日本で数十万人の死者を出したスペイン風邪(注1)の第1、第2波が日本を襲った1918年(大正7年)は波乱の年だった。
▲寺内正毅内閣がシベリア出兵を行うとの予測からコメなどの物価が高騰し、富山などで騒動が起きた。新聞社の政権批判は激しく、記事が内乱を暗示したとして大阪朝日新聞を告発した「白虹事件」(注2)のような言論弾圧もあった。
寺内首相は「物価高騰に伴う生活難の多大なる場合に於(お)いては、知らず識(し)らず国民思想の変化を来す」と地方長官らに訓示する。大正デモクラシーの広がりを警戒し、思想統制を強めた。
▲新型コロナの今年を振り返って思う。社会が不安定で思い通りにならない時、政治指導者は国民に責任転嫁するのか。菅義偉首相は銀座での夜会合出席を「国民の誤解を招くという意味において」反省して見せた。「国民は誤解していない」とネットで批判が広がったのも理解できる。
▲春には当時の加藤勝信厚労相が、「体温37・5度以上」の目安が受診の基準のように受け取られたことを「われわれから見れば誤解」と釈明した。現場が悪いと言わんばかりだ。医療従事者は悔しい思いをしただろう。
▲オルツェウスキー著「官僚政治」(後藤新平訳)は、官僚の特徴を「一般人民と隔たって立ち、上から社会を見下ろす」と表した。菅、加藤両氏の言動は、彼らが政治家ではなく、官僚なのかという錯覚を抱かせる。
北海道新聞 2020・12・28 『卓上四季』より引用しました。
※※※ 骨川筋衛門のコメント
1918年(大正7年)は、スペイン風邪により、日本でも数十万の死者を出したとあります。今の「3蜜」という考えはなかったことでしょう。原因がウイルスだと分からない時代なので、マスク、石鹸による手洗いなども考えられていなかったのではないかと思います。
それはともかく、ガースーの「誤解」事件、加藤官房長官の「誤解」事件は、『官僚政治』に書かれている「一般人民と隔たって立ち、上から社会を見下ろす」と卓見を示したオルツェウスキー著「官僚政治」にすでに書かれていました。
しかし、普段に「誤解しないように・誤解されないように」、人民に明確に事態を伝え、また感染対策ならその基準を絶えず新聞や折り込みチラシやTVなどで明示し、基準を改変・変更すればなおのこと、頻回に報道で一般に伝え、医療機関諸機関に明確な内容を通知しなければならないと思います。
報道では、ある資格試験を受験しようとすると、その場の「監督官」が、「体温37度以上は受験させない」と追い返したそうです。受験した人は、試験をする会社に事前に「自分の平熱は37度ですが、それでも受験可能ですかと問い合わせていて、OKを貰っていた」と弁明したのですが、現場の責任者まで伝えられなかったのか、「基準に37度以下と決められていますので、受験資格はない」とにべもなく受験をさせなかったのです。この場合、本社の責任者とか、しかるべきところに問い合わせをすべきだと思うのですが。しかも、加藤が春に示していた「37・5度」以下の体温なのですから!!
話は逸れますが、来年2021年の試験は受けないという人も増えているそうです。受験科目にも問題があり、受験日程などにも問題が生じているという記事を読んだことがあります。政府は、多くの学生に「失望」を与えるのが仕事でしょうか?
新型コロナ禍で、物価はどうなっているのでしょうか?米つくり農家(とくに福島の外食産業用のお米)や野菜農家は外食産業が購入してくれないので、廃棄しているという報道がありました。
一方で、その日の食料を得るのに困っている人々も多くおられます。農家の生産物に対する救済と同時に、日々食べることにも事欠く人々を救済する手段はあるはずです。そうした社会の歪(ひずみ)を全く見ていないのが、今の政府です。
人民の暮らしに大きな差が生じていると思います。年末年始の細やかな給付金や食料品などの現物支給をもっともっと細やかにする政策は、上層部には見えていないのでしょうね。「GO To事業」の失策で感染が広がり、一時停止していますが、「GO To 配給」とか「GO To 給付金」とかをする考えはないのでしょうか?
ただし、電通とかが中抜きをする「(お友達)会社」等を使うのではなく、各市町村単位で、郵便での申し込みとかで、「安心・安全・早い」というのが必要です。
「デジタル庁を作る」など、待っている暇はないと思います。これも「お上」の思い付きでしかないと思います。いくら電子化しても、黒塗りの回答が返ってくるだけなら、なんの役にも立たないわけですから。
「不都合な真実」は、すべて「黒ぬり」という「政策で、事件を逃れようとすること」に対しては、人民は、これに対しても「誤解」はしません。逆に、ますます「疑惑」を膨らませるだけだと思います。「自分のためにだけ働くガースー」なら、「ガースーの廃棄」処分も致し方ないと思います。
新型コロナの変異株に対する対応も遅すぎる、「検疫すり抜け事件」は、検疫で変異株でない新型コロナの時期から生じていたのに、政府は対策を変えていません。パイロットは特別扱いという下策はやめたほうが良いと思います。いくらパイロットが少ないと言えど、正しい策を貫徹しないと「防疫」はできないと思います。
そもそも、人の往来が早まればウイルスの拡散は早まるばかりです。カミユの『ペスト』と同じく「ロックダウン」も、必要と思います。
読者の皆様・労働者の皆様・学生の皆様は、政府の「誤解」という弁明について、どのようにお考えになりますでしょうか?
注1 「スペイン風邪」については、ウィキペディアをご覧ください。以下にアドレスをお示しいたします。
スペインかぜ - Wikipedia
スペインかぜ - Wikipedia
スペインかぜ(英語: 1918 flu pandemic, Spanish Flu 、スペイン語: La pandemia de gripe de 1918、gran pandemia de gripe、gripe española )は、1918年から1919年にかけ猛威を振るった全世界的に大流行した H1N1亜型 インフルエンザの通称。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によるインフルエンザ・パンデミック重度 ...
ja.wikipedia.org
注2 「白虹(はっこう)事件」については、ウィキペディアをご覧ください。以下にアドレスをお示しいたします。
白虹事件 - Wikipedia