[386](投稿)ワクチンとマイナンバーカードを結びつける無理

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卓上四季

牛鍋は湯気を立て父子いさかへる。飲食店での親子げんかだろうか。
きっかけは些事(さじ)なのだろう。せっかくのごちそうが台無しである。
残念な場面であるが、「新歳時記・冬」にある湯浅藤袴の句は、牛肉好きな文化をよく表している。
▼政府が、牛肉の生産過程をたどることができるトレーサービリティー・システム導入を打ち出したのは、消費者がパニックに陥った牛海綿状脳症BSE)問題がきっかけだった。
全頭に個体識別番号を入れた「耳標」を付け、流通を管理する仕組みだ。
▼ネットで出生年月日や飼養地、異動内容が容易に検索できる。
大好きな牛肉の安全のためのこととはいえ、丸裸にされる牛を不憫(ふびん)に思うのは明日はわが身だからか。
新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、河野太郎行政改革担当相がマイナンバーを利用し、個人の接種記録を管理するシステム構築を進める考えを明らかにした。
接種の年月日や場所、種類、住所などの情報をデーターベース化するという
▼転居した人の情報を共有するというが、本来接種は任意のはず。
状況把握なら市町村の予防接種台帳で済まないだろうか。
まさかマイナンバーカード普及に接種を利用するわけでもあるまい。
▼有効性と安全性が担保されるワクチンならば、だれもが進んで受けるもの。
無理を通し、いらぬいさかいを起こす必要もなかろう。家畜扱いは御免被りたいものだ。
(2021・1・28 北海道新聞より引用しました)。

※※※ 骨川筋衛門のコメント

 ワクチン接種とマイナンバーカードを紐付(ひもつ)けにする懸念は、卓上四季の筆者も敏感に感じられ、警鐘を鳴らしています。「牛鍋は湯気を立て父子いさかへる」という冬の句をうまく生かして人民がマイナンバー制度を巡って「いさかう」さまを、想像させるうまい筆法です。
 ワクチンの効果と副作用を巡っても、まだまだ米国や欧州の一部で始まったばかりで、多くの人々の関心が集まっています。
 日々多くの患者さんと診察で出会う知人の医師に聞いてみると、とりわけ、副作用の有無やその種類や重症度などを知りたい方が多いと言います。
 まだ始まっていないワクチンの「制度構築」にマイナンバーなどを連携させると混乱が生じることや、昨年の給付金の時にマイナンバーカード策で、失敗していることを覚えておられる方たちは、なんと思われることかと想像します。
 昨今、コロナに感染した情報(名前や住所等)が、突然にインターネットに流れるミスも多発していることもあり、また、何よりも健康保険証とも紐付けにする案も出ているので「病の私的情報」を盗まれることも心配されます。
 結論ですが、ともかくも「任意であるワクチン接種」と「マイナンバーカード」とを結びつけないことを政府に要求すべきだと思います。丸裸にされるという「卓上四季」の牛のように、わたくしたちがならないようにすべきだからです。
 読者の皆様は、どのようにお考えになりますでしょうか?