一時停止」の意思決定をし、その決定を受けたという体で政府が停止区域を公表する―。そんな「政府の責任回避のため」(自治体関係者)の、ゆがんだ手続きが浮かぶ。

 そして14日、首相は、各知事への意向確認も事前の根回しもないままに突然、全国一時停止を発表。矛盾は決定的となり、加藤勝信官房長官は15日の記者会見で「全国での年末年始をどうするかの問題だから政府で決定した」と弁明した。

 政府は全国一時停止について、人との接触が増える年末年始の緊急措置と主張する一方、「Go Toが感染拡大の主要な要因とするエビデンス(証拠)はない」との認識を変えていない。政府の認識に従えば、移動人口の増減は感染拡大とは無関係で、ここでも主張の整合性は取れない。

 「年末年始を静かに過ごすため、特例的かつ強力な予防的措置だ」。赤羽一嘉国土交通相は15日の記者会見で一時停止の理由をこう述べた。政府は「Go To」事業で感染したのは200人程度だとして「感染防止に事業者、旅行者の双方が努めてもらっている」と強調してきた。感染再拡大の一因だと指摘する声の強まりに対し、首相は11日のインターネット番組で「いつのまにかGo Toが悪いことになってきちゃった」と不満もあらわにした。

 首相は年末年始が終わり、一時停止が明ける12日以降の対応についても「感染状況などを踏まえ、改めて判断する」と強調した。人の往来が通常に戻っても再開を即決できないのは、移動を推奨する事業に感染リスクがあることを否定できない証拠ともとれる。英スコットランド自治政府も9日、感染再拡大の原因が旅行にあるとする科学者チームの調査結果を発表した。

 それでも首相は14日、「移動によって感染は拡大していない」と記者団に語り、赤羽氏も「(GoToは感染拡大の)主たる原因ではない。矛盾はない」との主張を繰り返した。

 第一生命経済研究所の永浜利広氏は「Go Toは感染対策にプラスとならない。国はこれまでいろいろ説明してきたが、感染急拡大を前にとにかく強い対応を取らざるを得なくなったのだろう」と指摘している。(加藤千茜、長谷川紳二、古田夏也) 2020・12・16 北海道新聞デジタル版より引用しました。



※※※ 骨川支持衛門のコメント

 「観光支援事業『Go To トラベル』の全国一時停止を巡って政府側の矛盾が際立っている」と報道は正鵠を得た言葉の矢を放った。

 しかし、政府は「移動は感染拡大の要因ではない」と居直っている。政府は水面下で、知事への「介入」を続けており、愛知県の大村知事は13日にのTV番組で、西村氏から事前に打診があったと明らかにしている。菅は鈴木北海道知事に、電話で「札幌停止」を要請していた。これは、各知事が「一時停止」を要請したかのように装うためと考えられます。その根っこには、菅が「Go To が感染拡大の主要な要因とするエビデンス(証拠)はない」と言ったことを今でも正当化することしか考えていないのです。

 これでは、コロナ対策は、後手後手に回らざるを得ません。感染拡大のスピードについていけないわけです。「君子は豹変する」(注1)場合もあるというくらいの責任を取れる人でなければ、首相は務まらないのではないでしょうか?

 同じデジタル版に「菅首相 就任3カ月 専門家の採点は」というタイトルで、東大名誉教授の御厨貴(69)氏は「失言してもいい 目標語れ」との見出しで50点、日本総合研究所主席研究員 藻谷浩介さん(56)は「リーダーではなく番頭」との見出しで35点、慶応大学教授・社会学小熊英二氏(58)は、「権力の行使 説明責任ある」の見出しで50点後半の点をつけています。(それぞれの評価の中身はここでは割愛いたします)。

 前政権の引継ぎみたいな政策と、政策の正当化を前面に押し出しているだけの政権に合格点はつけられないということですね。(小生は、合格点は最低60点というのが多くの大学の学年の各教科の基準ではないかと推定しています。その点数よりも低い50点しかつけられていないという意味は、「落第」だということですね)。

 「欧州三たび感染拡大 各国、規制を強化」という表題で欧州の感染状況が書かれています。英国では秋に拡大した欧州の感染は11月末にやや落ち着いたため、各国が経済を重視し規制を緩めたことで三たび感染が広がりつつあり、ロンドンでは16日から規制を最高水準に引き上げると発表。オランダも感染者が急増し、15日から飲食店や店舗や学校を相次いで閉鎖。オランダのルッテ首相は「苦い薬は物事が良くなるまで飲まなければならない」と述べている。チェコも2週間前に再開した飲食店などを18日から閉める。「欧州は、9月下旬ごろから感染第2波に見舞われ、各国は10月から相次ぎ感染抑止の規制を導入。ただ、経済への打撃を抑えるため、規制をより緩めにするか、早期に緩和する国が多かった。そうした経済への配慮は裏目に出てクリスマス商戦の最中に規制を強めることになった。ドイツも、16日から店舗や学校を閉鎖すると決定済み。イタリアも13日に死者数が英国を抜いて欧州最多となったため、規制強化が予想されている」とあります。

 以上の欧州の臨機応変さを見習うことも必要ではないかと思います。意固地に「エビデンス(証拠)はない」と頑張っても、北海道の寿都(すっつ)町の町長のように、「肌感覚で分かる」という低レベルでは、コロナ対悪も経済対策の両方ともうまくいかず、「番頭」程度と評されても仕方がないですね。支持率はさらに一段と下がると思います。

 急がない政策に何兆円もの予算を計画することも、経済界を重視する姿勢はあっても、一般の民衆のことは埒外(らちがい)に置かれているとしか思えません。菅は、経済界・財界の人たちとは、マスクなしで、大人数で飲食を共にすることは厭わないわけですから、評価が低いのも当たり前のことですね。

(同じ北海道新聞で、「首相会食はしご 官房長官問題視せず」の見出しで、「15日の記者会見で加藤官房長官は『夜の会食を続ける首相の対応が適切かどうか聞かれ、問題視しない考えを示した』とあり、首相は、年末年始の『Go To  トラベル』停止を決めた14日夜、経営者ら約14人と会食。その後、自民党の二階幹事長や俳優の杉良太郎さんら5人以上が集まったステーキ店にはしごした」と書かれています。加藤官房著感は、5人以上の飲食について「感染リスクが高まる」と注意を促している政府対応との整合性を問われ、「5人以上と一律に決めるものではない」と釈明した。公明党の山口代表は「首相の日程は国民に対するメッセージ性があるので、良く配慮、検討してもらいたい」と注文を付けたとあります。

 国民には「指示して、守れ」というけれど、自分たちはその埒外(らちがい)だということでしょうか?これで怒らない国民はいないでしょうね。経営困難になり、大幅な減収になり、店をたたまざるを得なくなり、仕事を失い…困窮している人たちは怒りに満ちています。これに目をつぶって「楽しんでいる」菅は、米国のトランプ似ていると思います。到底、納得できないですよね。

 読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様、現政権に対して「怒りと抗議の声」を上げて行きましょう!!



注1:「君子は豹変する」とは、「君子は時の変わるに応じて自分の誤りはきっぱり改め、豹の毛皮が秋に一変し、紋様が移り変わるようにする。 小人はそういうときは、表面的に態度を改め、君子の言うとおりに従えばよい。」 という意味である。 この句についてはいろいろな立場からの解釈があるが、日本で現在用いられているような悪い意味はない。