[526](投稿)幌延掘削、なし崩し的に500メートルへ。コロナ危機の裏側で着々と

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幌延500メートル掘削、住民反発強く 研究延長審議時、機構から説明なし 
「合意順守なら」町は承認方針

 【幌延日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター(宗谷管内幌延町)が、坑道を現在より150メートル深い地下500メートルまで掘り下げることを計画している。道と幌延町は4月中旬から開いている確認会議で必要性などを審議し、計画承認の是非を判断する。ただ、道と町がセンターの研究期間延長を認めた2019年12月の段階で、機構側は500メートル掘削計画を明確に説明していなかった。地元住民団体などは「だまし討ち的手法で、研究期間の再延長につながりかねない」と反発を強めている。

 「地下500メートルは地圧が大きく、岩盤が軟らかいなど、350メートルとは条件が異なる。実際に掘削することで処分技術の向上につながる」。同センターの岩月輝希深地層研究部長は4月16日に道と幌延町が開いた本年度1回目の確認会議で、計画の必要性を強調した。
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分方法について、特定放射性廃棄物最終処分法は地下300メートルより深い地層に埋設すると規定。センターでは現在、地下350メートルの坑道に放射性物質を含まない模擬廃棄物を埋め、岩盤や地下水への影響を調べるなどの研究を行っている。

 「必要な場合は」 センターを巡っては、当初計画で01年から「20年程度」としていた研究期間を、28年度まで延長することを19年12月に道と町が認めたばかり。研究延長を審議するため同年9~11月に開いた計5回の確認会議を通じ、機構側は500メートル掘削について「必要とされた場合は掘削を判断する」と述べるにとどめていた。
 機構が500メートル掘削案を道と幌延町に示したのは20年9月。道は今後の確認会議で、機構側に研究期間の堅持を表明させて再延長を防ぐ考えだ。鈴木直道知事も12月の道議会で「研究は9年間で必要な成果を得て終了するものと考えている」とけん制した。
 道は幌延町、機構側と、センターに核のごみを持ち込まないなどと明記した「三者協定」を締結した当事者。幌延町と並んで計画の是非を判断する立場にあり、確認会議では、道民の理解が得られるよう機構側に丁寧な説明を求める方針だ。だが、機構側が協定を順守する姿勢を貫けば、計画に反対する理由は立たなくなる。道幹部は「地元が納得すれば、道としても当然、その意向は尊重することになる」と明かす。

 経済効果に期待 
 幌延町の野々村仁町長は「28年度までに研究終了をするとした合意が守られる限り、町は協力する」と述べ、計画を認める方針だ。
 同センターがあることで、町には毎年度平均で約1億6千万円の電源立地地域交付金が国から交付され、20年度には約2億4千万円の固定資産税収入があった。500メートル掘削が実行された場合、センターは2交代24時間体制で工事を行うと想定し、ピーク時の作業員は1日100人ほどと見込む。町の経済関係者は「工事は大手が担い、直接的な地元雇用は少ないだろうが、長期宿泊者による経済効果は大きい」と期待する。
 地元住民団体「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」などは、機構側に計画撤回を求める抗議文を送るなど反対運動を繰り広げている。センターでは地下350メートル坑道を掘削中の13年に、基準を超える濃度のメタンガスを含む地下水が流出し、工事が一時中断するトラブルが発生した。
 協議会の久世薫嗣代表委員は、500メートル掘削はさらに工事の難度が上がるとして「機構側は工期が遅れたなどとして、再び研究期間を延長しようとしかねない」と不信感を募らせる。
 次回の確認会議は18日に開催予定。道は12日まで募集した500メートル掘削計画に対する意見をまとめ、機構側に回答を求める予定だ。(高橋力、藤本卓郎)

■理由に必然性ない 
原子力資料情報室・伴英幸共同代表
 機構は計画変更の理由として技術の信頼性向上をあげているが、地層処分技術の確立に絶対必要だという必然性の説明が欠けている。地下500メートル付近の坑道整備は、既に岐阜県瑞浪みずなみ)市の超深地層研究所で行っているし、放射性廃棄物を閉じ込める岩盤などの「人工バリア」の研究も350メートル付近で可能だ。瑞浪の研究所を閉鎖しており、幌延の研究所を延命させるために後付けした理由と感じる。必然性のない理由で計画変更を認めてしまえば、それ自体が前例となり、さらなる期間延長につながりかねず、拒否するべきだ。

■重要データ得られる 
北大大学院の小崎完(たもつ)教授(原子力工学) 
 地層処分の研究は、より深く掘れば良いということではなく、異なる地層で地下水の流れや岩盤圧力などのデータをとることが重要だ。さまざまな条件のもとで調べることで地層処分の技術を高め、安全性に対する信頼度を高めることにつながる。幌延の地下は堆積岩層が広がるが、地下約400メートルを境に地層の状態が異なっている。現在の地下350メートルからさらに深く掘れば、同じ堆積岩層でも違う条件でのデータが得られる。幌延はアジアで唯一の地層処分の地下研究施設で、そこから得られたデータは世界的にも重要だ。(2021・5・16北海道新聞デジタルより)

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 前にも「幌延」に「核のごみを埋葬する研究」という名目で掘削を進め、さらに数少ない核のゴミ捨て場にするために借地年数を延長するという暴挙をしたと言いました。核のゴミを埋葬するに値する場所が一つでも見つかれば、そこを金で買って「核のごみ」=「高レベル放射性廃棄物」の廃棄場所として永続的に使用するつもりであるとも言いました。原発再稼働でさらに核のゴミは増える一方です。▼現在、新型コロナのまん延で、「ワクチン接種」などでどこも忙しく、寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が「文献調査」という名目で、高レベル放射性廃棄物の廃棄場所になる可能性の話は背景に隠れていますが、やがて秋になると寿都町では町長選挙で忙しくなり、寿都町が核のごみ捨て場になるという問題として報道される回数が再度増えると思います。▼資本主義社会では、人の命よりも目先のお金を優先するため、人心を金で買うことがどこの国も横行しています。寿都町神恵内村を見るとよくわかります。幌延もこの先は、工事に入る人の宿泊も多くなり、そのお金を目当てにさらに深堀を許してしまうことでしょう。▼放射能障害については、皆目分からない人が多数ですから目先の「利益」に目がくらむのは「普通」です。何年も前から大学の研究費をコントロールすることで、種々の教授たちを羊のように「従順」な「人物」にすることを国はやってきています。ここにコメントしている北大の大学院教授も同じです。▼昨年の「日本学術会議事件」では、自民党・政権与党の意見に反対の意見を著述する学者を排除することを菅首相はコロナ対策よりも重視して始めました。しかも、従わない日本学術会議を「民間組織形態」にして、僅か10億円しか出さなかった資金も出さないと「脅(おど)し」、それも手伝って、コロナ対策が後手後手になって、今や新型コロナのまん延に歯止めが利かなくなっています。ワクチン開発もできない日本はワクチンを諸外国から輸入せざるを得ず、ワクチン接種が遅れに遅れ、オリンピック開催も怪しいものとなっています。▼原発稼働と風力発電太陽光発電等で温暖化を「なだめる」という発想も間違っています(その理由はここでは省略しますが、一つだけ言うなら、原発の燃料を作るだけでも多大のエネルギーを消費し、電力料金のコスト一番高くなっていることです。「オール電化の家」は今や割高で、宣伝さえしません)。▼現在も、東北、北海道に地震が再三生じています。太平洋プレートがずれ動いているのです。東北大震災の余震だと言われています。福島第一原発女川原発や六ケ所村の核のごみの再処理工場は大丈夫でしょうか?関東大震災の再来は来ないものでしょうか?▼幌延の地層からは化石などが出ます。かつて噴火や川の流れなどがあり、岩や砂礫(されき)が動植物とともに沈み込んで出来た地層です。フィンランドの「オンカロ(洞窟という意味)」の岩盤でも、10万年先の未来までの「安全性」など分かるわけがありません。「岩盤を掘削して」洞窟を作り、核のごみ捨て場にすることに対して反対運動があることはあまり知られていないだけのことです。▼今、我々にできることは、原発の即時停止によって、核のゴミをこれ以上増やさないことです。また、原発放射能汚染水を日常的に海洋に放出しないことを全世界に求めるべきです。日常的に原発から放射能汚染水が海洋や河川に放出されているという現実はほとんど知らされていないだけのことです。菅首相が全漁連会長と今年会談し、日常的に放射能汚染水が日本を含めた各地の原発から河川や海洋に放出されているという報道がようやく流されるようになりました。このことさえ「新しいニュース」として知った方々も多いと思います。▼読者の皆様、危険だらけの原発の即時停止と核のごみの埋葬、汚染水の海洋投棄に反対して行きましょう!!