[498](投稿)寿都対話は地層処分の一里塚

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寿都で初の「対話の場」
 核ごみ調査 設置目的に住民反発 実質的議論に入らず
 
 【寿都原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む後志管内寿都町の住民と処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が意見交換する「対話の場」の初会合が14日、同町内で開かれた。町が選んだ町議9人を含む18人が出席。NUMO側は核のごみ地層処分に関する議論を始めたい考えだったが、参加者を公募しなかったことや、会則案で対話の場の目的が「地層処分への町民の理解を深める」と明記されたことに批判が噴出。全国初の「対話の場」は、幕開けから波乱の展開となった。▼ 初会合には片岡春雄町長、経済産業省の小沢典明首席エネルギー・地域政策統括調整官、NUMOの伊藤真一理事も同席。町は参加者として町民20人を選んでいたが、町内会の代表2人は欠席した。進行役は、NUMOと町が選んだ北大大学院工学研究院の竹田宜人学術研究員が務めた。▼ 冒頭、片岡町長は「調査の賛否を問う場ではなく、高レベル放射性廃棄物への理解を深め、町の将来を議論したい」とあいさつ。経産省も丁寧な議論への協力を要請した。これに対し、文献調査に反対する町議らが、町とNUMOが示した会則案では、公平中立な議論が行われないと批判。町が事実上、NUMOと一体的に対話の場を開催する形式となったことにも疑問を呈し、会則案のあり方から議論するべきだと主張した。▼ 約2時間の予定時間を過ぎても、地層処分事業への期待や不安についての意見交換など実質的な議論は行われず、会則案の承認も見送った。参加者の公募や会合の公開を求める意見が相次ぎ、NUMO側は会則案見直しの検討を示唆した。▼ 終了後、片岡町長は「会則を含め、いろんな議論になったが最終的には理解していただいたのではないか。初回なので本音が出たのは良かった」と強調。今後、20~40代の町民を参加者に加える可能性に言及した。▼ 対話の場は文献調査が行われる約2年間、月1回のペースで開かれる見通し。寿都町と同じく文献調査が進む後志管内神恵内村では15日に対話の場の初会合が開催される予定。(前野貴大、岩内江平)(2021・4・15 北海道新聞デジタル)

※※※ 真田幸村のコメント
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む後志管内寿都町の住民と処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が意見交換する「対話の場」の初会合が14日、同町内で開かれました。さぞかし、片岡町長と「原子力発電環境整備機構(NUMO)」は意気込んでいたことでしょうね。とりわけ、文献調査で10億円はいると「楽しみにしている町長と町長一派」と、今秋の町長再選挙に「意欲を燃やしている」町長は。
 あたかも「対話を重視」しているかのような「標語」をつけた「対話の場」に、町が選んだ町議9人を含む18人が出席。「NUMO側は核のごみ地層処分に関する議論を始めたい考えだった」が、①参加者を公募しなかったことや、②会則案で対話の場の目的が「地層処分への町民の理解を深める」と明記されたことに批判が噴出。全国初の「対話の場」は、幕開けから波乱の展開」となり荒れました。
 「公募しなかった」ということは、町長側の意見が通りやすくした人選をあらかじめ決めていたということです。出席した人たちには「顔ぶれ」を見て、即座に分かったと思います。進行役も「NUMOと町が選んだ北大大学院工学研究院の竹田宜人学術研究員が務めた」ということで、これは「町長とNUMO」側の意見が通るような布陣です。国の御用機関であるNUMOは核のごみを埋葬することに反対する進行役は雇用しませんから、当然そうなります。また、③「地層処分への町民の理解を深める」ということが先にあるということは、この場は「地層処分」をする前提で反対者のガス抜きのために設けられたことは明らかです。それで当然のことですが、それに対しての反対意見が出たわけです。
 町長やNUMOが何と言おうと文献調査に反対する町議らが、町とNUMOが示した会則案では、公平中立な議論が行われないと批判。反対派は「町が事実上、NUMOと一体的に対話の場を開催する形式となったことにも疑問を呈し、会則案のあり方から議論するべきだと主張した」と極めて正しい意見を言いました。
 町民や町議も、これまでの町長の「あざとい」やり方を見てきたので、「正義感が強く、核のゴミの埋葬の危険性を学んできた」人たちは、正しい道筋は何かを考えたと思います。「濡れ手で粟」という楽なやり方で10億ものお金は入ってきません。小出裕章氏も文献調査などすでにNUMOがすませていることだと書いています。(注1)      
 本番はこれからですね。核のごみの怖さを知って、埋め立て地にならないように頑張るのは。幌延(ほろのべ)町のように、借地年数を数年も伸ばし、500メートルの地下までさらに掘り進むという当初の契約にないことをやるのが日本という国ですから。
 この幌延(ほろのべ)のような「庇貸して母屋とられる」というひどい国の政策を良くみて考えた方が良いと私は思います。お金で命は買えません!!
注1:『原発事故は終わっていない』 小出裕章 著 毎日新聞出版 2021年3月5日 発行